第十二話『クラス転移ものといえば・・・そう、素行の悪い生徒がやりたい放題していくこと、その為に対処すべき事は』
ライオス「あれが帝都『アクリクス』だ、僕達もよくお世話になってるよ」
美久「すごく大きいなぁ・・・」
たっかい塀に立派な門が建っててそんな内部に大きな城が建っていた。
アリッサ「相変わらず大きな街ね」
ルカ「そうですね、私は3回ぐらいしか来たことありませんけどやっぱり大きいですね」
美久「ほんとすごいなぁ」
そんな会話をしながら私達は門へと向かい、衛兵の人にギルドの証の指輪を見せる。
衛兵A「これはライオスさん、お勤めご苦労様です」
衛兵B「そちらはアリッサさんですね、それと・・・?」
美久「あぁ、ミクって呼んでください」
ルカ「ルカです、よろしくお願いします」
衛兵A「あぁ、よろしくな」
ライオス「それで噂で聞いたけど異なる世界から勇者達を召喚したそうだけど」
衛兵B「あぁ、確かに王女様が勇者を召喚したよ、噂の通りな」
衛兵A「だけども『資格がないクズ』もいるけどな」
美久「えっ・・・?」
ライオス「どういう意味だ・・・?」
衛兵B「召喚される前に『いじめ』をした奴等はその行いを公開して貼り付けにされているよ」
美久「貼り付け・・・!?」
衛兵A「おっとかわいそうだと思ったか?だが奴等の頭の上に映ってるその行いを見れば納得できるだろ」
衛兵B「まぁ見なければ分からないが、見るなら覚悟をしておいた方がいいぞ」
アリッサ「とりあえず見てみましょう」
ルカ「あ・・・はい・・・」
そんな会話をしながら私達は門をくぐり抜け、帝都の中へと入る。
中も美しい街並みで多くの人達がいた。
美久「おー・・・!」
ルカ「やっぱり綺麗な街並みですね・・・」
アリッサ「そうね」
そんな会話をしながら私達は広場へと歩いていく。
ライオス「ここが広場だよ」
美久「おおー広ーい!」
ルカ「この街も中々広いですね」
アリッサ「・・・ん?あの人だかりは?」
そう言うとライオスさんは広場にある人だかりの方へ駆けていき、私達も後を追った。
****
美久「・・・・!?」
アリッサ「・・・これは」
ルカ「ひど・・・い?」
広場の人だかりの中心に貼り付けになった人達が晒されていた。
いずれも男女様々な高校生で普通に見たのなら圧政の国と思うだろう。
だが各々の頭の上にモニターっぽいのが空中に投影され、その中の一つの映像には少年がいじめを受けてる光景が映されていた。
殴る蹴るの暴行を加えられ、少年は痛みに耐えて涙を流している。
別のモニターには万引きの指示をされ、万引きをさせられて店員に捕まっている少女の光景が。
また別のモニターにはタブレット端末に罵詈雑言の嵐を飛ばしている光景が・・・
美久「・・・」
アリッサ「ミク、大丈夫?」
美久「・・・うん」
私は移ってる光景を見て複雑な心境を隠せなかった。
ライオス「なるほど・・・これ程までに荒んでる者達だと世界を救って欲しいと頼んでも無視して暴虐を働くのが目に見えるな」
アリッサ「そうね、流石にこんな心の者だと世界を救う以前の問題になるわねぇ」
ルカ「・・・」
美久「ルカちゃん・・・エイナの事を思い出したの?」
ルカ「えっとその・・・あの人たちエイナさんよりも酷い事をしてるなぁって・・・」
ライオス「まぁ・・・心の奥底まで反省して逆らう気が失せれば許すだろうけど・・・まぁそうもいかないだろうね」
アリッサ「人の心はそう易々と変わる事は無いわ」
美久「だよねぇ・・・」
ライオス「明日は勇者達について調べて、それからどうするか考えようか」
アリッサ「そうね、とりあえず宿を探しましょう」
そう会話して私達は宿を探す事にした。
****
私達は宿屋を見つけ、泊まった。
窓の外には兵士が貼り付けにされてるいじめっ子を見張ってる光景が見える。
あ、ちゃんとご飯あげてるね、柔らかそうな肉とパンを食べさせて・・・野菜もちゃんと食べさせてる。
美久(飴と鞭なのかなぁ・・・)
ライオス「勇者達の情報だけど、『ユウタ』と『モエカ』の二人が特に実力を持ってるそうだよ」
美久「そうなの?」
ライオス「あぁ、ユウタは剣技に秀でていてモエカは魔法が使えるらしいよ」
アリッサ「剣技に魔法ねぇ、バランスは取れてるわね」
ライオス「そうだね、性格も温厚で仲間想いだそうだ、明日に備えて寝ようか、おやすみみんな」
美久「はーい」
*****
朝、早速勇者達について調べた所、お城の広場にて訓練をしてるそうで私達はギルド許可を貰って見学しに行くことにした。
広場には高校生と思われる人達が剣の素振りだとかをして、兵士らしき人がそれを見てる。
ライオス「あれが勇者達か・・・」
アリッサ「そうね、皆いい顔してるわ」
ルカ「あれ・・・?」
美久「どしたの?」
ルカ「あそこの部屋・・・」
ルカちゃんが指さした部屋には高校生が1人いた。
美久「あれって・・・」
声「かつていじめをされてた者ですよ」
美久「おぉっ?」
突然声に話しかけられて、振り向くとそこにはモノクルをしてる優しそうな男性がいた。
モノクル男「あー驚かせてすいませんねぇ」
ライオス「いえ、大丈夫ですが・・・あなたは?」
モノクル男「おっと自己紹介がまだでしたね、私は『ユージン』と言います」
アリッサ「ユージンさんね、それでさっきの言葉だけど・・・」
ライオス「なんとなく察せれるよ、心の傷を癒やすためにあの待遇って事か」
ユージン「えぇそうです、あの者は妹もいじめっ子に殺されてたそうでねぇ・・・」
美久「殺されたって犯罪じゃん・・・でもなんでそれを知ってるの?」
ユージン「そうだねぇ・・・ここではなんですし、場所を移動しましょうか」
そうして私達はユージンさんの案内で応接室へと入っていく。
ユージン「さて、どこから話しましょうか・・・君たちは広場にいた虐めをしていた者の上にある鏡のようなのはもう見ましたか?」
ライオス「それは貴方の能力だと?」
ユージン「えぇ」
パチンッ
ユージンさんが指を鳴らすと、空中にモニターが投影された。
その映像はライオスさんのひっどい寝相が移ってた。
ライオス「ちょっ!?」
アリッサ「これは今朝の光景ね・・・過去の出来事をこうして映し出せると」
ユージン「えぇ、その通りですよ」
パチンッ
ライオス「あー・・・エフンッ・・・あなたはそれで成り上がったというわけか」
ユージン「えぇ、この能力でこの帝都の参謀・・・いやどうだろこれ・・・ともかく偉い立場になったのですよ」
美久「ほへー・・・すごいねユージンさん・・・」
ユージン「んで貴方方の考えもなんとなく察します、勇者達がどんな人物なのかを知りたい、そうでしょう?」
ライオス「・・・」
ユージン「まぁじっくり観察してって下さい、でもまぁみんなちゃんとした人間ですからそこまで特別扱いしなくて結構ですよ、では私はここで」
そう言ってユージンさんは部屋を出ていった。
ライオス「まぁ・・・見てみようか」
アリッサ「そうね」
そうして私達は勇者達の訓練を見学する事にした。
****
広場の人達が剣や槍、弓に杖を持って素振りだとかをしててその横で兵士さんが見てる。
ライオス「ふむ・・・皆ちゃんとやってるね」
アリッサ「そうね、基礎の訓練をちゃんとやってるわ」
ルカ「ですね・・・あ、あの二人・・・」
ルカちゃんが指さした方を見ると女子の人が魔法で丸太を浮かせていってその浮いた丸太を同じく宙に浮いてる男子の人が双剣で斬っていた。
ライオス「おぉー・・・」
アリッサ「へぇ・・・お互いの力をぶつけ合って訓練してるのね」
ユージン「あの人はユウタとモエカですね」
美久「おぉいつの間に・・・」
私が軽く驚いてると二人も私達に気づいて降りてきて話しかけてきた。
ユウタ「ユージンさん、この人たちは?」
ユージン「あぁ、勇者達の訓練を見に来た人達だよ」
モエカ「そうなのね・・・」
モエカさんが私を見たと思ったらユウタさんに耳打ちしてる・・・?
アリッサ「何を話してるの?」
モエカ「ううん、なんでも」
ライオス「じゃあせっかくだし僕と手合わせしないかい?」
ユウタ「えっと・・・ユージンさん、いいですか?」
ユージン「構わないよ、模造刀取ってくるから少し待っててくれ」
ユージンさんはそう言って模造刀を取りに行った。
モエカ「私は・・・そこのえっと・・・」
美久「私?ミクって名前だけど」
モエカ「んじゃミク、ちょっと二人で話しましょ」
美久「ん、いいよ」
そうして私はモエカさんと少し離れた場所に移動する。
美久「それで話って・・・」
モエカ「単刀直入に聞くけどあんた・・・転生だか転移だかした人?」
美久「えっ・・・!?」
なんでそれを知ってるの!?
モエカ「やっぱりね、私達は転移・・・というよりは召喚されたの」
美久「それは聞いたけど・・・私達ってことはあれかな、学園のクラスが異世界に召喚された的な?」
モエカ「そう、私達はクラスのみんなと一緒にこの世界に来ちゃったの」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
漫画とかにある学校のクラスの皆が異世界に転移するっていう展開・・・
それが実際に起きるなんてだーれが思うのやら・・・
修学旅行のバスに乗っていた私達だったが突然地面が揺れ、窓の外に茶色いのが移ったと思った瞬間視界が真っ黒になった・・・
んでもって気がついたら大きな部屋の中・・・パッと見ファンタジーによくありそうな神殿?
その部屋には私達と・・・
豪華な人「ようこそお越し下さいました勇者様方、どうかこの世界をお救いください」
そう言って頭を下げる綺麗なドレスを着た女の人・・・うん、テンプレだね。
だけども違っていたのは一部のクラスの人々が檻に入れられていることだった。
皆縛られて猿轡をされている・・・そして・・・
クラスの男子「あ、あのーこれは一体?」
クラス委員の男子が恐る恐る聞くと女の人は私達にこの世界ついて教えてくれた。
要約するとそう遠くない未来、魔王が復活し、この世界は魔王の配下によって滅ぼされてしまう。
そしてそれを阻止できるのが勇者召喚で呼ばれた私達である。
クラスの女子「それで檻にいる方の私のクラスの人は・・・?」
クラスの女子が質問するとモノクルをしてる青年が前に出た。
モノクル男「みんながみんな王命を素直に受けるわけではないだろう?だから私が選別したのさ」
パチンッ
モノクルの男が指をならすと檻にいるクラスの人々の頭の上にモニターっぽいのが出た。
その映像に移ってるのは色んないじめの光景だった・・・
殴る蹴るの暴行や万引きの強制にカツアゲ・・・酷いもんだ。
豪華な人「なんと酷い・・・こんな行いをするなんて・・・」
パチンッ
モノクル男「ぶっちゃけるけどこんな人々がクラス転移した結果世紀末的な感じでヒャッハーな事するパターンでしょうに」
言われて見れば確かにそうだけどもこの人クラス転移だとか世紀末とかの言葉言った・・・?
クラスの女子「あの・・・それで私達の担任は・・・?」
モノクルの男が兵士達に頼んで小さめの檻を動かし、その中には担任の教師がいた。
パチンッ
モノクルの男が指をならすと檻にいた担任の先生の頭上をモニターが写す。
そこにはいじめの報告書を隠蔽したり、学校の金を横領した映像が写されていた・・・
豪華な人「なんてことを・・・皆を導く教師がこんな・・・」
モノクルの男「はい」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
美久「はいじゃないが」
モエカ「当時の事は覚えてるよ・・・いじめっ子の悪行をモニターに映されてそんで兵士達が連れ去って・・・」
美久「ユージンさんの過去を見せるモニターのあれでかぁ・・・」
モエカ「ユージンさんも転生してこの世界に来てあのスキルで成り上がったそうよ」
美久「あー確かに悪事とかまるごとお見通しだろうねぇ・・・」
モエカ「まぁ今はどうだっていいけどね、それであんたは召喚されたわけじゃ無いよね?」
美久「うん、私は元の世界で事故ってこの世界に来た感じ」
モエカ「そうなのね、まぁお互い頑張ろうね、んじゃ戻りましょ」
美久「うん」
そう言って私達はユージンさんの元へと戻っていった。
****
広場に戻るとユウタさんとライオスさんの手合わせが終わってた。
ライオス「ふぅ、なかなかやるじゃないか」
ユウタ「そちらこそ凄いですね、手合わせありがとうございました」
アリッサ「お疲れ様二人とも」
美久「お疲れ様ですー」
ライオス「ありがとう、それじゃ僕はこれで」
ユージン「えぇ、また来てくださいな」
私達は宿へ行き晩御飯を食べて眠りについた。