第十一話『二足歩行モンスターのマッチョ化は異世界あるあるなのか』
突然変異のモンスターがいる森に到着し、私達は殺気を感じながら森を進んでいく。
ライオス「この先にいるんだね」
アリッサ「えぇ、気を引き締めていきましょう」
どんどん奥に進んでいくが奇襲や罠が無く、モンスターが1匹も出てこない・・・
ライオス「・・・妙だな」
アリッサ「まるでこっちを誘っているように感じるね」
そんな疑問を持ちながら進んでいき、そして私達は森を抜けるとそこにはすんごいマッチョなゴブリンが木で出来た立派な椅子に座っていた。
親玉ゴブリン「よく来たな・・・先程の小娘共よりは楽しめれるといいがな」
美久「すっごい流暢に喋ってる!?」
アリッサ「こんな突然変異の魔物が・・・」
ライオス「お前がエイナに深手を負わせたのか・・・!」
親玉ゴブリン「そうとも、あの子娘は武具に魔の力を付与して戦っていたが・・・この我に魔の力は効かぬ!」
アリッサ「なるほどね・・・」
親玉ゴブリン「だからといって斬られても痛くないとか、そういうことでは無いっ!」
美玖「あぁ痛いことには変わりないんだ」
親玉ゴブリン「さぁ・・・来るがよい!!」
その言葉と共に椅子から立って横に突き刺さってた長い木の棒に骨で出来た刃が付いててまるでハルバートのような武器を持った。
ライオス「行くよ!ミク!」
美久「うんっ!!」
アリッサ「私達もいくわよっ!」
ルカ「はいっ!」
私は鼓動のビートを響かせ、ルカちゃんも歌声を響かせる。
親玉ゴブリン「ぬぅ・・・!?」
親玉のゴブリンは軽く驚きつつハルバートを回転させながら構える。
ライオス「はぁっ!」
美久「はっ!せいっ!!」
私達が攻撃を仕掛けるけど武器で防いでくる。
アリッサ「そこっ!」
アリッサさんも雷を放っていくが全く効いてない。
親玉ゴブリン「目眩まし目的で雷を放ってる用だが魔の力そのものなぞ効かぬぞ!」
アリッサ「なら援護をした方が良さそうね」
アリッサさんが後ろに下がり、ルカちゃんをガードするように立っていく。
ルカ「♬♪~♩~・・・♪~」
ルカちゃんは歌って私達を強化させる。
親玉ゴブリン「ヌンッ!カッ!」
親玉ゴブリンは骨ハルバードをぶん回して私とライオスさんを攻撃してくるが私はバックステップで避け、ライオスさんは剣でガードして防いだ。
美久「let's・・・BURST!!」
私は籠手を変形してハンマーっぽい形にして掌底のようなのを繰り出す。
親玉ゴブリン「ヌゥッ!」
私の攻撃でよろめくけどすぐに体勢を立て直していく。
ライオス「うおぉっ!」
ライオスさんがハルバートの刃を弾いて隙を作り、私はその隙に籠手のまま殴りかかる。
美久「go!mast!!」
親玉ゴブリン「ヌゥンッ!」
バギィンッ!!
美久・ライオス「っ!!」
親玉ゴブリン「っ!?なんと・・・!!」
骨ハルバードの木の部分が折れて真っ二つになった。
親玉ゴブリン「枯れてるとはいえ神木の棒を折るとは中々やるな、娘」
美久「神木?」
アリッサさんが折れた木の破片を拾う。
アリッサ「この木・・・ルリュハクァの山の神木じゃないの!?」
美久「ルリハカ?」
ライオス「かなりの魔力を持つ木々が育つ場所だよ」
親玉ゴブリン「そうとも、我が武具は枯れてるとはいえ奪い、加工したものである、それを折るとは・・・!」
ライオス「神木の棒を加工して武器にするとは・・・ゴブリンにしてはあり得ない技術力と知恵だな・・・」
親玉ゴブリン「娘よ、お前の瞳は中々の輝きがある、だがまだ未熟である」
美久「・・・」
親玉ゴブリン「だが前の小娘・・・えっと名前なんだっけ?」
ルカ「エイナさんの事ですか?」
親玉ゴブリン「その者の瞳は傲慢に満ちていた、『ゴブリンの癖に』と喚きながら何度も攻撃してきた」
ライオス「あー・・・彼女のプライドが許さなかったんだろうなぁ」
アリッサ「それであんな大怪我をと」
親玉ゴブリン「だがお前はその瞳に誇りがある、良い瞳だ・・・名を何という」
美久「・・・美久だよ」
親玉ゴブリン「エイナという小娘に『何のために戦う』と問うても『黙れ』としか言わなかったが・・・ミク、お前は何の為に戦う?」
美久「私は・・・ライオスさんとアリッサさんとルカちゃん、みんなと一緒に冒険したい!そしてこの世界をいっぱい冒険してみたい!!」
親玉ゴブリン「・・・それがお前の戦う理由か」
美久「うんっ!」
親玉ゴブリン「では我は去ろう、久方ぶりに良い戦いであった、その折れた神木の枝は選別としてくれてやる」
親玉ゴブリンは骨の刃を拾って木の椅子にドカッと座り、パパンパパンと手を叩くと部下っぽいゴブリン達が出てきて親玉ゴブリンを椅子ごと持ち上げた。
部下ゴブリン一同「ウッホホッホヤッホッホホイ、ウッホホッホヤッホッホホイ・・・」
そして神輿のように移動しながら去っていった。
ライオス「これで突然変異のモンスターは倒せたって事かな」
アリッサ「そうね、ギルドに報告しに行きましょ」
私達は折れた神木の棒を回収してアメルトに戻っていった。
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私達はアメルトに戻り、冒険者ギルドにて経緯を報告した。
受付嬢「枯れてた神木の枝をへし折ってたんですかっ!?」
アリッサ「えぇ、あのゴブリンは神木の棒を加工して武器にしていたわ」
受付嬢「それはまたとんでもない魔物ですね・・・」
ライオス「まぁともかく追い払えたから良かったよ」
受付嬢「それは何よりです、突然変異のモンスターは倒したらその地域が安全になるのでギルドとしてもありがたい事です」
アリッサ「そうね、それじゃ私達はこれで失礼するわ」
受付嬢「はいっ!お疲れ様でした!」
そうして私達はアメルトを後にしていつもの街へと帰還していった。
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美久「ふぅ・・・これでアメルトは安全になったね!」
アリッサ「そうね、でも油断はしない方がいいわ」
ライオス「そうだね、また突然変異のモンスターが来るかもしれないし」
ルカ「そうですね・・・」
それからも数週間が過ぎ、私達はいつも通りに依頼をこなす毎日を送っていたけどそんなある日の事・・・
モブA「帝都の噂聞いたかー?」
モブB「あぁ、なんでも異なる世界から勇者達を召喚したそうだなぁ」
美久「えぇ・・・!?」
まっさか私と同じ異世界転生・・・いや転移かも・・・それが起きるなんて・・・!?
ライオス「へぇ・・・勇者を召喚ねぇ・・・」
そんな話題をライオスさんは興味深そうに聞き耳を立てていた。
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その後、ギルドにて・・・
受付嬢「と言うわけで帝都へ行ってその勇者達を視察してほしいというのが領主様の依頼です」
ライオス「僕としても興味あるし、みんなはどう?」
アリッサ「どーだっていいけど・・・まぁ行くだけならいいでしょ」
ルカ「はいっ!勇者さん達がどんな人達なのか気になります!」
美久「うんっ!私も気になる!」
ライオス「よし、それじゃ帝都へ行こう!」
そうして私達はギルドの馬車に乗って帝都へ向かうのだった。