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プロローグと第一話・『私の望むスキルはチートじゃなくてもいいもん♪』

私は音楽が大好きだった。

耳だけでない、皮膚へと感じるビート、リズムは最高だ! この身体で音楽を奏でたかったのだ・・・

しかし、それは叶わなかった。

私は死んでしまったのだから・・・

たしか自宅のPCで音楽を聴いていたんだけどふと窓を見たらなんか突っ込んできてたんだよね。

それで意識が途切れて気が付いたらここに居たって訳だけども・・・

声「えー・・・『音野羽 美久おとのはみく』さん、聞こえますか?」

うおっ!いきなり誰かに話しかけられたよ!?

美久「あっはい!聞こえています!?」

思わず返事しながら振り向くとそこには白スーツ姿の男性がいた。

白スーツ男「いやぁ災難でしたね、突然事故で死んでしまうなんて・・・」

美久「えっ?事故?そういや窓からなんか飛んできたような気がするけども・・・あれってもしかして私が死んじゃった原因とかなのかな?」

白スーツ男「はいそうなんですよ、トラックのタイヤがあなたに突っ込んできたのです」

美久「タイヤって・・・どっから飛んで来たの?」

白スーツ男「いえそれがですね、50メートル先にてトラックが黒猫を避けて電柱に激突してその拍子にタイヤが外れてこちらまで飛んできたようです」

美久「そんな偶然で私死んじゃったのか・・・でもまあ仕方が無いか、死んだもんは生き返らないしねぇ」

白スーツ男「そうですか、ではご納得頂けたという事でこれからについて説明させていただきたいと思います」

美久「あ・・・まさかとは思うけど異世界転生とかそういう感じの話じゃないよね?」

白スーツ男「いやぁ・・・偶然とはいえそう言うプロセスが漫画や小説で出るなんて人間の想像力は逆に恐ろしい・・・」

そう言って白スーツ男ははあぁーとため息をついた。

白スーツ男「申し遅れました、私は神の一柱・・・いや一人と呼ぶのが良いかもしれませんが・・・

今回は不幸な事故により若くして亡くなってしまった貴方の為に特別措置として別の世界に新たな生を受けさせる為に来た次第です」

美久「なるほど神様か・・・ん?ちょっと待って今なんて言ったの?新しい世界だって?」

白スーツ男「はいそうですよ、この度は誠に残念な事なのですが・・・」

美久「だったらあれだよねっ好きな能力付けてもらえるんだよねぇ!!」

白スーツ男「まぁはい、ですがあまり強すぎる能力は与えれませんので注意してくださいね」

美久「じゃあさ、こんな能力が欲しいんだけど・・・」

白スーツ男「ふむ・・・ふむふむ・・・うーむ・・・ほぉー・・・これはなかなか面白い発想ですねぇ・・・わかりましたやってみましょう」

美久「やったーありがとうございます神様!」

白スーツ男「いえいえ、それではそろそろ行ってもらいますよ」

美久「わかったわ、よろしくお願いしますね神様!」

白スーツ男「では、よき来世を・・・」

そして私の意識はまた薄れていった。

****

次に目を覚ました時そこは森の中だった。

美久「ここが新しい世界なんだ・・・うん、いいところみたいだね」

辺りを見渡すとどうも森というよりは林といった感じで木々が適度に密集していて下草なども程よく生えていて歩きやすそうだ。

少し歩くと林を抜け、草原に出た。

空には太陽があり雲もある、風も吹いて空気は澄んでいて美味しい!

美久「綺麗な景色だなぁ~、やっぱり自然が一番だよねぇ」

しばらく鼻唄を歌って歩いていたら前方に何か見えた。

どう見ても盗賊っぽいのが馬車に群がっており、護衛と思われる騎士が戦っており、苦戦・・・とはいかないが結構手こずっているようだ。

美久「おおう・・・よし、能力を試してみますかっ♪」

私は心の中のビートを掻き鳴らしながら走り出した!

BPMに合わせてステップを刻みつつ、盗賊の背後から鉄山靠(をイメージした体当たり)をかまし吹き飛ばす!

ドゴォッ!!

盗賊A「なっなんだぁ!?」

いきなり後ろから殴られた事に驚く盗賊達だったが、私は構わず騎士の元へ向かう

美久「よくわかんないけど加勢したげよっか!?」

騎士「ど・・・どなたか知らんが感謝する!是非とも頼む!」

美久「任せなさいっ!」

私は構えてリズムを取り、身体からビートのリズムを溢れ出させる。

盗賊B「野郎・・・!!」

盗賊の一人がナイフを持って斬りかかってきたが今の私は森羅万象がリズムを刻んでいる、その程度の攻撃など私にとってはスローモーション・・・というより鼓動のリズムに合わせて避けていく。

美久「SAY♪HOOO♪」

そして鼓動のリズムに合わせ、足払いをしつつ相手の勢いを利用してキックをぶち込み転倒させ、持ってる剣を蹴飛ばして遠くにやった。

美久「さぁ、次は誰?」

盗賊C「クソガキがぁ!」

今度は2人がかりで襲いかかってきたが私は全く焦らず対処していく。

私は懐に潜り込んでからアッパーを放ち、そのまま回し蹴りを放って二人同時にぶっ飛ばした。

美久「HEY♪GO♪」

ビートに合わせて攻撃するとシンセのサウンドが脳内に流れて楽しいーっ!!

盗賊D「なんだってんだこいつ・・・!?」

美久「降参したいなら今のうちだよー?」

盗賊E「調子に乗ってんじゃねぇぞ糞アマァ!!」

盗賊達は一斉に飛び掛かってくるが騎士の人が援護に入ってくれた。

騎士の人は双剣で相手を撹乱しながら斬撃を浴びせ、私は隙を見てビートの拳を叩き込んだり蹴りを放ったりする。

美久「HEYHEEEY♪」

そして私はまた一人、また一人と倒していき、あっという間に全員倒してしまった。

美久「ふぅー・・・なんとかなったかな?」

騎士「助かった、本当にありがとう」

美久「いやいや、困った時はお互い様って事で」

騎士「私は王国騎士団所属のデュナという者だ、君は一体何者なんだい?」

美久「私は・・・」

そう言いかけると馬車の扉が開き、中から少女が出てきた。

???「あ、あの・・・助けていただいてありがとうございました・・・」

美久「いえいえ、たまたま通りかかっただけですので気にしないでください」

???「それでもです!えっとこれを受け取って下さい」

そう言って少女は私の手にハンカチを渡した。

騎士「アリア様それは・・・」

アリア「いいのデュナ!困ったことがあったらこのハンカチを見せてください、きっと力になってくれるはずです」

美久「あはは・・・なんか大袈裟だね、でもありがたく貰うよ」

デュナ「まったくアリア様は・・・ではこの盗賊達を連行するので参考人として一緒に来てくれ」

美久「わかりました」


そして馬車に乗って町に向う途中、色々話を聞いてみた。

どうもこの子の名前はアリア・フォン・デライトといい、この町の領主の娘らしい。

そして隣にいる騎士の人・・・名前はデュナ・フォレスターと言って、今回アリアちゃんの外出の護衛として付いてきているそうだ。

アリアちゃんはどうも私が気に入ったらしく、しきりと話しかけてきた。

アリア「あなたは冒険者の方なんですか?」

美久「いや違うよ、ただ旅をしてるだけなんだ」

アリア「そうなんですか、でも凄く強いですねっ!それになんだか不思議な感じがします!」

美久「そ、そお?そんなこと無いと思うけどなぁ」

アリア「だって、普通はあんなに強いなんてありえないですよ!」

美久「そおかなぁ~・・・えへへ」

そして町に到着し、盗賊をとっちめた報酬を得たのだった。

****

美久「いやぁ~しかし楽しかったなぁ~♪」

私は宿屋のベッドでゴロゴロしながら今日の事を思い出していた。

美久「まさか異世界に転生してしかもビートを刻みながら戦うなんてねっ」

今日の戦いを思い出す。

美久「盗賊達は強かった・・・でも私にはビートがあった! リズムに乗せて攻撃すれば相手の動きを予測し、リズムに合わせてステップを刻めばどんな攻撃だろうと回避できる! 私の鼓動のビートを刻むリズムには無限の可能性がある! これから先どんな強敵が現れようと私は負けない! 」

そして朝まで眠って宿を出たのだった。

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