表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

90/468

088 ツクロダダンジョン ②


 ダンジョンを進みながら、俺は地図を描いている。


 これまでのダンジョンでは、モンスターに道案内をさせていた。


 なので地図を描くという事が頭になく、同じ場所まで来るのに時間がかかってしまう。


 ちなみに紙とペンは、ストレージから出していた。


 またブラッドは見た目が狼男なので、こうした細かい作業には向かない。


 対して俺は両手足を獣から人に変えられるので、地図は俺が描くしかなかった。


 そうしてようやく、元の場所まで戻って来たわけである。

 

 壁の一部が破壊されたままなので、間違いない。


 かなり時間を喰ってしまったな。


 だが(なげ)いたところで仕方が無いし、ここは切り替えていこう。


 そう思いながら、俺たちは先へと進む。


 モンスターは相変わらず、スケルトンしか現れない。


 スケルトンのカードは既に十枚確保したので、これ以上カード化する気はなかった。


 また宝箱も発見して、ブラッドに罠を解除させている。


 気になる中身は、これだった。



 名称:ヒノキっぽい棒

 説明

 ・装備すると勇気が湧いてくるかもしれない。

 ・製作者が死亡した場合、この武器は自壊する。



 鑑定してみれば、正にゴミ装備と言える物が出てくる。


 ブラッドも鑑定ができるようで、この棒はいらないみたいだった。


 当然俺も必要ないので、この棒は宝箱に戻しておく。


 それからもいくつか宝箱を見つけたが、どれも持っていく気が起きなかった。


 なぜならその全てに、『製作者が死亡した場合、この○○は自壊する』という効果がついていたからである。


 これからツクロダを始末しに行く以上、持っていても意味がない。


 そもそもツクロダの作ったアイテムや装備など、使う気にはなれなかった。


 なので次からは、宝箱自体をスルーすることを決める。


 だがそれからダンジョンを進んでいくと、行き止まりの床に面白いものを発見した。



 名称:召喚の魔法陣スケルトン

 説明

 ・魔力を供給することで、一定の間隔でスケルトンを召喚する。

 ・製作者が死亡した場合、この魔法陣は自壊する。

 


 どうやらこの人工ダンジョンにモンスターを供給していたのは、この魔法陣らしい。


 ツクロダの神授スキルは、ここまでの物を作れるのか。


 魔力さえあれば、無限にモンスターを呼び出せるのかもしれない。


 おそらくあの大量のリビングアーマーも、こうした魔法陣から呼び出した可能性がある。


 このままツクロダの成長を許せば、いずれAランクやSランクモンスターを召喚できるようになるかもしれない。


 いや、もしかしたら、既にできるのだろうか?


 ダンジョンを進んでいけば、それも分かるだろう。


 ちなみに魔法陣は、そのまま放置した。


 破壊してまたスタート地点に戻されては、たまらない。


 そうしてダンジョンを突き進み、ようやく階段を見つける。


 いったい何階層あるか分からないが、このまま進むしかない。


 俺たちは警戒しながらも、二階層目へと下りていく。


 そして二階層目も引き続き、似たような光景が広がっていた。


 灰色の壁に、光る石が天井に埋め込まれている感じだ。


 しかし一階層目と違い、罠類は無かった。


 その代わり、モンスターが増えている。


 スケルトンはもちろんのこと、手足を模した石のモンスターも現れた。



 種族:ロックハンド

 種族特性

【浮遊】【集団行動】【硬化】


 種族:ロックフット

 種族特性

【浮遊】【集団行動】【硬化】



 大きさは成人男性の手足程度だが、その数が多くてやっかいだ。


 何より硬化のスキルでより硬くなり、こちらに飛んでくるのである。


 頭部に直撃すれば、流石の俺も危ない。


 しかし分かりやすい弱点があるので、そこを狙えば簡単に倒せた。


 ロックハンドの手の平には目があり、ロックフットの場合は足の裏に目がある。


 まあ、弱点を狙わなくても、獣化した腕で簡単に粉砕できたのだが。


 だが本来、こいつらはとてもやっかいなのだろう。


 実際ブラッドは、少々手こずっている。


 複数体から一度に襲われると、攻撃よりも回避することに集中してしまうからだ。


 俺の場合はレフとの融合で感覚が研ぎ澄まされており、またダークネスチェインを併用すれば対処は余裕だった。


 またカード化も当然行っており、使えそうなのでなるべく数を集めることにする。


 そのために俺は、この二種類を進んで倒していった。


 結果としてロックハンドとロックフットをそれぞれ五十枚、合計百枚手に入れる。


 加えてこの二層目は、この二種+スケルトンの物量作戦だったらしく、他に特出するべき場所は無かった。


 宝箱は開ける必要すらないので、スルーしている。


 そうして俺とブラッドは二階層目を進み、無事に三階層目への階段を見つけた。


 二層目は順調に進めたな。この階層ではブラッドも戦闘に貢献していたし、次もこの感じで頼むぞ。


 俺は心の中でそう思いながら、三階層目に下りた。


 三階層目は、霧が辺りを満たしている。


 視界が悪く、先がよく見えない。


 何があるか分からないので、俺たちは慎重に進んでいく。


 ちなみに先頭を歩かせていたゴブリンは、二階層目でカードが尽きている。


 元々王城に来るまでに何匹か消費していたこともあり、召喚可能な個体が既に残っていなかった。


 なので代わりのモンスターを召喚しようと思ったのだが、ブラッドが嗅覚で敵がいないか判断するという。


 また罠も先頭から直接見つけるので、任せてほしいとのこと。


 一理あると思ったので、先頭はブラッドに頼ることにした。


 罠の発見や対処、嗅覚については、俺よりも優れていることは間違いない。


 そうして先を進んでいたのだが、しばらくして問題が発生した。


「ガ、ガラダガ……」

「え?」


 突然ブラッドがそう言って、床に倒れる。


 俺は周囲を警戒するが、何も感じない。


 敵がいる訳ではなさそうだった。


 また何か罠にでもやられたのかと思ったが、そうした物も無い。


 なのでブラッドへと慎重に近づき、様子を確認する。


 それによって分かったのは、どうやら麻痺によって動けないということだった。


 モンスターでもなく、設置された罠類でもない。


 であるならば、この麻痺を引き起こしたのはおそらく、周囲に満ちる霧だろう。


 それ以外、現状では考えられない。


 俺は元々デミゴッドで状態異常に強いこともあり、体に不調などは見られなかった。


 しかし絶対ではないので、この階層に長居するのは危険である。


 俺はダークネスチェインでブラッドを引きずりながら、先へと進むことにした。


 この状態では、地図なども描いていられない。


 また種族特性に耐性は無いが、麻痺に何となく強そうなアシッドスライムを複数匹召喚しておく。



 種族:アシッドスライム

 種族特性

【強酸】【酸弾】【分裂】

【再生】【酸耐性(大)】



 とりあえず前後を任せ、俺は守りを固めた。


 するとそれから数分後、狙ったようにモンスターが現れる。


 出てくるのは今のところスケルトンだが、向こうは麻痺が効いていないようだ。


 やはり種族特性に耐性が無くても、効かないモンスターはいるらしい。


 ここまでモンスターが出なかったのは、おそらくこちらが麻痺で弱るのを待っていたからだろう。


 実際、ブラッドは動けなくなった。


 麻痺に耐性が無ければ、ここで詰んでいたかもしれない。


 俺はそう思いながら、スケルトンを蹴散らしていく。


 アシッドスライムにも、酸弾を使わせた。


 スケルトンくらいなら、余裕だな。


 そう一息ついたところで、次の面倒がやってくる。


 見れば薄っすらとだが、先の通路に罠が張り巡らされていた。


 まじか、ブラッドが動けないときに限ってこれか。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ