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倒したモンスターをカード化!~二重取りスキルで報酬倍増! デミゴッドが行く異世界旅~  作者: 乃神レンガ
第十二章

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431 ハンスの最後


「死ねぇええええ!!」


 ハンスがそう言って、ナイフを俺の胸に刺そうとしてくる。


 俺はそれを思考を加速した状態で、ゆっくりと眺めていた。


 ここまで来ると、(あわ)れだな。ナイフごときで、本当に俺を殺せると思っているのだろうか?


 いや、もはやハンスには、そこまでの思考力は残っていないのだろう。


 それとこのナイフを、避けることも受けることも可能だ。どちらを選択しても、俺にダメージは無い。


 加えて正当防衛の結果、反撃で偶然(・・)にも当たり所が悪く、ハンスを殺すことも可能だろう。


 だが俺は、これらの選択をしない。それよりも、良い方法がある。


 俺はそう考えて、即座にそれを実行した。


「――ッ!?」


 するとその瞬間、俺の目の前でハンスが光の柱に包まれる。


 そして光の柱が収まると、そこにハンスはいなかった。そう、跡形もなく消し飛ばされたのである。


 加えて神滅属性が付与されていたそれは、ハンス魂さえも、この世から消滅させた。


 また神域の存在+は、創神力を込められる。ならば神滅属性もできるかもしれないと試してみたところ、見事に成功した形だ。


 ハンス(ごと)きにはもったいなかったが、ハンスは最後に、良い実験材料になってくれた。


 そうしてハンスが消し飛ばされた光景に観客は言葉を失い、周囲に静寂(せいじゃく)が走る。

 

 よし、魔道具も壊れていないな。神滅属性を込めても、ちゃんとハンスだけを狙い撃ちできたようだ。


 俺はその事を確認すると、周囲に説明を始めた。


「どうやらジンジフレ様が、介入されたようだ。此度(こたび)の件を報告し終わった後も、どうやら俺のことを見ていてくださったらしい。

 そしてよほどの事がなければ介入しないと、ジンジフレ様は先ほど申していた。だがハンスの行いは、介入してしまうほどの事だったのだろう」


 その言葉に周囲がざわつく。俺に畏怖(いふ)と尊敬の眼差しを向ける者や、ハンスの末路に喜ぶ者など、多岐に渡る。


 またジンジフレの行いに、誰も文句を言わなかった。ハプンとサマンサも、無言を貫いている。


 神を犯罪者とすることはできず、逆にこれは天罰なのだと、受け入れているようだった。


 さて、これでハンスも完全にお終いだ。魂まで滅ぼしたので、奇跡が起きて蘇ることも無いだろう。


 実にあっけない最後だったが、神滅属性を使ったのだ。ハンスには贅沢な最後だろう。


 それにある意味、ハンスは歴史に名を残す。ジンジフレ教にとって、愚か者の代名詞としてだ。


 一応事の顛末(てんまつ)は、後々アルハイドにも共有しておこう。


 そうして俺は、この出来事の終わりを最後に告げる。


「これにて神罰は為された。罰を受けた者は、心を入れ替えて(はげ)むように。そしてジンジフレ様に、祈りを捧げるのだ」


 俺はそう言うと、魔道具のバリアーから出た。そして唖然(あぜん)としている初老の執事に命じて、ハンスの屋敷へと案内させる。


 ハプンとサマンサたちは、そのまま置き去りにした。


 俺がいなくなった後、色々と面倒なことになるかもしれないが、そんなことは知ったことではない。


 そうして行きのときと同じように、馬車に乗って移動を開始した。初老の執事は俺に怯えながらも、従ってくれた感じである。


 ちなみにこの執事も、罰を受けてサーヴァントを取り上げられていた。まあ、そんなことはどうでもいいが。


 加えて俺は、馬車の中で膝に乗せたレフの背を撫でながら、あることを思う。


 今回の出来事で、神域の存在+を色々と試すことができた。またいずれやろうと思っていた天罰関連も、前倒しで行えている。


 結果として神力はほとんど使ってしまったし、創神力も心もとなくなってしまった。


 一応神力の収支は現状プラスだが、今後は一定基準で自動的に天罰が下るようになったし、それを維持するために神力を払い続ける必要がある。


 また状況によっては、追加で支払うときもあるだろう。故に神力が最大まで回復するまでは、節約していくことにした。創神力も同様に、節約せざるを得ないだろう。


 それと現状では不可能だが、俺の元に集まってきたサーヴァントカードたちについて、何か使い道などを考えた方がいいかもしれない。


 今後は溜まる一方であり、サーヴァントたちは専用の空間で安らかな状態で、半ば眠り続けている感じだ。


 中にはそのまま眠り続けたいサーヴァントもおり、それについてはこのままでもいいだろう。


 だが外に出たい、もっと活躍したいと思っているサーヴァントには、何かしても良いかもしれない。


 しかしそれにはやはり大量の神力と、創神力が必要になるだろう。


 現状どちらも心もとないし、行うとしても相当後のことになりそうだ。


 だが心の隅に、このことは覚えておくことにしよう。


 そうして馬車は進み、ハンスの屋敷へと辿り着いた。


 ハンスの屋敷には信者が多くいことで、大混乱に(おちい)っていた。


 何かしらの甘い汁を吸っていた者も多く、サーヴァントを取り上げられた者も多い。


 そんな中で初老の執事は説明を求める者たちへ言葉を(にご)し、後ほど説明することにしたようだ。まずは俺への案内を、優先したようである。


 にしても、ハンスの屋敷は無駄に広いな。一応絵や壺などが置かれているが、正直いらない。


 だが足りなければ、あれらも回収することになる可能性があった。


 そうして屋敷の宝物庫にやってくると、警備している者たちが俺たちを止める。


 初老の執事が説明しても、警備の者たちはどかない。俺のことを、相当怪しんでいるようだ。


 正式なハンスによる、許可証が必要らしい。だがハンスは既に魂ごと消滅しており、当然許可証などはなかった。


 そのとき俺はふとあることを思い出し、ストレージから懐かしの【万能身分証】を取り出す。久々の出番である。


 俺は警備の者の一人に、万能身分証を見せた。


「何だそれは? そんなもので、通せるはずがないだろう!」


 しかし結果は、ご覧のとおりである。通してくれないようだった。


 国境門や街の出入りでは、普通に使えたんだがな……。そういえば、以前にも似たようなことがあったような気がする。


 確かダークエルフの村でも、封鎖されたダンジョンに入れなかったな。


 だとすればやはり、万能身分証は名称ほどの万能さは無いのだろう。まあ、3ポイントのアイテムだしな。


 一定基準を超える許可が必要な場所には、効果を示さないのだろう。


 であれば仕方がない。もう面倒なので、俺は手加減のスキルを使い、物理的に警備の者たちを眠らせた。


 おそらく二度とここに来ることは無いと思われるので、こうした方が早い。


 初老の執事はそれを見て顔を引きずっているが、宝物庫を開けて案内してくれる。どうやら、鍵自体は持っていたようだ。


 必要だったのは、あくまでもハンスの許可証だったらしい。


「こ、こちらでございます……」

「ふむ。ご苦労」

「にゃぁん!」


 宝物庫の厚い扉の先には、無数の金銀財宝があった。俺はそれらを確かめていくが、その内容はやはり微妙である。


 硬貨は金貨が最大であり、小聖貨や聖貨などは存在していない。


 装備品や魔道具なども、中途半端な効果のものばかりだ。スキルオーブも見つけたが、あっても下級までである。


 なるほど。ハンスの言っていた通り、貴重な物はアイテムボックスに入れていたようだ。


 しかしそれらはハンスの消滅と共に、二度と取り出せなくなってしまった。


 少しもったいなく感じるが、まあ仕方がないだろう。それにそこまで財宝には興味がないので、別に構わなかった。


 とりあえず宝物庫にある全てを、ストレージに収納しておく。


 正直試合で告げられた大金に足りているかどうかは、わからない。


 おそらく俺が足りないと言えば、たとえ足りていても追加で払ってはくれるだろう。この屋敷を売り払えば、確実に足りる。


 ちなみに宝物庫の物を回収したが、二重取りは発動しなかったな。


 報酬や与えられたものではなく、(みずか)らの力で手に入れた物だと、そう判断された可能性がある。


 試合の結果として大金を直接手にしていれば、報酬と判断されて、増えていたかもしれない。


 まあそれについては、仕方がないと思うことにしよう。


 あと屋敷の売却についてだが、正直面倒くさい。別に金銭が欲しいわけじゃないし、これで足りたとしておくか。


 そうして宝物庫は空になったので、俺は屋敷を出ることにした。


 初老の執事もどうすればいいのか困ったのか、そのまま俺についてくる。別に気にする必要は無いので、好きにさせた。


 さて、この町では有名になってしまったし、このまま町を出た方がいいかもしれない。


 しかし町の近くにあるダンジョンは、少し気になるんだよな。であれば軽く踏破して、そのまま去るというプランでいこう。


 おそらく一日あれば、ダンジョンボスのいる部屋までたどり着けると思われる。


 そうして俺とレフがハンスの屋敷を出ると、門の前には、なにやら見慣れない人物が待っていた。


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