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倒したモンスターをカード化!~二重取りスキルで報酬倍増! デミゴッドが行く異世界旅~  作者: 乃神レンガ
第十二章

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423 VSハンス+親衛隊 ②


 ハンスに命じられたキングは、シールドタートルの上に座りながらも、黄色い杖を掲げる。


 するとその瞬間、杖から一筋の(いかづち)が放たれた。


 そしてそれは偶然なのか、ハイレイスに向っていく。


 避け……くっ、無理か。


「――!!」

「……!」


 俺自身が認識できていても、ハイレイスの基礎能力では、回避が間に合わない。


 その雷はハイレイスに命中し、更には近くにいたマッドウォーリアーにまで繋がるようにして伝播(でんぱ)した。


 結果としてハイレイスはそのまま倒されてしまい、マッドウォーリアーは右腕が消し飛ぶ。


 この素早さと威力は、雷属性の中級魔法である、チェインライトニングだろう。


 レフも使えるが、相手が使用するとかなりやっかいな魔法だった。


「はははっ! 見たか! 選ばれし俺が手に入れた魔道具、雷鳴(らいめい)の杖の力だ! 強いぞ! かっこいいぞ!」


 今の攻撃に満足したのか、ハンスが嬉しそうに声を上げる。


 なるほど。あの黄色い杖は、雷鳴の杖というのか。どこで手に入れたかは知らないが、強力な魔道具なことには変わりない。


 キングは基礎能力こそ普通のオークと大差ないらしいが、魔法関連だけはランク相当のようだ。つまり魔力が多く、魔力操作力も高いことになる。


 これは、こちらもサンを出すべきだろうな。


 すると俺がそう思っていると、調子に乗ったハンスが続けてキングに命令を出す。


「キング! あのむかつく二首の犬を消し飛ばせ!」

「ぶうぇっへっへ!」


 命じられたキングは、再び雷鳴の杖からチェインライトニングを放つ。


 しかしそれに対するネクロオルトロスは、シャドーステップを使い余裕で回避をしてみせた。


 一度見ている上に、ネクロオルトロスは素早い。更にはBランクのモンスターだ。来ると分かっていれば、避けるのは十分に可能だろう。


 だがそれは予想外だったのか、ハンスが声を上げる。


「なっ!? ふざけんな! 避けんじゃねえよ!」


 けれども口ではそう言うが、回避した姿が面白いのか、ニヤついていた。


 またハンス側の動きは、それだけではない。

 

「ゲゲコォ!」

「……!!」


 こっそり動いていたガマゴールにより、負傷していたマッドウォーリアーがやられたのである。


「がはは! ざまあみやがれ! 俺のことを忘れていたのかぁ!」


 マッドウォーリアーを倒せたことに、昨日の腹いせなのかガマッセが指を差しながら、そう言って笑い声を上げる。


 だが見事に隙をついたと思っているのかもしれないが、俺としては計画通り(・・・・)だった。

 

 来るのは分かっていたが、あえて見逃したのである。


 マッドウォーリアーには悪いが、バランスを考えてここで退場してもらった。


 試合は可能な限り、接戦を演出しなければいけない。


 しかし相手は当然それを知らないので、一応声に出しておく。


「くっ、ガマゴールのことを失念していた……」


 俺の言葉を聞いて、ハンスとガマッセは、それはもう嬉しそうだった。喜んでくれたようで、何よりである。


 さて、そろそろ動くか。


「サン! 出番だ! キングを倒せ! ネクロオルトロスはガマゴールとプンクの足止めだ! ソイルセンチピートは引き続き眷属を出産して、相手の眷属を食い止めろ!」

「ギギッ!」

「ウォン!」

「キシャッ!!」


 配下たちはその命令により、それぞれ動き出す。もちろん繋がりからは、細かく指示を出している。


「はっ! ようやく動くのかよ! 遅すぎるぜ! ぶっ殺してやるよ!」

「あの犬は強いかもしれねえが、二対一なら余裕だろ!」

「ジンさんには申し訳ないですが、ここは勝たせてもらいますよ」

「あの気持ち悪い虫は、任せてください!」

「先にやられちゃったけど、みんな頑張って!」



 ハンスたちはそう声に出して、やる気を(みなぎ)らせていた。


 その言葉からは自分たちが負けることを、微塵(みじん)も感じさせない。自分たちの方が有利だと、そう思っているようだ。


 けどここからは、それを少しずつひっくり返させてもらおう。


 まずはその場から走り出したサンが、右手に持つ種族由来の大剣を振るった。


 そこから挨拶代わりに、キングへとウィンドカッターが放たれる。


 だが命中する直前、半円状のバリアーのようなものが、キングを包んで攻撃を(はじ)いた。

 

 なるほど。あれがシールドタートルの希少盾系スキルである、シールドシェルか。


 情報収集で、そのスキルのことは知っていた。だからこそ、ウィンドカッターを放ったのである。


 確か自身の甲羅(こうら)の強度を上昇させて、また甲羅の強度と同等のバリアーを発生させるんだったか。


 サンのウィンドカッターを弾いた通り、中々の防御力を誇るようだ。


 ランクはCだが、防御力はBランク以上かもしれない。


 そんな事を思っていると、突き進むサンの前方に、ハイサハギンが立ちふさがった。


「ギョギョッ!」


 すると驚くことに、手に持っている槍を投擲してきたのだ。加えてスキルが発動しているのか、ものすごい勢いでサンへと迫る。


「ギギッ!」


 だがその飛んできた槍を、サンは聖剣アルフィオンで叩き落とした。


「はぁ!? 何だよそれ!!」


 ハンスがまた文句を言っているが、その間にキングがアイテムボックスから槍を何本も出して、ハイサハギンへと渡していく。


 なるほど。投擲したのは、ああやって補充できるからか。


 モンスターがスキルで何か取り出す分には、ルール違反にならないのかもしれない。


 またバリアーの内側からなら、外に干渉できるみたいだ。


 加えてシールドタートルも、口から水属性魔法である、ウォータショットを飛ばしてくる。


 それについては簡単に回避可能だが、うっとうしいことには変わりなかった。


 更に近づくにつれて、キングもチェインライトニングを放ってくる。


 流石に命中するとダメージを受けるので、サンはそれを回避したり、ライトバリアで防いでいく。


 ちなみにライトバリアは、何故かライトバリアーではなく、ライトバリアという名称である。


 まあ、どうでもいいことだが。


「何で倒れねえんだよ! くそっ! キング! 金貨一枚だ!」

「ぶうぇっへっへ!」


 すると倒れずに向かってくるサンに脅威を覚えたのか、ハンスはキングへとそう命じる。


 それによりキングはアイテムボックスから金貨を一枚取り出すと、サンに向けて金貨を投擲してきた。


 来た! これが銭投げか!


 投擲された金貨は黄金の流星のような輝きを放ちながら、サンへと一直線へと向かってくる。加えて回避しようとしても、追ってくるように軌道修正をしていた。


 それに対してライトバリアを張って防ぐが、なんと銭投げはそれをガラスを割るかのように貫通していく。


 だがそこから数枚のライトバリアを発動させると、流石に貫けなかったのか、光の粒子になって消えていった。


「ふざけるな! 俺の金貨が無駄になったじゃねえか! そのまま死んでろよ!!」


 ハンスはかなりの富を手に入れているはずだが、金貨一枚による銭投げが防がれたことに、怒りを(あら)わにする。


 しかしそれに対して俺は、ハンスの怒りよりも、銭投げへの興味が尽きない。


 金貨一枚であの威力か。であれば硬貨の一番上である聖貨を使用した場合、どれほどのものになるのだろうか。


 金貨の上には、小聖貨、聖貨という順に存在している。


 十枚で次の硬貨の価値なので、聖貨は金貨の百倍の価値なのだ。


 だが流石に、銭投げがそのまま威力百倍とは考えづらいな。というか今のハンスの様子から、相当追い詰められない限り、聖貨を使用することは無いだろう。


 ただもし仮に聖貨を銭投げに使用した場合、サンでも危ないかもしれない。


 それに一枚ではなく、複数枚を消費して発動することも可能だと思われる。


 金貨複数枚ならハンスは(しぶ)りながらも、普通に投げさせる気がした。


 また念のため、もし聖貨を銭投げに使用するような素振りを見せたら、即座に対処させよう。


 この先のことに少し支障が出たとしても、全力で阻止した方がいい。流石に聖貨を投げられたら、演出など気にするべきではないだろう。


 俺はそう思いながら、試合の行く末に思考を巡らせるのだった。


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