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倒したモンスターをカード化!~二重取りスキルで報酬倍増! デミゴッドが行く異世界旅~  作者: 乃神レンガ
第十二章

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410 サーヴァントバトル ①


 サーヴァントバトルの会場は、町から出てすぐの場所にあるらしい。


 最初はバトルで町に被害を出さないために用意したらしいが、今では観客席や出店まで作られているようだ。


 また外部からのモンスターによる襲撃も考えて、簡易的な木の壁で囲っているらしい。


 なので町の外にあるとはいえ、ある意味セマカの町の一部になっているとのこと。


 そんな話しを聞かせてくれた少年二人にも、自己紹介をしてもらった。


 まず優しそうな雰囲気で茶髪の少年が、ブラウンという十六歳。


 次に少し気の強そうな緑髪の少年が、グリンといってこちらも十六歳のようだ。


 二人は幼馴染であり、お互いに切磋琢磨(せっさたくま)してきたらしい。


 だが十歳のときに授けられたスキルが、どちらも微妙なスキルだったようだ。


 それで苦労をしてきたらしいが、サーヴァントカードのおかげで運命が変わったらしい。


 サーヴァントカードは、微妙なスキルを授かった者への救済になったようだ。


 たとえ弱いサーヴァントカードだとしても、微妙なスキルよりはマシとのこと。


 なので二人は、ジンジフレのことを心から信仰しているらしい。


 ふむ。ハンスが増長したことに思うところはあるが、それによって救われた者もいたわけか。


 確かにスキルの中には、微妙なスキルがある。十歳のときに周囲が武器適性や属性適性などを得ている中で、木登り上手やバッタの友達などのスキルを得たら、絶望するだろう。


 もしかしたらそれにより、イジメに発展する可能性もある。


 だとしたらサーヴァントカードは、そういう者たちにとっては救いになるだろう。


 まあ、力ある者がサーヴァントカードを手にしたら、力の差は縮まらない可能性もあるけどな。


 しかしそれでも、サーヴァントカードがあればダンジョンに潜ったり、町中で依頼を受けることもできるだろう。


 そう考えると、やはりサーヴァントカードは革命的かもしれない。


「へぇ。ジンさんはサモナーでもあるんですね。それはすごいです。けど僕のサーヴァントも、負けていませんよ」

「むしろ死んでも復活できるサーヴァントの方が、質では上回っているはず。悪いが俺たちサヴァナーが、使役者として一歩先だろう」


 自己紹介を終えると、ブラウンとグリンは自信満々にそう言った。サモナーやテイマーには、負ける気はないようだ。


 ちなみにサーヴァントカードを使う者を、サヴァナーというらしい。初めて聞いたが、便利だしその呼び名を使わせてもらおう。


 城の城下町では、そういった呼び名は無かったからな。後で繋がりから言葉を話せる配下を経由して、アルハイドたちにも広めておこう。


 そうして俺たちは、町の外にある会場までやってくる。人が多く、とても賑やかそうだった。


 ちなみに俺がセマカの町に入った方向とは、逆の場所に存在していたので、町に入る時には気がつかなかった感じである。


 また町の外にも関わらず、人の数が多かった。見れば戦闘ができない一般人の姿もある。


 本来町の外は野生のモンスターが飛び出してくるかもしれないので、大変危険だ。


 しかしこの会場の警備はしっかりとされており、町の中のように安全が保たれているようである。


「出場者はこっちです。ついて来てください」

「ああ、わかった」

「にゃぁん」

「へへっ、三対三は久しぶりだから、楽しみだぜ!」


 俺は二人についていき、受付のような場所にやってくる。登録などは、ブラウンが行ってくれた。


 それとどうやら、三対三でもいくつか種類があるみたいである。


 三人同時にサーヴァントを出して戦うタイプと、一対一を三回行うタイプという感じだ。


 また後者の場合、勝ち抜き戦にすることも可能らしい。


 ただ俺は二人と出会ったばかりで連携は難しいと思われたことにより、一対一を三回行うタイプになった。


 加えて一回ごとに交代して、多く勝ち星を上げた方が勝ちという感じである。それと先に二勝されても、三回目も行うみたいだ。


 なので俺が初めてということもあり、先に二人が戦う様子を見ることになった。つまり俺の出番は、最後である。


 そうして相手を探すことになったのだが、参加者が多いこともあり、すぐに見つかった。


 しかしその相手を知って、二人は苦い顔をする。


「うわっ、これは勝てない……」

「まじかよ。まさかハンス親衛隊と当たるとか、ついてないだろ」

「ハンス親衛隊?」


 なんだそれは? いや、名称通りなんだろうが、そんなのまでいるのか。


 訊けばやはりハンスが何かする際に、付き従う者たちの総称のようだった。


 ただこれは誰でも名乗ることはできないようであり、ハンスに力を認めて貰う必要があるらしい。


 そしてハンス親衛隊は実力者が多く、サーヴァントのランクもDランク以上が多いようだ。


 ただし中にはランクが低くても、金持ちや町の権力者の関係者であれば、特別に加入できるらしい。


 そんなハンス親衛隊が、対戦相手に一人いるようだ。しかもちょうど三番手であり、俺と戦うことになりそうである。


 ちなみに残りの二人は、ハンス親衛隊ではないみたいだ。この町ではハンス親衛隊は有名人であり、名前を見ればそれが分かるとのこと。


「くっ、ここで対戦を辞退したら、もしかすると目をつけられるかもしれない。じゅ、順番、変わろうか?」

「いや、大丈夫だ。そんなに強いなら、是非戦ってみたい」


 ブラウンが心配してそう申し出てくれたが、俺はそれをあっさりと断る。


 ハンス親衛隊の実力がどれくらいなのか、確かめてみたかった。


 しかしそうとは知らないグリンは、俺の言葉に驚いた反応をする。

 

「すげえな。あのハンス親衛隊に(おく)することがないとは……」

「逆にどんなサーヴァントが出てくるか、楽しみなほどだ」

「ジンさんはすごいね。僕はジンさんのサーヴァントが気になってきたよ」

「確かにそれだけの自信があるのなら、きっとすごいサーヴァントなんだろう。なら、ここは任せよう」


 そうしてハンス親衛隊がいるチームと戦うことが決まり、俺たちは移動を始めた。


 戦うためのステージはいくつもあり、割り振られた場所で対戦相手が来るまで待つ感じである。


 なので対戦相手であるハンス親衛隊がいるチームは、既にそこで待っていた。


「ようやく来たか! 待ちくたびれたぜ! どうせ俺の名前を見て、辞退するやつばかりだっただろうからな! 逃げたやつは、後で名前を確かめてやる! がははっ!」

「へへへ、ガマッセの兄貴は有名人ですからね」

「んだんだ。流石はガマッセの兄貴!」


 するとまるでガマガエルのような顔をした巨漢の男と、それに付き従う男が二人いる。


 どうやら対戦相手を待っていたようであり、俺たちの登場に嬉しそうだった。


「じ、実際に近くで見ると、迫力がある人だなぁ……。でも辞退しなかったのは、やっぱり正解だったみたいだね」

「くっ、なんであんな奴が、ハンス親衛隊なんだ……」


 二人はガマッセに聞こえないように、小さな声で愚痴(ぐち)をこぼした。

 

「ほらっ! さっさと準備しろ! 俺たちは待ちくたびれているんだからな!」

「ッ!? は、はい! すぐに準備します!」


 ガマッセの怒声に、ブラウンが慌てて返事をする。


 そうして草が無くなっている土のステージの向こう側に、俺たちは移動した。


 ステージは長方形で広く、モンスターが戦うには十分のスペースがある。ある程度大きなモンスター同士の戦いにも、対応している感じだ。


「順番は僕、グリン、ジンさんで、相手はキギョさん、ウニチさん、ガマッセさんの順だね。負けても問題はないし、気楽にいこう。サーヴァントはやられても復活するし、大丈夫だ」

「ああ。だが俺たちも、できる限り勝ちに行こう。ハンス親衛隊とその取り巻き以外でも、優秀なサヴァナーがいるということを示してやろう」


 二人は緊張しながらも、戦いの前にそう声をかけあう。


 チーム戦か。思えばモンスターバトルでは、経験したことがなかったかもしれない。


 二人が緊張しているところ悪いが、俺はこの戦いが楽しみだ。


「そうだな。初めてのサーヴァントバトルだが、勝てる相手なら勝たせてもらおう」

「にゃぁん!」

「レフ、悪いがお前の出番はないぞ」

「にゃ゛っ!?」 


 そうしていよいよ、サーヴァントバトルが始まるのだった。


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