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SS エルフの大陸の変化 ③

※推奨読了話数156話くらいです。


 ダークエルフ側から、ジン(ジオス)の活躍を映し出す水晶玉が、エルフ側へと無事に届いた。


 当初はダークエルフ側の創作だと疑われたが、このような技術を持つはずが無いとすぐに判断される。


 また裏取りをするために、エルフたちは自称ハイエルフたちの拠点だった場所を調べることにした。


 その結果としてエルフたちはユグドラシルと遭遇して、この水晶玉の内容が概ね事実だと知ることになる。


 故に自称ハイエルフの脅威が去ったことに歓喜して、事態の終息の宣言をしたのだった。


 もちろん自称ハイエルフに協力した者への罰が命じられ、ダークエルフたちとの共同戦線も破棄される。


 またダークエルフたちの独立を認めたのは、自称ハイエルフの脅威があったからだった。


 加えてこれまでは塩を握っていたが、ダークエルフ側にも塩が手に入るダンジョンが現れてしまっている。


 それによって、これまで塩利権で富を得ていたエルフたちからの反発の声も大きい。


 なのでこれに対して一部のエルフたちの中で、ダークエルフを再び服従させるべきだと主張する者たちが現れ始めた。


 更にはユグドラシルの元から逃げ出した者からの情報で恩恵を知り、ユグドラシルを手に入れて管理する必要があると、そう主張し始めたのである。


 当然これに反対して、平和的に事態を収めることを主張した者たちもいた。


 しかしエルフの中で最も地位の高い大長老が前者側に立ったことで、争うことが決まってしまう。


 その一つ下の地位にある四長老の一部も、これに賛成してしまった。


 またこの中で一番に反対していた四長老の一人、メース・ガッキ・ワカラッセは、事が済むまで投獄されてしまう。


 そうしてエルフたちの侵略の魔の手が、ダークエルフとユグドラシルに伸びようとしていた。


 だがそれに対して、ユグドラシルは状況を全て把握していたのである。


 エルフたちと同様に、ユグドラシルも情報収集をしていたのだ。


 ユグドラシルは裏取りのためにやってきたエルフたちに、小さな種子を付けていたのである。


 この種子は周囲の情報を収集することができ、またノミのように跳躍して、移動する事も可能だった。


 加えて感知系スキルにも見つかりづらく、小さいので目視でも発見しづらい。


 たとえ見つかったとしても、エルフにとって草花や種子が付着していることなど、日常茶飯事だ。故に気にする者はいなかった。


 そうしてエルフたちの侵略を知ったユグドラシルは、ある決断をする。


「あの人が帰ってきた時のために、エルフたちにはおとなしくしてもらいましょうか」


 そう言って、エルフたちを倒すことを決めたのだった。


 もはやルフルフは、返ってはこない。だが、ジンはまた来る可能性があったのである。


 そのときにエルフたちのせいで、ジンがまたいなくなってしまうかもしれない。


 ユグドラシルにとって、それは看過できないものだった。


 いつの間にかユグドラシルの中で、ジンの存在が大きくなり、執着心が生まれていたのである。


「そうだ。私とあの方は、夫婦ということにしましょう。そう、旦那様。私の旦那様よ。ふふふ」


 そうしてジン(ジオス)はユグドラシルの旦那であり、更には恋に落ちて様々な困難を乗り越えた末に、この大陸を救ったということになった。


 ちなみにジオスがいなくなったのは、世界を救うための旅に出たことになっている。


 ユグドラシルも本当はついていきたかったが、本体は巨大な木である以上、それが叶わなかった悲しき物語という風に、創作をしたのだった。


 またダークエルフたちがジオスフィーバーの真っ最中であることも知り、ユグドラシルはダークエルフたちとも接触を果たす。


 エルフたちの野望も伝えたところ、ダークエルフたちは当然立ち向かうことを選択する。


 またユグドラシルとも、ジオス繋がりで意気投合したことで、同盟関係になった。


 なおユグドラシルは話の中で、自称ハイエルフによって生み出されて洗脳された上で、搾取されていた被害者ということになっている。


 故にダークエルフたちから(あわ)れに思われても、恨まれることは無い。むしろそこからジオスに救われて恋に落ちたという、美談になっている。


 また水晶玉の映像とつじつま合わせをして、操られながらもジオスの勝利のために貢献していたことになっていた。


 真相を知るのはジン本人とゲヘナデモクレス、そして自称ハイエルフたちだけである。


 当然この場にいるはずもなく、ユグドラシルの都合のいい物語に反論する者はいなかった。


 またダークエルフたちも、自分たちを救ってくれたジオスとユグドラシルの物語に興奮していたのである。


 これまで資源が少なく戦うことばかりだったダークエルフたちにとって、この物語は最高の娯楽でもあった。


 結果としてこの物語はあっという間に広がり、ダークエルフたちの気持ちは一つになっていく。


 故に双方の間には、これによって強い絆が生まれたのだった。


 しかしそんな事など(つゆ)知らず、エルフたちはゆっくりと準備を進めていたのである。


 こうした時でも行動が遅いのが、エルフたちの欠点だった。


 逆にユグドラシル側は自称ハイエルフたちの教育により、行動が早かったのである。


 またダークエルフ側も、手に入れた独立を手放したくないがために、急ピッチで準備を進めていた。


 加えて元々自称ハイエルフとの戦いを想定していたため、思ったよりも早く準備は終わる。


 対してエルフ側は一度終息の宣言をしていたこともあり、戦の準備には時間を要した。


 本来ダークエルフとユグドラシル側を足しても、実はエルフ側の方が有利である。


 以前は自称ハイエルフたちがいたので、戦力的に渡り合えていたに過ぎない。


 だがその有利も、愚かなことに無くなってしまう。


 またエルフたちの気のゆるみや楽観視、更には本気度の違いにより、その差は覆っていたのだ。


 そのことに対して、当然エルフたちは気がついてはいない。


 そうしてあっという間に準備を整えたダークエルフたちとユグドラシルたちは、打倒エルフに動き出す。


 攻められる前に攻めろの精神で、ユグドラシルたちとダークエルフたちの連合、神聖ジオス軍が侵攻を開始したのである。


 ちなみにその時この戦いでジオスは旗印になり、また戦の神として、信仰されるようになっていた。


 ()しくもそれは、【神聖なる存在】の称号を、ジンが手に入れた頃の出来事である。


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