SS エルフの大陸の変化 ①
※推奨読了話数156話くらいです。
ジンが旅立ってからしばらく、エルフの大陸では大きな変化が訪れていた。
まず初めにダークエルフたちの中で、ジオスフィーバーが起きていたのである。
ゲヘナデモクレスから特殊な水晶玉を受け取ったダークエルフは、これをラズン族長国の宗主である、ダザシャ・ラズン・フィルスールに急いで持っていった。
そしてこの水晶玉から得た情報に対して、ダザシャはいたく感動したのである。
ジオスが自称ハイエルフたちを打倒して、その中で最も憎かったボンバーを始末してくれたことを知ったからだ。
映像には妖精の森だけの活躍だけではなく、この大陸に来てからのことも、いくつか加えられていたのである。
しかしそれでも新たなこの国の宗主、族長として、即座に信じる訳にも行かず、自称ハイエルフがいた妖精の森へと偵察を出した。
また現在エルフとは不可侵条約及び、共同戦線を張っている。
故にダザシャは、水晶玉の一部をデグル大長老国の四長老の一人であり、今回の橋渡しになってくれた人物へと水晶玉を渡すことにした。
今回エルフと条約や戦線を張れたのも、その人物がエルフの中でも数少ない、ダークエルフに対して差別的でない上位の者だったからである。
その名前を、メース・ガッキ・ワカラッセという。
エルフの国の中央付近にある、中規模のガッキ村の出身。またエルフの中でその名を知らぬ者がいないほどの名門、ワカラッセ氏族の長でもあった。
メースとはとある事が切っ掛けとなり、百数十年前に個人的な繋がりが出来た関係でもある。
信用できる人物であり、この水晶玉を渡しても上手く使ってくれるはずだと、ダザシャは信じていた。
そうして水晶玉は、エルフの元にも届いたのである。
また妖精の森にも、大きな変化が訪れていた。
自称ハイエルフたちがいなくなり、ユグドラシルがその支配権を手に入れたのである。
しかしユグドラシルが暴走したことで、自称ハイエルフたちに従っていた多くのエルフたちが、逃げ出していた。
それでも少し時間が経てば、ポツポツと戻り始めたのである。それはユグドラシルの恩恵が素晴らしく、住み心地が良かったからだった。
また生き残ったフェアリーたちも、その多くがその場に残っている。
フェアリーたちは元々この森で生まれた存在であり、ユグドラシルのとてつもない力を目にして、恭順の意を示していた。
加えて戻ってきたエルフとフェアリーたちの前に、ユグドラシルは妖精のような分身を創り出して、その前に現れる。
そして自身がユグドラシルそのものであり、ハイエルフの後継者として、この地を治めることを宣言した。
だがしかし、最初は当然のように怪しまれてしまう。けれどもその力の一端を示したことで、エルフたちの信用を即座に勝ち取った。
流石にユグドラシルによる奇跡をその場で言った通りに起こせば、信じるしかない。
またフェアリーたちが、先に従っていたのも決め手になっている。
であれば、再びユグドラシルの恩恵がほしいエルフたちが従うのは、必然だった。
そうしてユグドラシルが新たな支配者になると、まず初めに妖精の森という名称の変更を行う。
元々はクイーンフェアリーがいたが、それは既に存在していない。現在の頂点は、ユグドラシルだった。
故に新たにこの森を、ユグドラシルの森という名称に変更することを決める。
そしてユグドラシルが暴走した結果、その余波で大きな被害を受けた町の復興を、エルフたちと共に始めるのだった。
エルフの大陸編で中央に行くのをカットした関係で、メース・ガッキ・ワカラッセはお蔵入りになった経緯があります。
なので第四章の初期から、実は設定はありました。影響を受けた存在が、配下にいますよね。(笑)
果たしてメース・ガッキ・ワカラッセ。本編で登場する日は、来るのでしょうか。