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388 城での進化 ①


 そうして案内してもらったのは、広々とした訓練場である。今の時間は使われていないみたいだし、ここならば進化させた配下を召喚しても大丈夫だろう。


 また案内してくれたメイドのルイーザが、人払いをするか訊いてきたけれども、別に構わないと言っておく。


 もはやこの城では、俺の存在やある程度の能力について、知れ渡っているみたいだしな。


 見ればチラチラと、俺の様子を伺っている者たちがいた。中には、祈る者までいる感じである。


 何だか少し気になるが、この城に滞在している間に慣れるしかないな。逆にコソコソする方が、面倒な気がする。


 そう思いつつ、俺はまず進化させる順番を決めることにした。


 うむ。ランクアップモンスターが先で、次にフュージョンモンスターにしよう。その中での順番は、入手順でいいか。


 今回進化させるのは四体であり、順番はトーン、ルトナイ、サン、アロマという感じで決めた。


 そういえば一度に四体も進化させるのは、初めてのことだな。そう考えると、何だかワクワクしてくる。


 どのような進化を()げるのか、俺は今から楽しみで仕方がない。


 そして俺はいよいよ、配下たちの進化を実行に移す。


 よし、まず最初は、トーンからだ。


 俺はトーンのカードを取り出すと、生贄となる代償のカードを用意する。


 トーンはCランクのトレント系なので、代償は同じCランクでトレント系である、アプルトレントが十枚だ。


 ランクアップモンスターは、基本的に同じ系統で同じランクなら、代償の枚数は十枚で済む。


 だが代償にするカードのランクが低いと、必要な枚数が増える感じだ。


 なので今回は、アプルトレント十枚で問題ない。ちなみにアプルトレントの枚数はこれで、三十枚から二十枚になる。


 そうして俺は、トーンの進化を実行した。それによりカードが一瞬輝き、トーンのカードが新たな姿を現す。


 よし、無事に進化ができたみたいだな。いったいトーンは、どれくらい強くなったのだろうか。


 俺はそう思いながら、早速その内容を確認してみた。


 

 種族:デスウォールトレント(トーン)

 種族特性

闇盾(あんじゅん)木壁(ぼくへき)】【ルーツウォール】

【身体操作上昇(中)】【エナジードレイン】

【生命感知】【偽装擬態】【貯蔵】

【苗床吸収】【骸木人生成】


 エクストラ

【ランクアップモンスター】


 スキル

【樹液果実生成】



 進化を遂げたトーンはネクロトレントから、新たにデスウォールトレントになったようである。


 カードから確認できる容姿は、以前と似たような雰囲気があった。


 黒茶色の木の部分と、中央付近にある目は赤く吊り上がっている。


 以前との違いは、葉の色が赤色からトレント本来の緑色に戻ったことだろうか。


 おそらくランクとしては、順当にBランクになったような気がする。


 また気になったスキルの効果も、確認してみた。

 


 名称:【闇盾(あんじゅん)木壁(ぼくへき)

 効果

 ・一日に三時間周囲に闇の結界を展開する。

 ・このスキルには以下の効果が内包される。

【盾適性】【闇属性適性】

【闇属性耐性(中)】【物魔耐性(小)】

【硬化】【再生】【ガード】【パリィ】

【シールドバッシュ】【挑発】

【シャドーニードル】【シャドーバインド】



 名称:ルーツウォール

 効果

 ・盾のような根の塊を影響範囲内で生成し、操作することを可能とする。

 


 名称:樹液果実生成

 効果

 ・樹液を生成する。

 ・果実を生成する。



 色々とスキルや装備が消失したと思っていたが、どうやら【闇盾(あんじゅん)木壁(ぼくへき)】というスキルに、だいたいは内包されたらしい。


 また周囲に闇の結界を展開できるらしく、どのような効果なのかはまだ未知数だ。これはあとで試してみようと思う。


 それと他にはルーツウォールという、盾のような根の塊を生み出して操ることができるようだ。


 おそらくこれは、盾スキルと組み合わせて運用する形だろう。盾としての役割と同時に、トーンのメインウエポンになるような気がした。


 そして樹液生成が、樹液果実生成に進化している。今回の進化による、スキルのランクアップ対象になったのだろう。


 効果内容はふわっとしているが、これは期待ができる。どのような樹液と果実が生成されるのか、実に楽しみだ。


 スキル構成を見た感じ、トーンは順当に強みを伸ばした進化を遂げたようである。


 さて、確認も済んだし、実際にトーンを召喚してみよう。


 そう思い俺は、早速進化したトーンを訓練場の広い場所で召喚した。


「トーン、出てこい!」

「――ギィ」


 すると以前よりも低い、まるで木が擦り合わさったような声を響かせながら、トーンが現れる。加えてその大きさは、予想以上だった。


「おおっ、でかいな……」

「――ギギッ」


 トーンのサイズは見上げるほど大きく、何より横にも太い。


 高さは二階建ての家くらいであり、横幅は高さよりは当然細いものの、まるで壁のように広かった。


 正直部屋の中で召喚していたら、大変なことになっていただろうな。


 また以前のように木の一部が縦に開くと、中にはハエトリグサのような鋭い歯が並んでいる。


 加えてよく見れば、口内にも様々なトゲや鋭い根っこなどが確認できた。


 おそらくその中に放り込まれたら、生還することは困難だろう。


 それにスキル以外の基礎能力も高そうだし、Bランクモンスターの中でも、強い方だと思われる。耐久面でいえば、Aランク相当なのは確実に違いない。


 しかし今後の壁役としては申し分ないが、やはりネックなのはその大きさである。場合によっては、マイナスの方向に働くこともあるだろう。


 ふむ。これは縮小のスキルオーブを手に入れて、覚えさせる必要がありそうだな。


 確かまだあったはずだが、他にも縮小のスキルを覚えさせたい配下がいる。それに今後も縮小のスキルは必要になるだろう。


 なのでどうにかして、縮小のスキルオーブを新たに入手したい。とりあえずそれについては、後で考えよう。


 そう思いつつ、俺は気になっていたスキルを実際に使わせてみることにした。


 まずは、【闇盾(あんじゅん)木壁(ぼくへき)】の結界である。


「トーン、結界を出してくれ」

「――ギィ!」


 命じてみるとその瞬間、紫色の半透明な結界が、トーンを中心に半円状に広がった。


 なるほど。こんな感じになるのか。


 トーンに使ってみた感じを訊いてみると、どうやら敵を中に入れないようにすることができるらしい。また味方判別をした者は、出入りが自由なようだ。


 加えて物理攻撃はもちろんのこと、魔法攻撃も防ぐことができるとのこと。ただ見た目通り、闇属性には強く、光属性などには弱いみたいだ。


 一日に三時間とはいえ、もしもの時は即座に展開できるので、便利なことには違いない。


 また範囲を狭めれば強度が上がり、広げればその分強度が下がるので、注意が必要のようだ。


 そうして次に、ルーツウォールを試すことにした。


「トーン、次はルーツウォールだ」

「――ギギ!」


 すると周囲の地面から、巨大な根っこが無数に姿を現す。途中までは太い普通の根っこなのだが、先端は盾のように四角く、巨大な根っこの集合体のような感じになっている。


 また自由に動かせるようであり、とても迫力があった。人一人など、簡単に押し潰せそうな規模である。


 何より一本だけではなく、無数に生やすことができるのが素晴らしい。これは集団戦でも、活躍しそうである。


 更にこのルーツウォールへと硬化を発動した上で、シールドバッシュを行えば、大抵の敵はひとたまりもないだろう。


 やはりこのルーツウォールは、トーンにとってはメインウエポンになりそうだ。


 そうしてルーツウォールを解除してもらうと、一瞬で腐るようにして小さくなり、瞬く間に消えてしまった。


 どうやら生成した後も残り続けるということは、無いようである。

 

 そして最後に、【樹液果実生成】を試すことにした。


「トーン、最後に樹液果実生成を頼む」

「――ギギィ!」


 俺がそう命じると、トーンは自身の根っこの一つを俺の元へと伸ばし、スキルを発動する。


 するとトーンの根っこに、アプルの実が()った。どうやら根っこの先からでも、果実が作れるようだ。


 早速取って(かじ)ってみると、甘さと酸味が良い塩梅で口の中に広がる。とても美味しかった。


 これはアプルトレントのアプルよりも、数段上かもしれない。これは高級フルーツ店にも、出せるレベルだろう。


「にゃにゃ!」

「ああ、レフにもやろう」

「にゃぁ!」


 ここまでついて来ていたレフにも、俺の食べかけだが分け与えてやる。するとレフはトーンの作り出したアプルの果実を、シャクシャクとおいしそうに食べ始めた。


 続いてアプルの次は、トーンシロップも出してもらう。これも根っこの先端から、まるで蜂蜜を垂らしたかのようにして(あふ)れ出す。


 それを軽く指ですくって舐めてみると、加工処理をしていないにもかかわらず、とても甘く美味しかった。


 加えてこれもアプルと同様に、以前口にしたトーンシロップよりも、数段上の美味しさだったのである。


 またこれまでのトーンシロップは、そのままだと水っぽく、濃縮させることであの甘さを実現していたのだ。


 しかしこの新しいトーンシロップは、その濃縮工程をしなくてもいいようである。手間が減った上で、なおかつ大量生産もできるようだ。


 これはトーンシロップが大好物の、リーフェも喜ぶことだろう。実際カードから出たがっているが、次の進化が控えているので、後で渡すことにして出ないように抑え込んだ。


 とりあえず、トーンの進化結果は以上である。


 俺はそうしてトーンをカードに戻すと、次はルトナイのカードを取り出すのだった。



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