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385 二度目の神授石


 そうしてレッドアイとのまさかの再会を果たしたあと、俺は城へと戻ってきた。


 適当なメイドに使っていた部屋に案内してもらい、一息つく。


 とりあえず俺が眠っていた五年間の変化を、この目で見ることができたな。


 ジンジフレ教に加えて、城下町の様子。見事に復興を()げていた。人材も豊富そうだし、一安心である。


 これなら俺が旅を再開しても、問題は無いだろう。だがそれでも、戦力的に不安がゼロという訳ではない。


 俺が旅に出るということは、これまで城のダンジョンを守ってきた、俺の配下たちも引き上げるということに繋がる。


 突然そこに穴が開くのは、色々と困るかもしれない。まあ女王なら気にせずに連れて行ってくれと、そう言うと思うけどな。


 だけど俺は、何となくそれをしたくなかった。けれども、優秀な配下を譲渡する気も起きない。


 であれば、方法は一つしかないだろう。


 そう思い、俺はとある石をストレージから一つ取り出した。それはビー玉ほどの大きさをした、白い球体である。


 使うなら、今だろうな。


 俺が取り出したのは、神授スキルを強化する特別な球体。そう、神授石である。


 また一応これまで鑑定をした記憶がなかったので、俺は神授石の鑑定をしてみた。



 名称:神授石

 説明

 ・願うことで、神授スキルを一段階強化する。



 説明は、実にシンプルである。これはあえて、シンプルにしているような気がした。


 それと神授石の効果は、称号の【神授滅師】で増加したはずだ。一応こちらも確認しておこう。



 名称:神授滅師

 効果

 ・神授スキルを滅する時の抵抗を減少させる。

 ・自身の神授スキルに対して神滅耐性(中)を付与する。

 ・神授スキルを滅した際に得られる神授石の効果を増加させる。



 この神授石は神授スキルを滅して手に入れた訳ではないが、何となく効果がある気がした。


 おそらく俺の神授スキルに宿っている、金目と銀目が直感のスキルを通じて教えてくれているのだろう。


 どうやら入手方法は関係なく、神授石であれば効果を発揮すると思われる。


 まあ何はともあれ、俺はこの神授石を使おうと思う。使うのはブラッド撃破後では久々なので、そう考えると感慨(かんがい)深いものがある。


 そして願う内容は、既に考えていた。それは大陸を超えて配下を召喚し続ける際の、魔力維持コストの減少についてだ。


 これが解消できれば、色んな場面で役に立つ。俺の行動の幅も広がることだろう。


 そう思い、俺はさっそく神授石を発動させた。すると手の中にあった神授石が消え、俺の体が一瞬光る。そして脳内に、いつものアナウンスが聞こえてきた。



『神授スキル【二重取り】が発動しました。神授スキル【カード召喚術】を追加で強化します』



 どうやら以前と同じように、二重取りにより追加でカード召喚術が強化されたようだ。これは想定内なので、問題はないだろう。


 ちなみに真の効果は使えない。二重取りの真の効果である条件緩和は増えたものは対象外だし、追加進化は名称通り二重取りで進化した対象にしか発動できなかった。


 また返還を使うなど、もってのほかだろう。もったいな過ぎる。


 そもそも真の効果が使えたとしても、その代償を支払うのは、とても大変なことになっていたかもしれない。


 加えて神授石も神に関するものなので、たぶん真の効果も弾かれて、使えなかった可能性が高いと思われる。


 ここは欲をかかずに、現状の成果で満足しよう。


 するとそう思った直後だった。脳内に、再び声が聞こえてくる。

 


『転移者初の神授スキルの強化を三段回達成いたしました。称号【神授スキルを強化する者】を獲得します』


『神授スキル【二重取り】が発動しました。称号【神授スキルを強化する者】を獲得します』


『称号が重複しているため、称号が統合されました。称号【神授スキルを強化する者】は、称号【神授強化師】に進化しました』


 おおっ。どうやら、新たな称号を手に入れたみたいだ。おそらく、神候補の緩和条件の一つを満たしたようである。


 既に神候補である俺は、正直緩和条件自体を満たしたところで意味はない。だが称号を得るという部分に関しては、大きな意味がある。


 また転移者初ということは、眠っている五年間でも、神授スキルを三回強化した者はいなかったようだ。神授石の入手は、それだけ難しいということだろう。


 だがもしかしたら、一つくらい手に入れた転移者もいるかもしれないな。だとしたら、この称号を得られたのは運が良かったかもしれない。


 もう少し眠っている期間が長ければ、この称号を得られなかった可能性もある。


 それと俺はブラッドとの戦いの際に得た神授石で、二重取りの効果も相まって、その時には既に二回の強化ができていたのだろう。


 なので今回で三回目と、ついでに二重取りで四回目の強化である。やはり二重取りは、こうした部分ではチートだった。


 なお称号に関しても二重取りの真の効果は、発動しないもよう。当然のように称号も神に関しているのか、弾かれたのである。


 まあ、これは仕方がない。


 そう思いつつも、とりあえず俺は新たな称号の効果を確認してみた。



 名称:神授強化師

 効果

 ・神授スキルを強化する時の制限を減少させる。

 ・自身の神授スキルに対して神滅耐性(中)を付与する。

 ・神授スキルを強化する際の効果を増加させる。



 どうやら効果としては、【神授滅師】に近いようである。神授スキルの強化に対する制限の減少や、効果が増加するのは正直ありがたい。


 次回神授スキルを強化する際には、きっと役に立つことだろう。


 それと神授スキル限定ではあるが、神滅耐性(中)を得られたことも大きい。


 他の転移者が何らかの方法で神授スキルを(めっ)そうとしてきても、これで耐えられる可能性が増した。


 称号については、まあこんな感じである。


 そして次はいよいよ、神授石による強化の結果についてだ。神授石は問題なく、俺の願いを聞き入れてくれたようである。


 まず一度目の願いで、大陸を超えた召喚の維持コストの消費が半減した。この時点でも、かなり負担が減っているが、それでもまだコストが莫大な事には変わりない。


 数体なら召喚を維持しても問題は無さそうだが、それ以上だと強敵と遭遇した際に、魔力不足になるかもしれなかった。


 故に二重取りの際にも、再度同じことを願う。すると二回目にして、とうとう俺の願いが完璧な形で叶った。


 その結果はなんと、大陸を超えた召喚の維持コストが、同じ大陸内での召喚維持コストと同等になったのである。


 つまりこれで大陸を超えた召喚の維持コストについては、頭を悩ませる必要が無くなったのだ。


 なので城のダンジョンに、俺の配下をある程度残していっても、問題が無いということである。

 

 俺の配下の数も、この大陸に来てからかなり増えたからな。あまり使用していない配下は、ここに残しておくことにしよう。


 それにもしもの際には、カードに戻して俺の手元に持ってくることも可能なはずである。


 城と城下町の復興はかなり進んでいるとはいえ、まだまだそれ以外の部分では疎かな場所が多いだろう。


 個が確立していない配下なら、二十四時間働いても問題はない。俺の魔力で食事いらずだし、眠ることもないからな。


 加えて次に行く旅先についても、ある程度目星がついている。なのである意味、心機一転したい気分だった。


 故に手持ちのカードを、少し整理したいという気持ちもある。これは初心に戻りたいとも言えるかもしれない。


 転移者としてはある意味ゴールしたようなものなので、これからは少しゆっくりしたいというのもあった。


 属性の魔王を全てどうにかするのは、数年や数十年でどうにかなる話ではないと思われる。故に急ぐ必要はなかった。


 それと残りの神授石であるが、現状は使わずに残しておく。何か状況がこのままでは(くつがえ)せない場合に、奥の手として使うつもりだ。


 俺の願いを柔軟に聞いてくれるので、逆転のアイテムになるのは間違いない。なので今使うのは、もったいないと感じたのである。


 これで創造神から貰った神授石については、こんなところでいいだろう。良い結果を得られて、とても満足である。


 さて次は、配下たちに目を通すことにするか。アロマ以外にも、進化の(きざ)しが現れている個体がいるかもしれない。


 そうして俺は、次に配下たちのカードを確認し始めるのであった。



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