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382 ジンジフレ大聖堂 ⑤


 サーヴァントの確認が終わった後は、色々と情報交換もした。


 その中で俺がサーヴァントカードを徴収で取り上げる事が可能であり、またカードを与えることもできることも教えている。


 するとアルハイドが、一度自分のサーヴァントを取り上げた後、再度与えて欲しいと言ってきた。


 もしかしたら悪い影響が出る可能性もあるが、どうなるのか知っておいた方がいいと言う。


 そしてこの何が起きるか分からない実験に際し、(みずか)らが立候補した形だ。


 当然当初は周囲から反対されたが、アルハイドは折れず、最終的には実行することになった。


 もしかしたらユメリカの件があるし、アルハイドのサーヴァントが進化する可能性もあるだろう。


 そう思いながら実行したのだが、結果は何ら変わりなかった。


 アルハイドのサーヴァントであるナイトメアレイスのメネアは、進化もしなければ、悪影響もなかったのである。


 ただ一度俺の元へ徴収されたことで、メネアはとても(さび)しい思いをしたらしい。


 これはアルハイドとの繋がりが、一時的にとはいえ途切れたからだろう。


 それだけメネアは、アルハイドに(なつ)いているようだ。


 アルハイドとしても、実は何も悪影響が出なかったことにホッとしているらしい。


 結果は何も起きなかったが、何も起きないという事実が判明したことも、また成果だろう。


 つまりユメリカのレイちゃんが進化したのは、サーヴァントではなく、俺のカード召喚術のカードを与えたからだと思われる。


 すると今度はサーヴァントをカード化した後に、再度与えてはどうかという話しが出た。


 正直気は進まなかったが、次はアルハイド以外の信者のサーヴァントで試すことになる。


 流石にアルハイドも先ほどの件で、少し懲りたみたいだ。メネアが寂しい思いをしたので、立候補しなかった。


 またカード化は対象が望めば自動的にカード化されるが、それは対象が心から俺の配下になりたいと思う必要があるらしい。


 なので主から離れたくなかったサーヴァントが、そのままカード化することはなかった。


 故にとても心苦しいが、一度倒すことになる。だから気が進まなかったのだが、仕方がない。


 そうして倒したサーヴァントをカード化しようとしたとき、まさかの自体が発生する。


 なんとサーヴァントが、カード化できなかったのだ。


 初めての事態に困惑したが、アルハイドたちと話し合った結果、一つの答えに辿り着く。


 それはサーヴァントは、モンスターとは別定義の存在だろうということだった。


 つまり俺がカード化できるのはあくまでもモンスターであり、サーヴァントは適応外ということなのだろう。


 サーヴァントも一応はモンスターなのだが、少々そこは複雑なようだ。


 これは人型種族をカード化できないのと、同じ理由かもしれない。いや、地球で覚醒者になった人間をカード化できていたし、少し違う気がする。


 まあどちらも一応、基本的にモンスターではないという定義は同じなのだろう。


 だが人には覚醒者という例外があったので、もしかしらたサーヴァントにも、何か例外があるのかもしれない。


 けれども現状ではサーヴァントのカード化は不可能であり、結果は失敗である。なのでサーヴァントは、そのまま倒され損になってしまった。


 しかしそのサーヴァントだが、俺が直接灰色になったカードに触れて神力を注いだら、即座に復活したのである。


 本来サーヴァントカードは、持ち主以外に触れることはできないらしい。だが俺の場合は例外なのか、普通に触れることができた。


 またサーヴァントカードは本来他人の魔力や寿命での復活はできないようだが、元々俺が与えたという関係から、それが可能だったのだろう。


 ちなみに、魔力も注ぐことができそうな感覚があった。しかし寿命に関しては、俺の場合不老なのでだめそうである。あくまでも寿命がある者が寿命を削るということが、重要なのかもしれない。

 

 他にこれ以外にも、俺の元にあるサーヴァントを追加で与える実験もしてみた。


 しかし既にサーヴァントカードを持つ者に、サーヴァントカードを追加で与えることはできないみたいである。


 つまりサーヴァントカードの二枚持ちは、基本的に不可能らしい。


 だがカード召喚術のカードは例外のようで、試しにアルハイドに譲渡したら普通に可能だった。


 しかし譲渡したカードが、サーヴァントカードに変化することも、ましてや進化することもなかったのである。


 そう簡単に、ユメリカとレイちゃんの再現はできないようだ。


 ちなみにアルハイドに渡したのは、Cランクのロットキャリアである。128枚と中途半端な数だったので、そのまま1枚譲渡することにした。


 すると周りの司教たちも欲しがったが、あげることはしない。サーヴァントカードとは違い、カード召喚術のカードは特別だ。


 俺の気分で誰かに譲渡することはあるが、基本的には安易に配ることはしない。アルハイドに譲渡したのは、それだけ関係性を築けているからである。


 それからも色々と実験や検証などをして、有意義な時間を過ごす。俺が関わるだけで、サーヴァントカードの新発見が多く、アルハイドたちはとても興奮していた。


 俺も誰かと自分の能力について研究したり話し合ったりするのは新鮮な気持ちになり、また機会があれば行うと思う。もちろん、信用できそうな者たちだけでだ。

 

 またサーヴァントカード以外にも、色々と話を聞くことができた。

 

 特になぜ俺が『召喚と混沌の神』となっているのかという、その原因を聞くことができたことは大きい。


 まず『召喚』の部分は、分かりやすいだろう。カード召喚術や、サーヴァントカードが影響している。これは問題ない。


 それよりも気にすべき部分は、『混沌』の部分だろう。これを知るには、まず前提を知る必要がある。


 どうやらそもそもとして、俺には様々な二つ名があったらしい。


 召喚の部分は元々多く言われていたが、召喚と破壊の神や、召喚と変身の神、召喚と魔法の神など、他にも様々な呼ばれ方をしていたようだ。


 しかしある日、変化が起きたとのこと。サーヴァントカードの説明欄で、主神ジンジフレの部分が、【召喚と混沌の神ジンジフレ】に変化したのである。


 そしてサーヴァントカードの裏面も、これまで魔法陣のようなものだったが、渦巻(うずまき)のような形をした、紫黒(しこく)の模様になっていたらしい。


 故にこれによって俺の二つ名が、召喚と混沌の神に落ちついたようだ。またこのとき現れた模様が、そのままジンジフレ教のシンボルになったとのこと。


 なのでもしかしたら俺の二つ名に混沌がついたのは、あまりにも召喚以外の二つ名が多すぎたのが原因かもしれない。


 俺の場合、ジフレやジオスの二つ名なども混ざっているので、ある意味混沌としている。


 特にジフレの二つ名には、【ケモミミ女神】や【心が見えるにゃん♡】もあったらしい。


 なので【召喚のケモミミ心が見えるにゃん♡の女神ジンジフレ】とかにならなくて、本当によかった。


 そして二つ名が決まると、それに見合ったようなシンボルが何かに与えられるのかもしれない。


 俺の場合それが、渦巻(うずまき)のような形をした、紫黒(しこく)の模様だったのだろう。サーヴァントカードの裏面に、分かりやすい形で現れたようだ。


 召喚と混沌を表現した、そんな模様になっている。混沌の渦から何かが召喚されるような、そんなイメージを感じた。


 ちなみにこの二つ名やシンボルを誰が決めているのかという部分だが、おそらく創造神だろう。それか、自動的に処理されているかのどちらかな気がする。


 そして創造神といえばだが、普通に一神教の世界で、俺を(あが)めてもいいのだろうか?


 実はだいぶ前から、その点が気になっていたのである。


 創造神という神がいるのに、ぽっと出の俺を安易に信仰するのかだろうと。


 しかしそれを訊いたところ、アルハイドたちは頭にハテナを浮かべるだけだった。


 創造神と新たな神を信仰することは、全くの別物らしい。それは誰でも知っている当たり前のことなのか、とても不思議がられた。


 創造神は創造神として、この世界の者ならばほぼ全ての者が、生まれながらに信仰しているらしい。


 そして俺のような新たな神の誕生と、それを信仰することは、とても素晴らしいことだという。


 この二つは何の疑いもなく、両立するようだった。故に創造神と新興宗教との間で、宗教的な争いはまず起きないようである。

 

 なんだか久しぶりに、二重取りや万能身分証のような、創造神のテコ入れを感じた。


 これについては、いくら俺が言っても意味はないのだろう。


 おそらく神候補を生み出すという前提があるので、創造神が手を加えたのだと思われる。


 創造神からしたら新たな神が生まれることは、好ましいと思うことはあっても、その逆はたぶんないのだろう。


 なのでジンジフレ教がこうして生まれたことは、何の問題もなさそうである。


 だがもしかしたらこの五年の間に、他の転移者の宗教も生まれているかもしれない。


 なので宗教戦争があるとすれば、それは創造神とではなく、他の転移者の宗教と起きるのだろう。


 実際ジンジフレ教と、他の新興宗教を同時に信仰することは、神である俺への冒涜(ぼうとく)だと全員が言っていた。


 あくまで創造神だけが、特別なようである。故に他の転移者の宗教とジンジフレ教が相まみえれば、もしかしたら面倒なことになるかもしれない。

 

 そうしたこと思いつつ、俺とアルハイドたちとの話し合いは無事に終わりを告げる。


 あとは多少大聖堂内や関連施設などを案内してもらい、アルハイドからの案内も終了するのだった。


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