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SS ユグドラシルの役割と再誕

※推奨読了話数156話までくらいです。

 ユグドラシルは自称ハイエルフの一人、エリシャの神授スキルによって、誕生した。


 生みの親であるエリシャの生命力や魔力を根こそぎ奪い取り、立派な大樹へと成長したのである。


 しかしそれでもエリシャはユグドラシルに対して愛情を込めて、管理をし続けていた。


 それはまだ単なる植物であった時でも、ユグドラシルは強く感じていたのである。


 またユグドラシルは、自称ハイエルフたちやそれに加わったエルフたちに対して、様々な恩恵を与えていた。


 周辺の土壌は豊かになり、様々な作物が短時間で育ち、なおかつ通常よりも旨く大きなものに育つ。


 空気も透き通っており、呼吸するだけで魔力の自然回復量が上昇した。


 加えて怪我の治りも早くなり、病気にもかかりづらくなる。


 更にはエリシャが認めた相手であれば、あらゆる能力が僅かに上昇し、能力の成長に対しても恩恵があった。


 結果として自称ハイエルフたちとそれに加わったエルフたちは、この素晴らしい場所を大変気に入ることになる。


 そしてエルフたちの中には、ユグドラシルを信仰する者まで現れ始めていた。


 他にも敵対者に対しては補助系スキルなどを制限した上で、長時間いれば限界値はあるものの、徐々に弱体化していくデバフがかかるようになっている。


 これは野生のモンスターにも適応されているので、狩りなどをするエルフたちには喜ばれることになった。


 またこうした恩恵は、当然生みの親であるエリシャの方が効果が大きい。


 加えてエリシャであれば、ユグドラシルの影響範囲に入った存在の情報を得ることや、対象を影響範囲内であれば自由に転移させる事も可能だった。


 つまりエリシャがいる限り、この領域の安全はかなり確保されているのである。


 敵対者がやって来ても即座に発見することができ、補助系スキルの制限と時間経過による弱体化、そして強制的な転移による優位性があった。


 加えて一時的であれば、仲間に対しても能力を上昇させるバフを発動させる事も可能である。


 故に防衛に関しては、隙の無い状態だった。


 更にもしもの時は、エリシャがユグドラシルを動かして、戦わせることもできたのである。


 ユグドラシルは当時は単なる植物だったが、モンスターであればSランク級だった。


 その場からほとんど動けないという条件はあるものの、ユグドラシルを倒せる者などほぼいないに等しい。


 自称ハイエルフの中で最強格のボンバーだとしても、ユグドラシルに勝つのは難しいだろう。


 その安心感があるために、自称ハイエルフの陣営から抜けるエルフは少なかった。


 またその安心感のほどは、この地を支配しているティニアの危機感が、全く働かなくなるレベルである。


 それにフェアリーたちが小間使いのように働き、国境門からは珍しい物が次々に運ばれてきていた。


 故にエルフたちにとってもはやこの場所は、楽園そのものだったのである。


 ユグドラシルがこの場にあることで、それは完成されていたのだ。


 そして自称ハイエルフたちの陣営は、破竹の勢いで勢力を拡大させている。


 いずれは古い考えのエルフたちを打ち倒すのも、時間の問題だと思う者が多かった。


 同様に野蛮なダークエルフたちを完全に支配することについても、エルフたちは可能だと考えていたのである。


 まさにこの時が、自称ハイエルフ陣営の黄金期だったと言っても過言ではない。


 しかしそれもとある人物が現れたことで、簡単に崩壊してしまう。


 そう、この場所にジンが現れたからである。


 結果として自称ハイエルフの女王ティニアは敗れ、ユグドラシルにも大穴が空くことになった。


 その致命傷から持ちこたえるために、ユグドラシルは条件反射に近い形で、周囲の生き物を取り込んでいったのである。


 当然その中には、自身の生みの親であるエリシャも含まれていた。


 そうしてユグドラシルはエリシャを取り込んだことで、【主を喰らう者】という称号を手に入れる。



 名称:主を喰らう者

 効果

 ・この一度に限り、喰らった主の神授スキルを得る。

 ・〇〇〇〇資格を得る。

 ・吸収系統のスキル効果が大幅に上昇する。

 ・吸収系統のスキルに対して、耐性(大)を得る。



 更には存在が進化して、ユグドラシルという名称がそのまま種族名となり、モンスターとして再誕したのだった。


 そしてこれまでぼんやりとしていた個が完全に固まり、知能も上昇したのである。


 また結果的に自分に命令できる者がいなくなったことで、ユグドラシルは自由を手にした。


 加えてなにより嬉しかったのは、大好きなエリシャと一つになれたことである。


 その原因を作り出したジンに対しても、ユグドラシルは好印象を抱いていた。


 どれくらいかと言えば、ジンもエリシャのように自分と一つになって、永遠に同じ時間を過ごしてもいいと思えるくらいである。


 ちなみにこの”一つになる”というのは、通常の吸収行為とはことなり、特別なものだった。


 この特別は現状だとエリシャ、ルフルフ、ジンしか認めていない。対して他の者が吸収された場合は、単なる栄養源や魔力に変わって消滅するだけである。


 つまり特別とはユグドラシルの体の一部として、永遠に保管され続けることを意味していた。


 ちなみに保管されながらも、定期的に自然回復した魔力をユグドラシルに対して供給する役割は存在している。


 また元植物のユグドラシルにとって、この特別は善意にほかならない。


 もしくは一つになったエリシャが影響した結果、“一番幸福な時が永遠に続けばよかった”という願望が現れた可能性もある。


 そしてなによりジンの内に秘められたあまりにも巨大すぎる魔力量もあり、まるで一目ぼれしたかのように、()かれたというのもあった。


 故にジンがユグドラシルから距離をとったのは、ある意味正解だったのである。


 しかしユグドラシルとしても、ジンを諦めきれなかった。ゲヘナデモクレスが隣にいたからこそ、見送るしかなかったのである。


 だからこそ後にとある噂が流れてきた時に、便乗したのだ。少しでも、関係性を深めるために。


 それが後々どのような結果をもたらすのかは不明だが、着実に影響は拡大していくことになるのだった。


「ふふふ、あの方が来るまでに、この大陸の思想を統一しないといけませんね。それにお母様も、エルフとダークエルフが協力することを望んでいましたわ。

 ちょっと強引になるけど、構わないわよね? ルフルフも見つける必要がありますもの。ええ、これは仕方がないことよ」


 そうして現状この大陸では敵無しになったユグドラシルは、エルフの大陸の思想統一。つまり支配に動き出したのである。

 これにてSSの投稿は終了です。

 次回からは、本編の第十一章を開始いたします。


 開始時期は問題が無ければ、8/1を予定しております。


 引き続きモンカドをよろしくお願いいたします。

 <m(__)m>


 乃神レンガ

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