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倒したモンスターをカード化!~二重取りスキルで報酬倍増! デミゴッドが行く異世界旅~  作者: 乃神レンガ
第十章

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SS 苦労人のルフルフ

※推奨読了話数149話くらいです。

 自称ハイエルフの一人に、ルフルフという少女がいた。


 金髪ポニーテイルと碧眼をしており、胸は控えめである。


 また弓を得意としており、エルフらしい容姿をしていた。


 そんな彼女は自称ハイエルフの集団の中で、数少ないまともな人物である。


 様々な問題を起こす自称ハイエルフたちの後始末を、することが多かった。


 その中で一番苦労したことは、ボンバーがダークエルフの神聖な儀式を台無しにして、族長の娘を拉致してきたことだろう。


 ルフルフが気がついたときには、既に色々とされた後だったが、何とか救い出した。


 そうしてダークエルフの元に族長の娘を返したのは、ルフルフだったのである。


 ボンバーが飽きたとかではなく、ルフルフが引き剥がしたのだった。


 しかしルフルフができたのは、そこまでである。


 謝罪や償いをしようとしても逆効果だと理解しているため、心を痛めながらも族長の娘を返すことしかできなかった。


 また他にも、支配下に置いたフェアリーたちの面倒をよく見ている。


 加えてフェアリーたちは頻繁にエルオやボンバー、カルトスにイジメられているので、助けることも多々あった。


 その結果としてルフルフは、フェアリーたちからはとても好かれている。


 このフェアリーたちとの触れ合いが、ルフルフにとっては唯一の癒しだった。


 出会った頃はまともだったティニアは男と権力に(おぼ)れ、エリシャは老婆の姿になってからは、どこか危ない雰囲気を出している。


 当然ボンバーたち男どもなどは、論外だった。いつもいやらしい目で見てきたり、露骨なセクハラなどをしてくる事がとても多い。


 なので時々ルフルフは、何で自分はここにいるのだろうと、つい考えてしまう。


 しかし同時に自分がいなければ、大変な事になってしまうというのもよく理解していた。


 エルフとの大事な交渉では、基本的にルフルフが前に出ることがほとんどだ。


 加えて戦闘集団の指揮や、自分たちに賛同してやって来てくれたエルフたちへの細かい命令も出している。


 結果として自称ハイエルフが上手く機能しているのは、ルフルフの頑張りがあったからこそ、実現しているのだった。


 その裏で他の面々が悪だくみをして、色々と問題を起こしているのである。


 故にルフルフは日々苦労が絶えない訳だが、それでも自称ハイエルフの集団から抜け出すことはない。


 理由はこの世界に来たとき、ティニアに命を助けられ、エリシャにも大変世話になったからである。


 なにより自分が抜けたら、二人がやっていけなくなるという不安があった。


 そう、ルフルフは一度相手を信頼してしまうと、後々相手がダメ人間になったとしても、見捨てられない人物なのである。


 たとえティニアから契約で縛られるような仕打ちを受け、エリシャから復讐の手助けを打診されたとしても、本気で逃げ出すようなことはしなかった。


 表面上では契約を解いて逃げ出したいと思っていても、内心では見捨てられない気持ちの方が上回っている。


 また復讐を打診されてもなんとか中立的な立場を維持しつつ、当り障りのない言葉で(にご)してしまう。


 それが事を先延ばしにするだけで、いずれ大問題に繋がりそうな予感がしていても、動けないのである。


 最終的にルフルフは、悪事を含めて様々な問題に目をそむけながら、二人のために働き続けていた。


 ルフルフとしても、これが悪いことだとは分っている。それでも自分がいなければ、二人は破滅してしまう。


 そんな抗えない不安から、尽くすことを止められないのだ。これが無ければ、ルフルフはかなり完璧な人物だっただろう。


 またもし対象が男であれば、ルフルフはダメ男製造機のような危うさもあった。


 幸いにしてルフルフは、ボンバーたち三人には一切の情を持ってはいない。


 ティニアが所属を認めているので、仕方なく仲間の扱いをしているだけである。


 なるべく三人とは関わりたくないというのが、ルフルフの本心だった。


 故にルフルフは、三人とは会わないように別の場所で働くことが多い。


 なので後に自称ハイエルフの集団が壊滅する日も、ルフルフは別の場所で活動をしていた。


 結果として難を逃れて生き残ったが、同時にエリシャから逃げ出すように最後に念話がやってくる。


 それによりユグドラシルに狙われていることを知ったルフルフは、死の間際に正気へと戻っていたエリシャの願いにより、全力で逃げ出すことを決めたのだった。


 果たして苦労人のルフルフは、無事にユグドラシルからの魔の手から逃れることができるのだろうか。


 もし仮に出会った人物が違っていれば、ルフルフもここまで苦労をすることなく、幸せな人生を送れていたかもしれない。


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