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SS カルトスという男

※推奨読了話数137話くらいです。

 自称ハイエルフの一人、カルトス・エルランテ。


 その神授スキルは、【全知の追跡者】というものである。効果の内容は、次の通りだ。



 名称:全知の追跡者

 効果

 ・興味のある対象を見続けることで、マーキングすることができる。

 ・マーキングした相手の周囲の光景、音、におい、居場所をいつでも知ることができる。

 ・マーキングから得た光景を立体映像として、目の前に映し出すことができる。

 ・マーキングの上限は、魔力の総量によって決まる。



 斥候やスパイなどの活動をするならば、大変優れた神授スキルである。


 ただその効果のほどは、対象が使用者の好みであるかによって、効果が大きく上下する感じだった。


 故にカルトスの好みに沿わない相手や、興味の薄い相手には効果が落ちてしまう。


 逆にカルトスの好みの美女や美少女であれば、より多くの情報を得ることも可能だった。


 そして何より、一定以上の興味がある相手であれば、ノクターンタッチという隠し効果を発動することができたのである。


 気になるその隠し効果とは、夜中限定でなおかつ時間制限付きではあるものの、相手に気づかれずに覗き見ている映像越しに、直接相手に触れることができるのだ。


 つまり相手が睡眠中に発動すれば、ほぼ気づかれることなく、イタズラができるのである。


 カルトスはこのノクターンタッチと名付けた隠し効果を悪用して、これまで散々悪さをしてきた。


 またこの大陸にいるエルフやダークエルフは、美形ぞろいである。カルトスの隠し効果を発動させる相手には、十分すぎるほどの対象がいた。


 しかし相手に気づかれないというのは、あくまでも”触れる”ということに対してである。


 なのでカルトスからにじみ出る欲望の気配に気がつく者も、それなりにいた。


 中には反射的に反撃する者もおり、手痛い傷を負う羽目になったこともある。


 故にそれからというもの、カルトスは自分よりも弱いと判断した相手だけに、この神授スキルを使うようになった。


 ちなみにこの隠し効果を使い暗殺が出来れば最強だが、それは難しい。


 カルトスにとってそれが嫌なことであるほど、隠し効果の発動中に影響が出てしまい、途中で解除されてしまうのだ。


 そもそも前提としてこの隠し効果を使える相手は、カルトスの好みの容姿などをしている必要がある。


 なので余計にそうした相手を殺すのは、難しかった。


 もしカルトスがそうしたことに興奮するサイコパスであったなら、最強の暗殺者になっていたことだろう。


 また自称ハイエルフの女王、ティニアとの契約で、仲間にはこの隠し効果を使うことを禁止されている。


 それについて残念に思うカルトスだったが、小者故にそうした危険には元々手を出さない傾向にあった。良く言えば、慎重な性格なのである。


 他にもカルトスは、悪知恵や作戦を考えるのが得意だった。


 なので仲間であるボンバーのために、アレコレと作戦などを考える役割を担っている。


 しかしことあるごとにボンバーが(みずか)らの欲望で作戦を無視するので、よく頭を抱えていたりもした。


 だがボンバーからはそれなりに信用されているのも事実なので、カルトスはいつかボンバーを上手く使い、成り上がりたいという欲望がある。


 自分は表に出ずに、裏で全てを操ることを夢に見ているのだった。


 ある意味いずれ頂点に立ちたいボンバーと、カルトスの目的は一致しているのである。


 王になりたいボンバーと、それを裏で操りたいカルトスという感じだった。


 ボンバーは仮に王になっても自分で何かを決めることはあまりしないと思われるので、傀儡(かいらい)になる適性が高いのである。


 故に少しずつだが、カルトスは裏で色々と準備をし始めていた。決行するなら、ある程度落ち着いてからだと考えていたのである。


 しかしそんなとき皮肉にも、ボンバーがやられてしまう。


 この予想外の展開に、カルトスは酷く(あせ)りながらも急いで帰還を目指す。


 ボンバーを失ったことで、様々な計画が無に帰してしまった。だがそれ以上に、ボンバーがやられてしまったことへの恐怖があったのである。


 またこれを早く伝えなければ、不味いことになるだろうと、本能的にそう察したのだ。


 けれどもそんなカルトスの目の前に、それは現れる。


「逃がさぬ」


 その言葉を始まりとして、カルトスの人生は終わりを告げることになるのだった。


 そしてカルトスは結果として、とあるストーカーを強化してしまうことになる。


 カルトス・エルランテ。このような理不尽が無ければ、慎重な性格故に生存していた可能性は高い。


 また神授スキルが更に成長していれば、斥候としては転移者の中でも、トップ層に位置していたことだろう。


 加えてもしも性格が残忍で、歪んだ性癖を持っていれば、最強の暗殺者になれる可能性を秘めていた、そんな男である。


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