SS 荒野の闇の結成秘話
※推奨読了話数125話までくらい。
Q.荒野の闇って誰?
A.ダークエルフのEランクパーティ。ジンが一時的に行動を共にした。リーダーにはルビスという少女がおり、メンバーには双子の弟のギルス。そしてルビスの恋人のダンリがいる。
ブルカ村に住むダークエルフに、ルビスという少女がいた。
とても活発な少女であり、子供の頃は当然、男勝りのガキ大将と言われても差支えがない。しかしそれも成長するにつれて、次第に女らしく……はならなかった。
冒険者に憧れており、それに反対する親の言葉を全く聞く様子がない。更には双子の弟であるギルスに対しても、冒険者の道へと引きずり込もうとする。
そのギルスはおとなしい性格であるものの、モンスターに大変興味があった。故に姉のルビスに誘われると、少々迷いながらも賛同したのである。
そして最後に、ルビスには恋人のダンリがいた。ルビスとギルスにとってダンリは幼馴染であり、またダンリは良くも悪くも普通の性格をしている。
ちなみに告白については、ルビスの方からダンリにしていた。
だがこれには裏があり、親に結婚相手を紹介されそうになったので、最初はそれを回避するために告白していたりする。
また親からすれば、少しは女らしくなってほしいという思いがあったからこそ、相手を紹介しようとした感じだった。
なのでこのルビスの作戦は上手くいき、結婚相手の紹介についての話が流れることになる。
これは幼馴染のダンリが恋人として紹介されたことで、両親がなっとくしたからだ。
両親もダンリの事を幼い頃から知っていたので、彼なら任せられるという感じだった。
故にそういう事情でルビスから告白したこともあり、実は恋愛感情自体は無かったりする。
しかし悲しくも、ダンリはそのことを知らない。恋人なのに、未だキスすらしたことがないのだった。
人族なら気にするかもしれないが、ダークエルフのダンリは違う。寿命の長いダークエルフ故に、ダンリはそこまで焦ってはいなかったのである。
ちなみにルビスは冒険者になった時の弾除け代わりに、ダンリと恋人関係を続けるつもりだ。それを第三者であるギルスだけは、どちらの考えも気がついていた。
だがそれを言っても良いことはないので、黙っているのである。
そして話を戻すが、ルビスは恋人のダンリに対しても冒険者へと誘う。けれども当初は、ダンリはそれを拒絶した。
そんな危ないことをせず村でのんびり過ごした方がいいと、逆に諭したのだ。しかし当然、それで止まるルビスではない。
ダンリが止めても、自分はギルスと共に村を出ると告げてしまう。これにダンリは大変あせり、ルビスの説得を試みる。
だが最終的にそれは失敗してしまい、ルビスの考えを変えることはできなかった。一度付き合えば一途なダンリは、恋人のルビスを危ない目に遭わせたくないと思っている。
けれどもルビスを止めることができない以上、結果としてダンリの方が折れるしかなかった。こうして、ダンリも冒険者になる事を渋々決める。
またそれ以降もルビスとダンリはどちらの親にも大反対されたり、ルビスの婚約者となるはずだった者が現れたりと、忙しない。
だがそれらの問題を持ち前の活発さと強引さで、ルビスは乗り越えていく。もはや両親たちも、最終的には呆れて諦めるほどだった。
ちなみにダンリは、途中までルビスを止められるかもしれないと両親たちを応援していたが、それも徒労に終わる。
だが口では反対しつつも、ダンリは少しずつ冒険者になる事にワクワクしていた。ダンリも男であり、授かったスキルも戦闘系だったからである。
こうしてルビスたちは全ての問題を片付けて、ブルカ村を飛び出した。行き先はダークエルフの村としてはとても大きい、ラクール村である。
全十五階層のダンジョンもあり、多くの冒険者でにぎわっている村だった。ルビスたちは夢は大きくSランク冒険者を目指し、ラクール村へと足を踏み入れる。
そしてルビス・ギルス・ダンリの三人は、荒野の闇としてパーティを結成したのだった。元々冒険者としてバランスの良いスキルを授かっていた三人は、順調に活躍していく。
ランクもEランクに上がり、Dランクも夢ではない。そこで次に三人は、コボルト集落の殲滅依頼を受けることにした。
Eランクには少し難しい依頼だが、上のランクの者の戦闘を間近で見ることで、成長できると踏んだのである。
そして依頼を受けていざ集合場所に行くと、ソロ冒険者が一人臨時で加わることになった。ルビスはこれまで三人でやってきたので、少々不安に思う。
またダンリに至っては、ルビスにちょっかいを出す者だったらどうしようかと、警戒感をあらわにした。
ちなみにギルスは、そこまで気にしていない。逆に少し楽しみでもある。
そうして荒野の闇の面々は、若くも優秀なDランク冒険者のジンと出会うのであった。




