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SS リーナの初恋と撃沈

※推奨読了話数067話までくらい。


Q.リーナって誰?

A.ハパンナ子爵家の長女。ジンにほのかな恋心を抱いていたが、遠回しに婚約することを拒否されて玉砕した。

 私はリーナ・ハパンナ。ハパンナ子爵家の長女です。


 普段は学園で過ごしているのですが、長期休暇のため実家に帰ってきました。


 けれども、帰って来て早々に気分が晴れません。理由は、級友たちから婚約者の自慢話をされたからです。


 婚約者と旅行に行くことや、婚約者の実家に行くなど、散々のろけ話をされました。


 もう、嫌になってしまいます。


 そんな私には、当然婚約者はいません。元々両親が学園で出会って恋愛結婚をしたこともあり、在学中は婚約者を家が用意しないことになりました。


 私が望めば用意してくれたと思うのですが、私も恋愛結婚に憧れていたため、何も言っていません。


 しかし貴族の家では、普通幼いうちから婚約者がいるものです。なので良いなと思った男の子に、婚約者がいる事もしょっちゅうでした。


 これは、非常に不味いです。恋人ができずに学園を卒業してしまえば、流石に家から婚約者があてがわれます。


 その場合、微妙な男性が婚約者になる可能性が高いでしょう。正直、それだけは嫌です。


 なので、どうにかして在学中に相手を探さなくてはいけません。


 そう思っていたので、級友の自慢話に対しては無性に腹が立ちました。焦りも、あったのかもしれません。ですがそんな時、私は運命的な出会いをしました。


 それは我が家に客人としてやってきた冒険者である、ジンさんと出会ったことです。


ジンさんは銀髪碧眼の美少年で、歳が近いというのもありました。また平民とのことですが、貴族の隠し子かもしれません。それくらい、気品も感じました。


 加えて才能にもあふれていて、ダンジョンをソロで踏破する実力者でもあります。肩書だけでも凄いですが、私は一目見た瞬間に恋に落ちてしまいました。


 ルーナが頭を撫でてもらった時にはつい、「いいなぁ……」と声に出してしまったほどです。


 その日から毎晩、夢にジンさんが出てきました。なのでこの出会いは、きっと運命なのです。


 両親や兄妹もジンさんと仲が良いので、きっと祝福してくれること間違いなしでしょう。


 しばらく我が家に滞在するみたいなので、少しずつアピールしていこうと思います。


 けれどもいざその時が来れば、恥ずかしくて思っていたよりも、あまり声をかけられませんでした。


 それがたぶん、いけなかったのかもしれません。馬車の中でリードお兄様が、私の婚約者にジンさんを勧めてくれました。


 私はそのときつい恥ずかしくなって、迷っている振りをしてしまったのです。


 すると結果としてジンさんには、遠回しに断られてしまいました。


 そう、私は重要な場面で失敗してしまったのです。いえ、そもそもアピールが足りなかったのでしょう。今更後悔しても、もう遅かったのです。


 私はそのショックにより、一瞬意識がどこかへ行ってしまったような、そんな状態になってしまいました。


 するとちょうどリードお兄様に友人を紹介すると言われた時に、意識が戻ってきたので会話に合わせます。


 正直今は、ジンさん以外との恋愛をしたくはありません。ですがジンさんに気を使わせてしまうので、機嫌を直した振りをしました。


 こうして私の初恋は、見事に撃沈したのです。けれども同時に、私はこうも思いました。


 諦めなければ、チャンスはまだありますよね? 振られてはしまいましたが、この気持ちが消える訳ではありません。


 それにお父様だって、最初はお母様に何度か振られていたみたいです。一度振られたくらいでは、私はまだ諦めません。


 でも積極的にアタックするのは、やっぱり恥ずかしいです。


 はぁ、私もルーナみたいに純粋な気持ちでアタックしたら、ジンさんは頭を撫でてくれるかな?


 そうして私は馬車の中でチラチラとジンさんを盗み見ながら、妄想にふけるのでした。


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