SS ルーナがレフと出会って変わったこと
※推奨読了話数069話までくらい。
Q.ルーナって誰?
A.ハパンナ子爵家の次女で四歳の幼女。ジンとレフに懐いている。
ハパンナ子爵家には、ルーナ・ハパンナという四歳の次女がいる。年齢の通り幼く、やんちゃ盛りだ。
しかしそんなルーナには、一つ問題があった。それは、モンスターを怖がっていることである。
ハパンナ子爵家は、全員がサモナーの才能を持っていた。当然ルーナにも才能があり、モンスターを従わせることができる。
だがモンスター自体を怖がっているルーナには、それが難しかった。
本来ならこの国の貴族は才能があれば、幼い頃に初めての契約を行うのが通例だ。年齢的にルーナは、そろそろモンスターと契約することが望ましい。
けれども以前モンスター同士の喧嘩を見てからというもの、比較的おとなしいホーンラビットも恐れる始末。
これには、ハパンナ子爵も頭を悩ませた。
しかしそんな時、ハパンナ子爵家に一人の少年がやって来る。ジンと名乗る少年だ。
なんとそのジンという少年は、ダンジョンをソロで踏破したらしい。故にハパンナ子爵はジンを客人として、屋敷に滞在してもらうことにした。
するとそんな時、ジンの連れているレフという黒猫とルーナは出会う。ルーナはレフをモンスターではなく、普通の猫だと思っていた。
故に恐怖心など無く、逆に興味津々で近づいたのである。そうしてルーナは、レフを大層気に入った。後にレフがモンスターだと知っても、それは変わらない。
ハパンナ子爵はそれを知って、ジンにレフを譲渡してくれないかとお願いする。だが当然、それは断られてしまった。
ハパンナ子爵はガックリとしながらも諦め、レフと似たようなモンスターを探し始める。しかしどういう訳か、見つからない。
ならば普通の猫を与えようかとも一瞬考えたが、それでモンスター嫌いが加速して、動物にのめり込んでしまっては本末転倒だ。
ハパンナ子爵はこれと似たような話を、以前他の貴族から聞いたことがあった。
またこれは貴族の間では有名な話であり、モンスターに怯えた子供に動物を与えることは、愚か者だという風潮がある。
故に、普通の猫を与えることははばかられた。
けれどもそうしてハパンナ子爵が頭を悩ませている間に、ルーナはレフとのふれあいを通じて、変化していく。
なんと小さくて可愛らしいモンスターであれば、恐れなくなったのだ。
これならば、近い将来ルーナもモンスターと契約することができるだろう。
であるならば、どのようなモンスターを与えるか、考えなければいけない。定番のホーンラビットや、フォレストバードあたりがいいだろう。
ハパンナ子爵は娘の成長に大層喜びながら、その切っ掛けを作ってくれたジンとレフに感謝した。
加えて驚くことにルーナは、モンスター同士の戦いが行われるオブール杯の二次予選を見に行きたいという。
どうやらレフが参加することを知ったみたいであり、応援したいという事だった。
ルーナの中で、レフはかなり特別な存在となっていたのである。
以前モンスターの喧嘩を見て恐怖した時と比べたら、大きな変化だった。
ハパンナ子爵にとってルーナが二次予選を見に行くことなど、夢にも思わなかったことである。
この出来事が切っ掛けで、今後ルーナがどのような成長を遂げるのか、ハパンナ子爵は楽しみで仕方がないのであった。




