SS 第一回ネームド会議
※推奨読了話数046話までくらい。
※このSSはメタ発言があります。また実際の本編では、この会議は行われていません。もしも名付けたモンスターたちが会議をしていたら? というお遊びになります。
レフの名前はレフ! この作品のヒロインよ!(自称)
主に名付けてもらったの! いいでしょ! ふふんっ!
それでコイツはホブン。レフより先に主に仕えていたみたいだけど、関係ないわ!
だって主は、レフのお腹が大好きなんですものっ!
毎晩レフのお腹を、枕にしているわ!
けど、宿屋という場所ではあまり出してくれないの! まったくもうっ!
それはそうと、最近ノブモ村という場所で活躍したわ!
主とレフのコンビネーションは、最強よ!
でも、あのジャイアントボアとかいう奴は最悪ね!
レフの牙が、全く効かないんだもの!
もっと主の役に立ちたかったのに……もっと強くなりたいわ!
「尋ねるガ、これハ会議ではなかったのカ?」
するとホブンが唐突に、そう言ってきたわ。
「あっ! そうだわ、会議よ!」
「それデ、議題の内容ハ?」
「もちろん、レフがどうすればもっと強くなれるかよ!」
「……帰ってモ、いいカ?」
「だ、だめよ! 次の機会が何時になるか分からないじゃない!」
このよく分からない空間が、またできるとも限らない。
だからレフは、主のために強くなる方法を考えなきゃならないの!
「強くなるにハ……」
「強くなるには?」
「主にどうにカ、してもらうしかなイ」
「うぅうっ。そ、そうだけどぉ!」
レフだって、本当は分かっている。
強くなるには、主に何かしてもらうしかない。
「けど、主に強くしてほしいなんて、どうやって頼めばいいのよ! 名前を貰えたけど、レフはただのグレイウルフだもんっ! ホブンとは違うのよ!」
思わず、そんな言葉をぶつけてしまう。
ホブンだって、こればっかりはどうしようもないのに。
けど、ホブンの次の一言が、レフの心を動かしたわ。
「……主ニ気に入られればいイ。愛嬌ヲ振りまけバ、可愛がられルかもしれなイ」
「……そ、それよ! 可愛いレフが愛嬌を振りまけば、主もイチコロだわっ! す、少し恥ずかしいけど、少しずつ試してみる!」
そうすればいつか、カードに戻らずにずっと、主の隣にいられるようになるかもしれない!
希望が見えてきたわ!
「頑張れバ、ペット枠になれるだろウ」
「ヒロイン枠だもんっ!」
「……そうカ」
「そうよ」
何よペット枠って、レフはヒロインだもんっ!
だってこの作品には、美少女は出てこないでしょ? あっ、前に美女が出てきたけど、結局は退場しちゃったわね。
つまり今ヒロインは、このレフだけよ! そう、主とレフの、純愛ものなの!
「なア、グレイウルフにヒロインハ、流石ニ無理だと思うゾ」
「い、いつか美少女になるもんっ!」
「……そうカ」
「あっ! 無理だと思っているでしょ! それでもレフは諦めないわ!」
「わかっタ。応援していル」
「それでいいのよ」
でも、どうすれば美少女になれるのかしら? 勢いで言ったけど、本当は自信なんてない。
主に心から愛してもらえれば、人になれるのかな? けれども、やっぱりこの想いは心に留めておく。
だってレフは、主とつり合うほど強くないもの。だから、レフはもっと強くなりたい。
「なア、俺からモ、一ついいカ?」
「なによ?」
「どうすれバ、またあのようナ熱い戦いガ、できるだろうカ」
「あのような?」
「ジャイアントボアとノ、戦いダ」
「それは、主次第よ」
「やはリ、そうカ」
レフが勝てなかったあのジャイアントボアに、ホブンは勝ったみたい。
なんだか、悔しいわ。ホブンは、現状のライバルね。
まあホブンはたぶんオスだし、ヒロインとしてのライバルにはならないわね。
それにそっちのライバルは、あのウサギどもよ!
主の掛け布団代わりになっているからって、調子に乗らないことね!
量より質よ!
レフのお腹の方が、気持ちいいに決まっているわ! ふんっ!
あとは、ホワイトキングダイルという奴ね。主のモンスターの中で、一番強い。
けど、性格は最悪よ。傲慢が過ぎるわ! ちゃんと主の言うことを聞きなさいよね!
レフが強くなったら、わからせてやるわっ!
「なア、会議ハ、これで終わりカ?」
「そうね。とりあえずは終わりね。また何かあれば、会議を開くわよ!」
「承知しタ」
この謎の空間も、何となくまた発生する気がするわ。
「それはそうと、何でホブンは言葉がたどたどしいのよ?」
「さア?」
※本日二話目は、10分後に更新されます。明日以降のSSも同様です。




