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倒したモンスターをカード化!~二重取りスキルで報酬倍増! デミゴッドが行く異世界旅~  作者: 乃神レンガ
第九章

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335 赤い煙劇場 ①


 やってきた場所に広がるのは、一面の闇である。暗いのとは違い、自分の姿や配下たちの姿は普通に見えていた。


 意外だ。赤い煙のことだから、派手な感じだと予感していたのだが……。


 周囲には何も存在しておらず、振り返れば扉も消えていた。いや、移動した先に、そもそも無かったのかもしれない。つまり、引き返すことはできないということだ。


 赤い煙の姿は見えないが、どこかに潜んでいる気がする。


 故に俺は配下に一声かけてから、慎重に進むことにした。


「気をつけて進むぞ」

「承知した」

「にゃん!」


 そうして警戒しながら進んでいると、不意に目の前にそれが現れる。それは、何かの映像を映したものだった。


「なっ!? これは……映像か?」

「そうみたいであるな。くだらぬ児戯(じぎ)である」

「にゃにゃん」


 すると画面が切り替わると同時に、赤い煙の声が流れ始める。


『俺様は名も忘れたダンジョンに生まれた、レイス系のイレギュラーモンスターだった。当時はまだ自我が薄く、本能のままに生きていた。

 しかしあるとき、人族に狩られそうになった俺様は、初めて死にたくないという感情から逃げ出した。そして行きついた先は、そのダンジョンのボスエリア。俺様はボスモンスターを倒し、ダンジョンのコアに辿り着いた』


 映像は洞窟型のダンジョンで生まれた、赤い煙の生い立ちのようなものだった。


 なんだこれは? 赤い煙は、何が目的なんだ?


 俺がそう考えていると、映像が途切れてその先にあるものが現れる。


 それは赤色のレイス系のような見た目をした赤い煙や、冒険者に敗走する赤い煙、ゾン系のボスモンスターと戦う赤い煙、そしてダンジョンコアに辿り着く赤い煙を再現した、オブジェのようなものだった。


 左右に一つずつ、更に少し離れた場所に同じように一つずつと、合計四つ配置されており、まるでその中間は道のようになっている。


 これは、何かの罠か? それとも、自分のこれまでの出来事を、俺に見せたいだけか? 判断がつかないが、現状では進むほかなさそうだ。 


 そう思い、俺たちは先へと進む。


 すると四つのオブジェを超えると、再び映像が目の前に現れ、再生される。


『俺様はダンジョンコアを喰らった。そして、力を手に入れた。イレギュラーモンスターとは、本来こうして力を得るのだろう。それによって俺様は進化を果たし、またダンジョンに干渉(・・)する力を得た。

 そして俺様を狙っていた冒険者どもを殺すと、ダンジョンを抜け出した。この時、俺様の物語は始まったんだ』


 イレギュラーモンスターがダンジョンコアを喰らうと、ダンジョンに干渉する力を得た上で進化するとは、全く知らなかった。


 だとすれば、グインもその可能性があるのかもしれない。


『俺様はそれから自由に生きた。多くの人族やモンスターと戦い、また力欲しさにダンジョンに潜り、ダンジョンコアを喰らっていった。

 次第に俺様の名は広がっていき、強力な冒険者に狙われるようになったが、俺様の相手ではない。Aランク冒険者くらいであれば、楽に倒せるほどになっていたからだ』


 どれくらいの月日が流れているかは不明だが、元々イレギュラーモンスターで、そこから進化したのであれば、既にこの時にはSランク相当だったのかもしれない。


 ちなみにこのときの赤い煙は、凶悪そうな赤いハイレイスに近い見た目だった。


『しかし流石の俺様も、Sランクパーティには勝てなかった。消滅寸前になりながらも奇跡的に逃げおおせたが、弱点もバレた上にそれも広められてしまった。

 結果として俺様は、傷が癒えるまでと人族の記憶から俺様が薄まるまで、隠れ眠ることになる。屈辱だった』


 赤い煙も、最初は安泰(あんたい)ではなかったみたいだ。このとき消滅されていればと、つい思ってしまう。なんてしぶとい奴なのだろうか。


『それから数百年、あるいは数千年経ち、俺様はようやく目覚めた。だがそれは、自然に目覚めたのではない。起こされたからだった。

 俺様を起こした存在は、自身を魔王(・・)と名乗る存在だった。しかも驚くことに、俺様を次の魔王に指名してきた』


 過去の記憶の世界でも、赤い煙はそのことについて言及していたが、このように繋がっていたのか。


 映像の前任者の魔王については、黒塗りで全くわからなかったが、赤い煙のような吊り上がった真っ赤な瞳だけが怪しく光っている。


『そいつはイレギュラーモンスターが魔王の卵であり、世界のバグだと言っていた。しかもダンジョンコアを一定以上喰らって成長していることが、必要なのだという。

 俺様はまさに、その条件に合っていたという訳だ。そんな存在を、そいつは魔王の座を引き継がせるために探していたらしい』


 複数のダンジョンコアを喰らったイレギュラーモンスターが、魔王になれるのか。世界のバグであるイレギュラーモンスターが、創造神の創り出したダンジョンのコアを喰らう。そう考えると、何だか納得できるかもしれない。


 これは思っていた以上に、重要な情報なのではないだろうか? 警戒は必要だが、最後まで見ることにしよう。おそらく赤い煙もそれまでは出てこないだろうし、襲ってくることも無い気がする。


 情報の価値もあり、加えて他に選択はないと考えた俺は、映像の視聴を続けることにした。


『よく分からないが、そいつは欲しいものが無くなった。他も入れ替わり始めている(・・・・・・・・・・)し、生きるのも飽きたから、頃合いだとも言っていた。

 加えて同じ幻属性であるから、幻属性の魔王の適性があるらしい。だとしたら俺様が選ばれたのは、必然だったのだろう』


 魔王は入れ替わり始めていて、また魔王は属性に関係しているのか。だとすれば、魔王の数は意外と多いのかもしれない。


 だとすればそれに合わせて、勇者の数も多いのだろうか?


 新たな疑問が生じるが、それについては現状不明だった。とりあえず俺は新しく現れたオブジェの道を進み、次の映像へと辿りつく。


『魔王は各属性に一体だけであり、席の数が決まっているらしい。つまり、同属性の魔王はいないということだ。加えて成り代わるには、前任者から譲られるか、殺して奪うしかないようだった。

 そして魔王は、後継者になりうる存在を見つけられるらしい。それは同属性のイレギュラーモンスターであり、ダンジョンコアを複数喰らったことが条件みたいだ。

 あとは他の魔王が切っ掛け(・・・・)を与えることで、たとえダンジョンコアを喰らっていなくても、そのイレギュラーモンスターと同属性の魔王に、知らせることもできるらしい』


 俺はそれを聞いて、嫌な予感がした。それは過去の記憶の世界で、赤い煙がグインに切っ掛けを与えたとかどうとかを、言っていたからである。


 だとすれば、グインの属性に関連する魔王が、居場所を知ることになったということだろうか?


 いや、けれどもあの時の赤い煙は、他にも何かしようとしていたはずだ。その前に、リーフェのフィアーで倒されたのである。


 いったい、何をしようとしていたんだ? とりあえず、続きを見れば何かわかるかもしれない。


 俺はそのことに疑問を抱きながら、続きを視聴することにした。


『だが魔王は別に、仲間同士という訳でもないようだ。後継者候補を起点にして、その同属性の魔王の居場所を特定することもできるらしい。そして後継者候補を自分の手駒に加えた上で、代替わりさせる魔王もいるようだ。

 逆に魔王が魔王を倒して、複数属性の魔王(・・・・・・・)になることもあるらしい。だがその場合全ての魔王に知れ渡り、そのときばかりは同盟を組まれて滅ぼされるようだから得策ではないと言っていた。だが、それはそれで面白そうだった』


 なるほど。つまり赤い煙はあの時、他の属性の魔王になにかアプローチをしようとしていたのかもしれない。


 過去の記憶の世界の赤い煙だったが、自身の知りたいという好奇心が勝ったのだろう。


 加えて未来の自分であれば、グインに付けた切っ掛けを使って、何かできるかもと考えたのかもしれない。


 だとしたら赤い煙は、グインのその切っ掛けに気がついている可能性がある。城下町でグインを一度召喚しているし、もし見られていたのだとしたら、あり得ることだった。


 そう思いながら俺はオブジェの道を進んでいき、次の映像に辿り着く。


『そうして俺様は無事に幻属性の魔王になり、進化を果たした。ファントムギアシュピーレン。伝説のSSランクモンスターの誕生だ。

 前任者はこれで役目は果たした、最後はあの場所で……とか言って、どこかに行ってしまった。だがそんなことは俺様にとって、どうでもいいことだった。この溢れる全能感に、俺様は笑いが止まらなかったからだ』


 伝説のSSランクのモンスターか。何となくSランクのモンスターには、上のランクがある気はしていた。あのフレッシュゴーレムも、おそらくSSランクのモンスターだったのだろう。


 しかし同じSSランクでも、天と地の差がある気がする。油断は一切できないだろう。


 ちなみにこのとき赤い煙は、魔王になったことにより、見慣れた赤い煙の姿に変わっていた。


『そして魔王になった俺様は、人族共に復讐をすることにした。だが単純に潰すのは面白くない。だから裏から操って、人族同士で潰し合わせた。このときの高揚感は今でも忘れられない。俺様はそうして、最高の遊びを知ることになった』


 なるほど。赤い煙はこのときから、暗躍を始めていたみたいだ。趣味が悪いのは、最初からだったみたいである。


 幻属性の魔王ともなれば、面白いくらいに耐性の無い者を、操ることができたのだろう。


 そう思いながらオブジェの道を進むと、次の映像で、ようやく見覚えのある人物が現れる。


『またこのとき、俺様は自分の弱点を補う最高の器に出会う。過去にその弱点が原因で、Sランク冒険者にやられそうなこともあった。だから強引にでも俺様はその器、アルハイドを手に入れることにした。

 そのせいで魂を消しきれずに悪さをし始めたが、それもそれで面白いと思い見逃すことにした。そうとも知らず必死に足掻くアルハイドの存在は、良い暇つぶしになった』


 この最高の器とは、やはりアルハイドのことだったようだ。それとアルハイドの暗躍は、これが本当であれば、最初から察した上で見逃していたらしい。


 また過去の記憶の世界では、最後の最後に奪った器から飛び出して、グインに切っ掛けを与えていたが、あれはその時の赤い煙も、この場所が過去の記憶の世界だと認識していたから行ったことだったのだろう。


 でなければリスクを(おか)してまで、アルハイドという器から出ることは無かった気がする。


『そして俺様は城をダンジョン化して、アンデッドで満たした。そこを基準にして、大陸全体へと侵食させることに成功したときの満足感は、最高の体験だ。

 しかしだからこそ、前任者の欲しいものが無くなり、生きるのに飽きたという言葉を思い出した。だから俺様はそれから、楽しみを無駄に消費したりしないことにした』


 なるほど。この大陸の惨状の始まりは、城のダンジョンからだったのか。加えて数百年経っても大きな変化がなかったのは、赤い煙が楽しみを無駄に消費しないと決めたからだったようだ。


『だが数百年もあれば、他にも楽しいことはいくつもあったし、強敵とも出会えた。それに暇なときは半分眠ったような状態になれば、イライラすることもない。

 そうして、そんなある日のことだった。俺様へと至る鍵が眠る塔のダンジョンが、何者かによって破壊された。だがこの時アルハイドによって俺様は、気づくのが遅れてしまう。知ったのは、後になってからだ』


 どうやら本来ならボーンドラゴンのカード化による崩壊の前兆は、すぐに気がつくはずだったらしい。だがその時もアルハイドのおかげで、回避できていたようだった。


 そのときからアルハイドには、助けられていたんだな。それとようやく、最近のところまで映像が進んだようだ。


 しかしそれでもまだ、赤い煙が俺たちの目の前には現れない。たぶんだが、ここまでに至るまでを全て見終わるまでは、現れない気がする。


 出会った当初から自分語りが好きなやつだとは思っていたが、ここまでとは。友人や対等な仲間が皆無だった故に、話す相手がいなかったのだろう。


 まあ実際の理由は不明だが、ここまで来たら最後まで見るしかなさそうである。


 そうして俺は、赤い煙の自分語り劇場の視聴を続けるのであった。

 身内から謎の腹痛を移されて、体調を崩してしまいました。発熱、腹痛、頭痛、吐き気、めまい、寒気と、かなりヤバいです。


 これによって執筆が困難であり、次回の更新がズレるかもしれません。


 ただ幸い体調は回復に向かっているので、もしかしたら普通に更新に間に合う場合もあります。


 最終バトル前で大変申し訳ございませんが、ご理解のほどよろしくお願いいたします。


 <m(__)m>


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