325 ファントムワールド ④
ツクロダダンジョンを抜けた先に待っていたのは、意外な光景。それは城のダンジョンで、俺が勇者たちを待ち構えていた大部屋である。
そしてその中央にいたのは、あのフレッシュゴーレムだった。
まさか、コイツが出てくるとは思わなかったな。ブラッドでなければ、ゲヘナデモクレスが出てくるかと思っていた。
ゲヘナデモクレスをオーバーレボリューションで呼び出した際の失敗で、それなりに負の感情を抱いたからである。
それかその時の自己嫌悪によって、再び過去の自分自身が現れてもおかしくはなかった。
しかし実際に目の前にいるのは、あのフレッシュゴーレムである。
その登場は、少々おかしい。なぜなら俺はフレッシュゴーレムに対して、そこまで負の感情を抱いていないはずだからだ。勇者たちにしてみても、同様である。
であれば、ヤミカの魂が関係しているのだろうか? いや、それならここまでの途中で、ヤミカが負の感情を抱いたであろう他の敵が現れても、おかしくはない。
俺はどうしてフレッシュゴーレムが現れたのか悩みながらも、とりあえずは鑑定を飛ばしてみる。
種族:不完全な勇聖なる冥戦のフレッシュゴーレム
種族特性
【闇冥属性適性】【闇冥属性耐性(極大)】
【光聖属性攻撃無効】【超速再生】
【生命感知】【悪臭】【自己崩壊】
神授スキル
【勇者の聖光】【聖女の慈愛】
【大戦士の本能】
エクストラ
【不完全な勇聖なる冥戦】【ボスモンスター】
【魂への楔】【言語マスター】【鑑定】
【無属性適性】【ストレージ】【連撃】
【気配感知】【超直感】【パワーアップ】
【ヒール】【キュア】【ライトアーマー】
【ライトシールド】【セイントアロー】
【セイントヒール】【状態異常無効】
【身体能力上昇(特大)】【魔力上昇(特大)】
【魔法耐性(特大)】【魔封じ耐性(大)】
スキル
【上級生活魔法】【上級鑑定妨害】
【再生】【集団行動】【集団指揮】
【念話】【投擲】【威圧】【悪食】
【手加減】【シールド】【衝撃波】
【チャージ】【スピードアップ】
【強撃】【ブーメランアックス】
【ワイルドアックス】
【フルスイングアックス】
【ライトアロー】【ライトシールド】
【ライトスペース】【ライトレーザー】
【ライトオーラ】【ライトウェーブ】
【ライトベール】【ライトクラッシュ】
【ハイヒール】【マインドヒール】
【クイックヒール】【ディジィーズヒール】
【エリアヒール】【ハイキュア】
【セイントカノン】【セイントシールド】
【ホーリーエンチャント】【ホーリーオーラ】
【ターンアンデッド】【リジェネーション】
【リカバリー】
【身体能力上昇(中)】【斬撃強化(中)】
【精神耐性(大)】【自然治癒力上昇(中)】
【魔力上昇(中)】【魔力操作上昇(中)】
称号
【勇者】【聖女】
あ、こいつ、たぶん再現された偽物じゃなくて、本物だ。偽物は全てファントム=【○○】的な感じで表示されたことを考えれば、間違いない。
鑑定結果を見て、俺はそう確信をした。またこのタイミングで現れたことについて、あることを思う。
だとすれば、この世界の終わりも近いのかもしれないな。たぶんエルフの大陸では、再現されるほどに負の感情を抱いた相手がいなかったのだろう。
あとこのアンデッドの大陸では、赤い煙に負の感情を抱いているものの、流石に発動者自身が再現されることは無かったのかもしれない。
すると向こうも俺が現れたことに気がついたのか、濁った怒声を張り上げる。
「魔゛王゛コ゛ロ゛ス゛!」
そして手に持った聖剣を振り上げて、こちらに突っ込んできた。
俺はとっさに、バリアーを敵の前に何度も展開して足止めをしつつ、テレポートステップで距離をとる。
元々ヤミカとの約束で倒すことは決まっていたが、改めてステータスを見ると、かなりやっかいな相手だな。
特に闇冥属性への高い耐性と、光聖属性が無効なのが面倒である。それに力も見た目通り強く、バリアーが数秒で破壊されていた。
しかし数秒あれば距離をとるのは容易なので、現状では直接攻撃されることも無いだろう。
俺はその間に、自分のステータスを一度確認しておく。
名称:ジンク
神名:ジンジフレ
種族:デミゴット+レイヴンホロウ
種族特性
【状態異常耐性(特大)】【属性耐性(特大)】
【身体能力上昇(特大)】【魔力上昇(特大)】
【全属性適性】【全装備適性】【全種族特攻】
【超再生】【病気無効】
【死魂霊鳥】【死鎌霊鳥】【七毒の爪】
【爪強化(中)】【瘴気生成】
【魔力感知】【魔力操作上昇(大)】
【シャドーネイル】【シャドーサイス】
神授スキル
【二重取り】【カード召喚術】
【盗賊の極意】
エクストラ
【ストレージ】【鑑定】
【言語理解】【偽装】【直感】
【エリアボス】【フュージョンモンスター】
【身代わり人形】【テレポートステップ】
【シャドーバインド】【ドッペルシャドー】
スキル
【超級生活魔法】【カオスアーマー】
【軍団行動】【軍団指揮】【超級鑑定妨害】
【全感共有】【以心伝心+】【召喚転移】
【自然魔力回復速度上昇(大)】
【セイントカノン】【魔法制御】
【消費魔力減少(中)】【魔封じ耐性(中)】
【絶隠密】
【鷹の目】【声真似】【魔法耐性(大)】
【シャドーステップ】【追跡】【上級生活魔法】
【ダークスモッグ】【加速】【アポーツ】
【アスポーツ】【シャドーランス】【バリアー】
称号
【転移者の天敵】【神授滅師】
【神聖なる存在】【魂を喰らう者】
ポイント:70
見ればステータスは、俺とアンクのステータスが足されていた。そこへヤミカの神授スキルや、他多数のスキルが合わさっている。
気になる点は年齢と性別の項目が無くなっていることと、何故かポイントが40から70に増えていることだ。
まだ今のところ、ポイントを得た時のアナウンスは来ていないはずである。
すると脳内に、ある情報が流れてきた。それはこれまでヤミカが勇者たちと共に、三人の転移者を倒したことについての内容である。
転移者を一人倒すと、それぞれに10ポイントが加算されるらしい。また他の転移者のポイントについての内容は、鑑定でも見れないとのこと。
なるほど。だからポイントが増えていたのか。つまりヤミカの魂をアンクが得たことで、そのポイントが融合した際に俺のと合算されたのだろう。
それと以前ブラッドとツクロダのポイントを折半した時に10ポイントになったが、それは四人でも変わらなかったみたいだ。
だとすれば何人まで適応されるかは不明だが、もしかして転移者は、転移者同士のパーティで活動した方が有利なのかもしれない。
そして送られてきた情報はそれだけではなく、勇者たちの神授スキルや、聖剣の情報も含まれていた。
名称:勇者の聖光
効果
・剣適性、光聖属性適性を得る。
・あらゆる能力の上昇、耐性に(大)を得る。
・闇冥属性特攻を得る。
・魔王に対して特攻を得る。
・全てのスキルの必要容量が低下する。
・光聖属性の威力及び効果が極大上昇する。
・仲間との絆によりあらゆる効果が上昇する。
・正義と信じた行動をする時能力が上昇する。
・窮地に陥るほど、全能力が上昇する。
・一度行ったことがある場所へと、仲間と共に高速空中移動をすることができる。
名称:聖女の慈愛
効果
・光癒聖属性適性を得る。
・闇冥属性特攻を得る。
・強い祈りによって、自身と味方を含めてあらゆる能力が上昇する。またそのとき祈りによって、特定のスキルを習得することがある。
・一日に一度、死後三日までの死者を復活させることができる。
・光癒聖属性に対して以下の効果を発揮する。
【効果上昇(極大)】【消費魔力減少(大)】
【魔法制御上昇(大)】【習得容量減少(大)】
名称:大戦士の本能
効果
・あらゆる武器系スキルの発動に必要な魔力を体力で代用することができる。
・武器系のスキルに限り、習得に必要な容量のコストが大幅に低下する。
・武器系スキルの威力と効果が極大上昇する。
・地に足がついている限り、重量差による吹き飛びを無効化する。
・この神授スキルは、以下のスキルを内包している。
【全武器適性】【物理耐性(特大)】
【身体操作(特大)】【体力上昇(特大)】
【自然治癒力上昇(特大)】【踏ん張り】
【狂化】【気絶無効】【威圧無効】
【痛覚鈍化】【継続戦闘】
名称:聖剣アルフィオン
説明
・全ての攻撃に任意で光聖属性を付与する。
・光聖属性の効果を小上昇させる。
・闇冥属性に与えるダメージが小上昇する。
・持ち主のあらゆる能力を中上昇させる。
・一日に三回だけ、無条件で攻撃系スキルの威力を三倍にする。
・この聖剣はブレイブにしか使用できず、念じると手元に戻ってくる。
・この聖剣は、聖属性適性が無ければ使用できない。
・この聖剣は、時間と共に修復される。
・この聖剣は持ち主と共に成長し、以下のスキルを内包している。
【スラッシュ】【サークルスラッシュ】
【ハイスラッシュ】【ショットスラッシュ】
【バーストスラッシュ】【再生妨害】
これは、非常に不味くないか? 正直これこそ、チートというやつだろう。
加えてフレッシュゴーレムには、勇者と聖女の称号もある。
名称:勇者
効果
・光聖属性に(大)耐性を得る。
・闇冥属性に(小)耐性を得る。
・闇冥属性に与えるダメージが30%上昇する。
・困難に立ち向かう時、自身のあらゆる能力が上昇する。
・仲間がピンチの時、自身のあらゆる能力が上昇する。
・即死が無効になる。
名称:聖女
効果
・光聖属性に(大)耐性を得る。
・闇冥属性に(小)耐性を得る。
・闇冥属性に与えるダメージが30%上昇する。
・光癒聖属性の効果が大上昇する。
・光癒聖属性の消費魔力が三分の一になる。
・即死が無効になる。
それに聖剣は元々勇者ブレイブにしか使えないみたいだが、フレッシュゴーレムが勇者本人だと認識されているのは、見れば分かる。
加えてフレッシュゴーレムが手にした時は、その大きさも変わっていた。おそらく成長してサイズ調整系のスキルを、聖剣が得たのかもしれない。
そして神授スキルの数では同数だが、こちらが不利なのは明らかだろう。
俺の二重取りは戦闘では役に立たないし、カード召喚術も手札をほとんど消費している。ヤミカの盗賊の極意も、どちらかといえばサポート向きだ。
対して勇者の聖光は能力や効果上昇に特化しており、聖女の慈愛も似たような効果がある。
また大戦士の本能は確実に戦闘向きであり、聖剣自体もやっかい極まりない。
加えて勇者たちの保有していたエクストラと通常スキル、称号も備わっており、更には独自の種族特性まで獲得している。
赤い煙との戦いもこのあと控えているのに、これはきつい。
最初は時間稼ぎにフレッシュゴーレムを出すのは赤い煙の失敗じゃないかと思ったが、この強さなら納得だ。
ゲヘナデモクレスとレフを呼び出せない以上、かなりピンチなことには間違いない。
もしもフレッシュゴーレムにヤミカの魂が加わっていたとしたら、おそらく手に負えなかっただろう。
それだけに魂を奪って喰ったアンクのファインプレーは、最高の結果をもたらした。
理由は強化を阻止しただけではなく、弱点を与えることになったからに他ならない。
フレッシュゴーレムには、不完全な勇聖なる冥戦と、自己崩壊の種族特性がある。それが、勝利するための鍵になるだろう。
名称:不完全な勇聖なる冥戦
効果
・主軸素材のあらゆる能力を使用可能とする。
・主軸素材と同一の存在として扱われる。
・あらゆる基礎能力は主軸素材に影響される。
・あらゆる成長効果を受けられない。
・あらゆるスキルの取得が不可能になる。
・あらゆる進化方法ができなくなる。
・あらゆる改造を受け付けなくなる。
・一定のダメージを受けるたびに、魂が剥がれ落ちて弱体化していく。また末端のスキルから使用不可能になっていく。
・種族特性に【自己崩壊】のスキルを得る
名称:自己崩壊
効果
・生命力と魔力が一定量を下回った場合、肉体は灰へと崩れ去る。
・継続して生命力と魔力が消費され続けていく。
・あらゆる回復効果を受け付けなくなる。
・暴走状態となる。
・全ての基礎能力が増加する。
・全てのスキル効果が僅かに上昇する。
幸いフレッシュゴーレムは、暴走状態により本能だけで戦っている。そこに知性は、あまり感じられない。
能力的にはこちらが不利だが、戦い方次第では勝てる見込みがある。
それにゲヘナデモクレスが相手をしてた時に、ダメージも受けていたはずだ。何より自己崩壊による継続ダメージも、負っているはずである。
俺はそう自分に言い聞かせて、フレッシュゴーレムとの戦いに望む。赤い煙戦を前にして、同格以上の相手を倒さなければいけない。
状況的にはよくないが、何故か俺はその時、どこか高揚していたのである。
それはこの大陸に来てから、自分自身で戦うことが少なかったからかもしれない。
さて、気合を入れて立ち向かおう。
そうして俺は作戦を脳内で練りながら、自分自身を鼓舞するのであった。
※フレッシュゴーレムはスキルの取得はできませんが、聖剣自体は効果の対象外なので、スキルを取得できたりします。
 




