表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
倒したモンスターをカード化!~二重取りスキルで報酬倍増! デミゴッドが行く異世界旅~  作者: 乃神レンガ
第八章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

327/474

SS エーゲルの追想

※推奨読了話数15話までくらい。


Q.エーゲルって誰?

A.盗賊に捕まっていた冒険者の一人。ジンに感謝しており、お礼として後にシャドーアーマーとなる、シャドーネイルのスキルオーブをくれた。またカードを譲渡した一人でもある。


 俺の名はエーゲル。


 絆の導きというパーティに所属していた、Cランク冒険者だ。


 このパーティに入れたことを、俺は神に感謝している。


 なぜなら元々俺は剣適性というスキル一つしかなく、ランクが上がるほどにパーティへの加入が難しくなっていたからだ。


 Cランクともなれば、神から授けられたスキルが三つ以上はありふれている。


 最低でも二つだ。


 その中で、俺のスキルは一つだけである。


 いかに剣の扱いに自信があっても、門前払いされた事は数えきれない。


 けれども絆の導きというパーティは、違った。


 しっかりと俺の実力を見た上で、加入を認めてくれたからだ。


 俺は確かに剣適性しか持っていないが、剣の扱いは同じスキルを持つ者にも負けない。


 だから自分の実力を認められたのは、正直とても嬉しかった。


 それから活動を続けて、俺も期待に応えるためにどんどん強くなる。


 スキルオーブからスキルを取得して、Cランクとしては十分の力を得た。


【スラッシュ】【連撃】【サークルスラッシュ】【投擲】【痛覚鈍化(小)】


 この五つを手に入れるまで、かなりの節約の日々を送った事を思い出す。


 まるで駆け出し冒険者のように、貧しい暮らしを耐え抜いた。


 けれども授かったスキルが少ない俺は、スキルオーブで強くなるしか方法はない。


 また向上心ややる気があったからか、気が付けばパーティのメインアタッカーになっていた。


 正に順風満帆とは、このことである。


 欲しかった力も手に入れて、仲間たちにも恵まれた。


 だから、これで満足するべきだったんだ。そう、満足するべきだった……。なのに俺は、欲が出てしまったのである。

 

 冒険者なら目標にする、ダンジョンの踏破。それを、つい目指してしまった。


 挑んだダンジョンも、自分たちならギリギリ乗り越えられるレベルにしたのも、不味かったのだろう。


 途中までは、問題なかった。むしろ順調に、攻略できていたと言える。


 けれどもボスエリアに入ったとき、これまでの運の分、不運が一気にやってきた。


 本来のボスよりも、そいつは一ランクも上のモンスターだった。


 めったにないが、噂で聞いたことがある。何度も攻略を繰り返されるダンジョンは、ある日ボスモンスターを強化することがあると。


 それがちょうど、俺たちの時だった。後戻りは当然できず、必死に俺たちは抗う。


 けど、ギリギリ勝てることが前提で来ていたこともあり、仲間たちが次々に倒れていく。


 最後に俺だけが生き残り勝てたのは、本当に奇跡だった。 けれども一人生き残った俺は、絶望の淵に立たされる。


 どうして、こうなったのだろう。冒険者なら、こうしたことは覚悟していた。だけど、あんまりじゃないか。


 俺はそんな風に、ただただ嘆くしかできなかった。


 それからはこれまでの冒険者としての本能なのか、素材の収集や宝箱の物を手に入れたのを、薄っすらと覚えている。


 また手に入れた金銭のほとんどは、仲間の身内に渡すことにした。


 残ったのは僅かな金銭と、シャドーネイルというスキルオーブだけ。


 俺には、このスキルを習得する適性はない。だけど、なぜか手放せなかった。


 それはこのパーティに入ってから、スキルオーブの為、必死に頑張ってきたからかもしれない。


 加えてこのスキルオーブは、皆との最後の成果の一つだ。


 だから俺はこれをお守りの代わりに、持っておくことにした。


 その後は冒険者業を続ける気にならず、俺は旅に出る。だがその道中で、俺は盗賊に襲われた。


 盗賊程度なら、一人でも余裕だ。けどその中に、やけに強い盗賊がいた。


 油断していたからか、それとも仲間を失ったから無気力だったのか、俺はやられてしまう。


 少し前なら、絶対に負けることはなかった。


 俺はもしかしたら、死に場所を求めていたのかもしれない。けれどもどういう訳か、俺はその後生き残った。


 ジン君という、凄い人物に助けられたからだ。俺にはとても、眩しく見えた。


 彼を見ていると、スキルオーブを必死に求めていた時の自分を思い出す。また失った仲間たちの事も、思い出した。


 そうだ。俺はこんなところで死ぬわけにはいかない。仲間たちの分まで、生きなければいけなかった。


 霧がかかっていた思考が、一気に晴れる。


 ゆえに俺はこのままではいけないと思い、お礼の意味も込めて、シャドーネイルのスキルオーブをジン君に託すことにした。


 これは、新たな一歩だ。


 失った仲間たちとの思い出は大切だが、それに縛られてはいけない。それに、ランジという新しい仲間もできた。


 またジン君からは、グレイウルフも譲ってもらう。彼は俺の想像のつかない高みへと、いずれ辿り着くはずだ。


 必要かは分からないが、そのとき少しでも力になれるように、もっと強くなろう。


 そして今度こそ仲間を失わないために、俺は最善を尽くす。


 だから皆、俺のことを見守っていてくれ。

 エーゲルはDランクにとても近いCランク。コツコツと頑張ってランクを上げた感じです。比較的に強い冒険者が少ない過疎っていた場所で活動していたので、激戦区よりもランクが上げやすかったというのもあるかもしれません。


 また初期キャラなので、最新話に登場した同じCランクのモブメッツ君よりも、凄く弱く見えますね。懐かしむと同時に、作中のインフレが進んだ気もします。(^-^;

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ