SS ハンスの追想
※推奨読了話数15話までくらい。
Q.ハンスって誰?
A.盗賊に捕まっていた商人夫婦の息子。助けられたのにジンに対して嫉妬や恨みを募らせていた。ジンに決闘を挑み、簡単にあしらわれてしまう。
俺の名前はハンス。行商人である親父の一人息子だ。
今年十五歳になり、冒険者になった。
行商人を継ぐなんて、真っ平ごめんだ。
俺のような優れた人間が、する仕事じゃない。
俺は、選ばれた人間だ。
なぜなら十歳の時、スキルを三つも手に入れた。
それも鑑定、水属性適性、剣適性だ。
どれも使える有名なスキルであり、冒険者なら喉から手が出るほど欲しいスキルだろう。
周りの奴らは、ゴミのようなスキルを一つか二つしか授からなかった。
これは、神が俺を選んだ証拠だろう。
俺は他の奴とは違う。これから、冒険者として有名になっていく。
だから攻撃魔法のスキルが欲しかったのに、母さんに反対されてしまった。
俺は、母さんにだけは頭が上がらない。
反抗すれば、もう夜にアレをしてくれなくなる。
親父には内緒の、ご褒美だ。
だから冒険者になっても、家には帰っていた。
親父はどうでもいいが、母さんにだけは会いたい。
話が脱線したが、夜に母さんにお願いして、下級生活魔法のスキルオーブを買ってもらうことができた。
生活魔法も冒険者なら欲しいスキルなので、今はこれで満足しておく。
それから成長して十五歳になったとき、親父に剣を買ってもらった。
当然安物ではなく、しっかりとした丈夫な剣だ。
これで、ある程度の準備は整った。
けれども攻撃魔法のスキルは、俺には高くて買えない。
なのでしばらく家に戻りながら、母さんにおねだりしよう。
母さんが許せば、親父もいうことを聞くはずだ。
そして俺は子分どもと共に、冒険者になった。
こいつらはザコだが、俺のことをよく分かっている奴らなので、仕方なく子分にしている。
少し金に汚いが、まあそれくらいは面倒をみてやろう。俺はこいつらとは違って、少しは金があるからな。
まあ、スキルを買える額じゃないのが、少し不満だが。
小遣いをもう少し増やしてもらうために、これも母さんにお願いしよう。
そうして冒険者として依頼をこなしているが、コツコツ上げるのは性に合わない。
なので親父に言って、俺に護衛依頼を指名するように説得をする。
親父は最初こそ渋ったが、他の冒険者を雇うよりも安くて信頼できると言ったら納得した。
親父ほどの商人を言いくるめられる俺は、やはり商人としても才能があったのだろう。
まあ、商人なんて俺がすることじゃないがな。
それから順調に依頼をこなしていたのだが、子分どもが母さんに近付くのを見ているとイライラする。
だがまあ、ここは我慢しよう。
だがこいつらに渡す金は、少し減らすことにした。
そうして荷馬車を守りながら進んでいると、盗賊が現れる。
盗賊ごとき本来なら楽勝だったが、子分どもがあっさりと逃げやがった。
絶対に許さねえ。
それにいくら俺が選ばれた人間だとはいえ、この数は無理だ。
べ、別に、痛いのが嫌だとか、そういう訳ではない。ないったらない。
なので、捕まったのは仕方がなかった。
けど捕まった後、母さんが盗賊たちから酷い目に遭ってしまう。
止めに入った親父は殴られて、そのまま黙ってしまった。
全く使えないクソ親父だ。
俺は親父のように馬鹿じゃない。だから機会をうかがっている。
その時が来たら、盗賊なんて楽勝だ。
けど、母さんが酷い目に遭っている姿は、とても興奮した。
それに今動いたら、母さんが殺されてしまうかもしれない。だから、少しだけ待つことにした。
加えて母さんが殺されないために、しっかりと見張っておこう。
なのにそれからしばらく経ってから、やつが現れる。
最初は美少女だと思ったのに、やつは男だった。
生意気にも俺を鑑定してきたそいつは、ジンというらしい。
俺と同い年らしいが、不思議な力を持っている。
盗賊どもを倒したことで、他に捕まっていた無能どもに絶賛されていた。
親父も低姿勢だし、母さんも熱い視線を向けている。
気に食わねえ。
コイツよりも、俺の方が優れているに決まっている。俺は、選ばれた人間なんだ。
けど、だからだろうか、気が付けばやつは、いなくなっていた。
ははっ、どうやら俺に恐れをなして逃げ出したらしい。
親父と母さんが慌てているが、関係なかった。
なら次は、逃げ出した子分どもを制裁する番だ。
そしてそれが終わったら、久々に母さんに夜中アレをしてもらおう。
だからしばらくは、冒険者は休業だ。




