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倒したモンスターをカード化!~二重取りスキルで報酬倍増! デミゴッドが行く異世界旅~  作者: 乃神レンガ
第八章

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299 城のダンジョン ⑰

※モブメッツ視点です。


 おっす! オラの名前はモブメッツ! Cランク冒険者だ!


 闘技場での戦いが終わり、その場に置いていかれたオラたち中位冒険者。


 少し休憩をとった後に、このダンジョンから脱出することを決めた。


 しかし既に満身創痍(まんしんそうい)の者も多く、脱出には犠牲が出ることは明らかだ。


 けれどもオラたちはあの上位冒険者たちとは違い、仲間を見捨てないことを決めた。


 そうして残った者たちで協力しながら、少しずつダンジョンの出入口を目指す。


 オラはそんな中、比較的に傷も少なく斥候もできたので、最前線で安全を確保していた。


 幸い罠類はほとんど残っておらず、再設置もされてはいない。加えてモンスターがほとんど現れなかったことが、助けになっていた。


 またしばらくすると、驚くことに突然モンスターが一切現れなくなる。


 これはいったい、何が起きたのだろうか?


 周囲の冒険者たちも、この現象には驚きを隠せない。


 もしかして、勇者様が魔王を倒したのだろうか? いや、流石にそれは早すぎる。どう考えても、旗が既に届いている距離ではない。


 だとすれば、余計にこの状況の謎が深まった。しかし、オラたちからすれば、運が良い事には変わりない。


 罠もほとんど残っておらず、モンスターも出ないとなれば、生きて脱出できる可能性が大きくなる。


 オラたちはそうプラスに(とら)えて、進み続けた。そうしてあの(とりで)の迷路まで、無事に戻ってくる。


 砦の迷路は複雑だけど、冒険者の中にはマッピングをしていた者たちがいた。それにより、思ったよりも迷いなく進むことが出来ている。


 更に迷路内にも、なぜかモンスターがいない。あとは罠も少し残っているけど、解除する際に襲撃がないこともあり、落ち着いて解くことができた。


 またこの時オラたちは、迷路内の(つる)を採取していく。理由はこの先にある巨大な落とし穴の底で、助けを待っている者がいた時のためである。


 収納系スキルを所持している者もそこそこいたので、余裕で集まった。これくらいの量なら、あの高さでも底まで届くだろう。


 すると、そんな時だった。


「た、助けてくれ……」

「!? だ、大丈夫か!」


 助け声が聞こえて視線を向けると、仰向けの状態で倒れている人物が目に入る。


 体中を(つる)で拘束されており、右足は(ひざ)の少し下あたりから地面に()まっていた。更に左足の膝には、矢が刺さっている。


 幸い他に大きな怪我(けが)は見られないが、かなり衰弱しているのが見てとれた。


 なので俺は一応警戒しながらも近づき、他に罠がないことを確認すると、その人物を助け出す。


 またヒーラー冒険者にも手伝ってもらい、怪我を治してもらった。しかし時間が経っていたようで、膝に後遺症が残ってしまう。


 これでは、走るのも辛そうに思える。けど命が助かっただけでも、運が良かったと言えた。


「た、助かった……だが、この矢を受けた膝じゃ、もう冒険者は続けられないな。もし生きて帰れたら、故郷の町で衛兵でもするしかなさそうだ」


 そう軽く言っていたが、どこか哀愁(あいしゅう)がただよっていた。本心だと、かなり(くや)しいのかもしれない。


「じゃあその時は大冒険をしたことを、生涯酒の席で自慢できるな!」

「ああ、そうだな。勇者様の魔王討伐に参加できただけで、俺は満足だ」


 あえてそう言ってやることで、少しは気分が落ち着いたようだ。


「ちなみにオラの名前はモブメッツ。Cランク冒険者だ!」

「よろしく、モブメッツ。俺の名はスカムだ。同じくCランク冒険者になる」


 スカムと名乗った人物は、声からして三十代くらいの男性だろう。見た目は長っぽいフルフェイスヘルムと、革鎧を身に着けている。


 また武器は長剣と丸盾、それと弓が多少使えるらしい。万能型の戦士といったところだろう。


 ちなみにスカムはソロ冒険者であるにもかかわらず、方向音痴らしい。気がつけば、付いていっていた他の冒険者とはぐれてしまったみたいだ。


 そうして彷徨(さまよ)うことしばらく、運悪く罠にかかってしまったらしい。結果最早(もはや)これまでかと思ったところで、モンスターが消えたという。


 あとはオラたちよりも先に冒険者の集団が通ったらしいが、助けてはくれなかったみたいだ。おそらく、旗を運んでいた上位冒険者たちに間違いない。


「そりゃ災難だったな。けど、もう大丈夫だ。オラたちと共に、このダンジョンを脱出しよう!」

「ああ、こちらからお願いする。戦力としてはあまり役に立てないかもしれないが、できる限りのことはしよう」


 そうして、新たに戦士のスカムを仲間に加えて、オラたちは先へと進むことになった。


 なおスカムは、最初に助けに動いてくれたオラに感謝しているらしい。なので隠し持っていたシュガーロールという、真ん中に穴の開いたお菓子をオラにくれた。


 少し潰れてしまっているが、食べてみると吐きそうなほど甘い。けどせっかくの好意なので、オラはそのシュガーロールを食べ切った。


 どうやらスカムは、かなりの甘党のようである。


 それを見て、スカムは満足そうだった。どうやら故郷では人気のお菓子のようであり、盗まれるのを警戒しなければいけないほどのものらしい。本当だろうか?


 オラはそんなことを思いながら、水を飲んで口の中の甘みを流し込むのだった。


 ◆


 それからはなんの事件もなく、オラたちは大穴へと辿り着く。


 周辺に冒険者は、一人も残ってはいなかった。もしかしたら、旗を運んでいる上位冒険者たちについていったのかもしれない。


 一応念のため、大穴を覗き込む。そのとき光球を使える冒険者たちによって、暗闇が照らされた。


「……け……て」


 すると大穴の底に、一人の人物が壁を背にして座り込んでいるのが見える。加えて何故かあれほどまでに満ちていた泥沼が、きれいさっぱり消えていた。


 二つの意味で驚きながらも、オラたちはその人物を助けることを決める。


 そしてここで役に立つのが、砦の迷路で集めておいた蔓だった。


 (つる)を一本の長い(なわ)のように結び、代表者一名が救助のために自身の体にも結んでいく。


 ちなみにその時の代表者は、なぜかオラになった。よく分からないけど、どうせお前が行くんだろ? という雰囲気になっていたのである。


 大穴の底には何が潜んでいるのか分からないので、正直嫌だった。しかしだからといってそこで拒否してもいられないので、オラは諦めて代表者になる。


 体に結んだ蔓縄に不備がないかを確かめた後、冒険者たちにゆっくりと降ろしてもらう。


 そして何か襲ってくるということもなく、無事に底へと降りることができた。


「助けに来たぞ!」

「あり……が……とう」


 見れば意識はあるが、かなり衰弱(すいじゃく)をしている。だが流血していることはなく、見た限りでは怪我はない。


 おそらく緑色の神官戦士のような服装の見た目なので、自身で治癒系の魔法を使えるのかもしれない。


 だとすればこれは、魔力欠乏症(けつぼうしょう)だろうか? オラにはそこのところ判断ができないので、他の知識のある冒険者に見てもらおう。


 そう思いながら、オラはその人物の体に蔓縄を結び、後ろから抱きかかえるようにする。


 これがもし女性冒険者なら役得だったのだけど、生憎(あいにく)彼は男性だった。若く、十代にも見えた。


 そうして他の冒険者たちに引っ張り上げてもらい、無事に大穴から助け出すことに成功する。


 また彼の症状を見てもらうと、どうやら魔力欠乏症に加えて、過剰回復状態らしい。


 魔力欠乏症は、文字通り魔力が欠乏することで起きる症状である。そして過剰回復状態は、短期間で何度も治癒系魔法などを受けることで、起きてしまうみたいだった。


 過剰回復状態になると、ほとんどの治癒系魔法やポーション類、薬品などを受け付けなくなるらしい。


 加えて彼はどうやら軽い毒状態であり、血液不足にもなっているみたいだった。


 怪我自体は自力で治したみたいだが、失った血液は戻らない。それに毒を治しきる前に、魔力欠乏症と過剰回復状態になってしまったのだと思われる。


 つまり彼はこのままだと、死ぬ可能性がとても高かった。


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