表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

289/470

SS 心が読めるにゃん♡

 ※時期的には078くらいの話です。


 私は真面目な兵士。


 自分で言うのもなんだが、周囲からも真面目で堅物な男だと思われている。


 だからこそ、ハパンナ子爵様や他の有力者方がいる場所で、警備を任された。


 国始まって以来のテロ事件が起こり、周囲もピリついている。


 何が現れてもいいように、私は気を張り詰めていた。


 しかしそんな時、その天使が突如(とつじょ)として現れる。


 メイド服に身を包んだケモミミ美少女、ジフレ様だ。


 腰まで伸びる黒髪に、黄金の瞳。そして黒い猫耳と猫尻尾を持つお方である。


 正直に言おう、私の性癖にドストライクだった。


 そして再度口にするが、私は真面目で堅物な兵士。そう周囲には、思われている。


 しかしそんな私にも、一つだけ秘密があった。


 それは、重度のケモミミ好きということである。


 偶然書物で獣人という存在を知ってから、私はその(とりこ)になってしまった。

 

 故に夜のお店では、獣人の衣装や小道具を持参して楽しむほどである。


 もちろん、このことは絶対に知られたくはない秘密だ。


 仮に知られたら、おそらく大変なことになるだろう。


 私の社会的地位や、友人関係という意味で。


 それに最近では、街をうろつく犬や猫に対しても、気持ちが揺らぐのだ。


 モンスターであれば、ホーンラビットがもうたまらない。


 私もサモナーの端くれであり、当然ホーンラビットのメス個体を使役している。


 酒の勢いで何度か過ちを犯してしまったが、まだ、まだ私は戻ることができるだろう。


 こうしてジフレ様を前にしても、己を律して警備の任務に従事できている。


 ハパンナ子爵様のご息女であらせられるルーナ様が、ジフレ様の尻尾を掴んだときは大変羨ましかった。


 しかし私はそれを見ても、グッと我慢したのである。


 私は自分の我慢強さと真面目さに、心の中で自画自賛したのは言うまでもない。


 だがそれも、ジフレ様が心を読めると言ってから、崩れ去る。


 非常に不味いと思った。


 私は表面上は真面目な兵士だが、心の中では大変なことになっている。


 心を読まれたら、一巻の終わりだ。


 どうか、どうか私の心は読まないで欲しい。


 そう、神に祈った。


 しかし、現実は残酷だ。私はジフレ様に心を読めることを証明するための人物として、選ばれてしまう。


 もうだめだ。こうなってしまえば、己の欲望に従うしかない。


 それに、こんなチャンスは二度とこないだろう。


 だから私は、心の中でこう繰り返した。



 ”両手を猫のように握り、片足を後ろにあげて、『心が読めるにゃん♡』ってウィンクしながら言ったら信じます!!”



 するとジフレ様は驚愕の表情で私を見つめると、恥ずかしいのか少し顔を赤くして、私のことをキッとにらむ。


 正直、その表情はたまらなかった。


 けれども、これは前菜だ。


 私はジフレ様の次の行動で、取り(つくろ)うことが出来なくなる。



「心が読めるにゃん♡」



 やってくれた。本当に、やってくれたのだ。


 私の願いを、ジフレ様が聞き入れてくれた。


 神様、そう、ジフレ様こそが、神様に違いない。


 創造神様とは違う、もうひと柱の神様だ。


 だからだろう。その瞬間、私はこのように叫んでいた。



「うぉおおお!! 本物ッ! 圧倒的本物ッ! 圧倒的感謝ッ! 確かに心が読まれる違和感がありました!!」



 こうして私はその日から、真面目で堅物な兵士という偽りの姿をやめた。


 代わりに今日からは、重度のケモナー兵士として、同志を増やす日々である。


 あの日の感動を忘れないように、私は記憶が鮮明なうちにジフレ様のお姿を絵に残した。


 もちろん、警備の仕事も抜かりない。


 今の私は、きっと二十四時間戦える。


 これでも昔は、画家を目指していたのだ。


 画力には自信があった。


 そうして出来上がった一枚目の絵はもちろん、両手を猫のように握り、片足を後ろにあげて、『心が読めるにゃん♡』ってウィンクしているジフレ様のお姿だ。


 これほどの作品を仕上げたことは、これまでとして一度もない。


 その時私は気がついたのだ。なぜ自分が画家になれなかったのか。


 理由は簡単だ。この(たぎ)るような情熱が、以前の私には欠如(けつじょ)していたのである。


 そしてこの絵は、ハパンナ子爵様が超高額で購入してくださった。


 更に私をお抱えの絵師として、雇ってくれるという。


 私はそれを、もちろん承諾した。


 なので私は兵士を辞めて、これからはケモナー絵師として生きていく。


 私の夢は、大陸中にジフレ様のお姿を広めることだ。


 そしていずれは、国境門の先にある別の国にも、ジフレ様の偉大さを伝えてみせよう。


 これは、私にしかできない天命に違いない。


 それから私は、ジフレ様のお姿を描き続けた。


 すると驚くことに、多くの街から私の絵の評判を聞きつけて、購入を希望する者が殺到したのである。


 中には強引な者もいたが、私はハパンナ子爵様のお抱えの絵師だ。


 そうした者は、ハパンナ子爵様のお力で対処していただいた。


 しかし不思議なのは、既にジフレ様が人気であることである。


 もちろん、ジフレ様は素晴らしい。


 だが何か理由があるのかもしれないと、私はその者たちに訊いてみた。


 するとどうやら、ジフレ様は多くの街を救った英雄とのこと。


 やはりジフレ様は、私が思った通り特別なケモミミ女神様だ。


 これはますます、絵師として頑張らなければいけない。


 そうして私の努力も実り、次第に弟子たちも増えていく。


 皆がジフレ様の素晴らしさを理解した、同志たちでもあった。


 そして私は後に、偉大な画家として名を残すことになる。


 私は生涯、ジフレ様や美しいケモミミたちを描き続けるだろう。


 この滾る情熱は、もう誰にも止められないのだから。


 私は元真面目な兵士、今はジフレ様とケモミミを愛する、ケモナー絵師だ。


 その名を、ケモノスキーという。


 代表作は、ジフレ様シリーズ。ホーンラビットシリーズ。犬猫シリーズ等である。

 

 どの作品も私や同志たちにとっては、たまらない一品に仕上がった。


 これからも生涯、この滾る想いが消えない限り、ケモナー絵師として活躍していくことだろう。


 ジフレ様、万歳!!

 今回のSS投稿は、以上になります。

 また次に何か記念を迎えたときに、SSを投稿すると思います。


 引き続き、モンカドをよろしくお願いいたします。

 <m(__)m>


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ