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倒したモンスターをカード化!~二重取りスキルで報酬倍増! デミゴッドが行く異世界旅~  作者: 乃神レンガ
第七章

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SS ツクロダの成り上がりと絶望

 ※時期的には097くらいの話です。


 アソブ・ツクロダという、転移者がいた。


 黒髪黒目の少年で、髪型は特徴的なキノコ頭である。


 加えて細い目と丸眼鏡。また特徴的な出っ歯をしており、ひ弱そうな細身をしていた。


 お世辞にも、優れた容姿とは言えない。


 しかしどういう訳か、ツクロダはラブライア王国で伯爵の地位に就き、ハーレムを形成するまでに至る。


 美少女や美女と幅広く、また誰もツクロダには逆らえない。


 実質ツクロダは、国を支配しているようなものだった。


 だがどうしてツクロダは、ここまで成り上がることができたのか。

 

 それには、ツクロダの神授スキルに理由がある。


 ツクロダの神授スキルは、【創造者の指先】というものだった。


 その効果は材料さえあれば、ツクロダの想像通りにあらゆるものが作り出せるというものだ。


 更には大量に同じものを創造すれば、材料無しに魔力だけで創造することも可能だった。


 それによってツクロダは戦闘能力こそ皆無ではあるものの、創造したアイテムで瞬く間に国を支配したのである。


 洗脳や未来予知、銃に加えてモンスターの支配。


 他にも、国の技術力を大幅に超える魔道具の数々。


 もちろん創造する上での制限や、神授スキルの熟練度などの要因で思い通りになる事ばかりではない。


 しかし三国の中で最も弱小だったラブライア王国が、二国を相手に同等以上の戦いをするには十分な代物だった。


 また優秀な配下を手にしたツクロダは、自身が危険な目に遭う必要もなくなる。


 安全な場所で配下が用意した材料を元に、創造し続けるだけでいいのだ。


 そうしてこれにより、ツクロダの成り上がるための地盤が完全に固まる。


 後は二国を支配して、国境門から別の大陸に進出するのも時間の問題だった。 


 放っておいても、全てが手に入る。ツクロダ自身も、そう考えていた。 


 故にツクロダは欲に(おぼ)れ、趣味に走り、面倒なことは全て配下任せという自堕落な生活をし始める。


 そう、こうしてツクロダは、努力することを放棄してしまった。


 誰も自分を止められないと、そう思っていたのだ。


 実際ツクロダの用意した魔導銃を装備したリビングアーマーに、勝てる者は少ない。


 また例え勝てたとしても、ツクロダの元まで辿り着くことは困難極まるだろう。


 更にツクロダには、奥の手の失敗作EX1やツクロダロボがある。


 Aランク相当、いやSランクが現れようとも、勝てる自信があった。


 加えて趣味で作り上げたツクロダダンジョンに避難すれば、万全である。


 同じ転移者が現れようとも、自分を倒せるはずがない。


 ツクロダはそれについて、確信を持っていた。


 実際ツクロダは、同じ転移者であるブラッドの情報も得ている。


 その上で、負けないと十分に判断できたのだ。


 だからどこまで行っても、ツクロダは余裕に満ちていた。


 自分が敗北することなど、万に一つも無い。


 他の転移者が仮に現れようとも、創造神と名の近い神授スキル、【創造者の指先】を持つ自分が勝つに決まっている。


 自分こそが神に選ばれた存在だと、ツクロダは疑いもしない。


 だから結果として、こうなるのも仕方がなかった。


 ジフレという猫耳美少女が登場したとき、自分の都合の良いように解釈してしまうのは。


 故に準備はこのくらいでいいだろうと、手を抜いてしまう。


 それが巡り巡って、ツクロダの運命を決定づける。


 欲に溺れずに研鑽(けんさん)を続けていれば、ツクロダはいずれ、転移者の中でも最強の一角になっていただろう。


 ジフレが現れた時に、油断なく全力を尽くしていれば、何かが変わったかもしれない。


【創造者の指先】という、神授スキルの中でも最高峰のものを手にしながら、この結末。


 最高の幸運尽くしの中で、たった一つの絶望。


 全てがひっくり返され、その野望も泡沫(うたかた)のように消えた。


 頂点へと手が届くかもしれなかった転移者の一人、ツクロダの人生はこうして、終わりを迎えたのである。


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