268 ルルリアのスキル
まずは改めて、ルルリアのステータスを呼び出す。
種族:リヴァイス・オブ・セイレーン(ルルリア)
種族特性
【水属性適性】【水光聖音属性耐性(大)】
【魔音師】【神覚の聖肉】【救いの聖霊】
【救いの歌声】【ブレッシングソング】
【セイントノヴァ】【恵みの雨】【ソナー】
【巨躯恵体】【状態異常耐性(大)】
【高速飛行】【超再生】【悪性審判】
エクストラ
【ダンジョンボス】
【セイクリッドモンスター】
スキル
【歌上手】【泳ぎ上手】【剣適性】
【スラッシュ】【サークルスラッシュ】
【ウォーターシールド】【レインニードル】
【ウォーターランス】【上級鑑定妨害】
進化前にも持っていた強力なスキルはもちろんのこと、初めて見るスキルも多い。
とりあえず既知だが、強力なスキルなどの効果をもう一度確認しておく。
名称:魔音師
効果
・音属性の効果を増加させる。
・音属性の制御力が上昇する。
・このスキルには、以下の音属性スキルが内包されている。
【音属性適性】【ボイスショック】【ウィスパー】
【ボイススピーカー】【サウンドキャプチャー 】
【ボイスコンフュージョン】【サイレント】
◆
名称:巨躯恵体
効果
・このスキルには、以下の効果が内包されている。
【身体能力上昇(大)】【生命力上昇(大)】
【身体操作上昇(中)】【魔力上昇(中)】
【物理耐性(中)】【魔法耐性(中)】
【自然治癒力上昇(中)】【自然魔力回復量上昇(中)】
◆
名称:ダンジョンボス
効果
通常個体よりも生命力や魔力、身体能力が大幅に上昇する。
即死効果が無効になる。
この三つだけでも、かなり強い。
正直この三つだけでも、Aランク以上だろう。
だがこれはおそらく、前座に過ぎない。
今回新しく手に入れたスキルの方が、ヤバい気がする。
果たしてその効果は、いったいどれほどのものなのだろうか。
俺はそう思いながら、初見のスキル効果を確認していった。
名称:神覚の聖肉
効果
・その身は祝福と奇跡でできている。
・摂取した者に、以下の効果を与える。
【祝福(大)】【状態異常耐性(大)】
【精神耐性(大)】【溌剌(大)】
【勇敢高揚(大)】【老化速度低下(大)】
【寿命上昇(大)】【若返り(大)】
◆
名称:救いの聖霊
効果
・善なる者の救いを求める声が聞こえてくる。
・善なる者を救う時、あらゆる能力が上昇する。
・光癒聖属性の効果を増加させる。
・光癒聖属性の制御力が上昇する。
・このスキルには、以下のスキルが内包されている。
【光癒聖属性適性】【ライトレーザー】
【ライトウェーブ】【ハイヒール】【リカバリー】
【セイントシールド】【ホーリーエンチャント】
◆
名称:救いの歌声
効果
・味方と敵で効果の違う、救いの歌声を周囲へと響かせる。
・味方に継続して聞かせることにより、以下の効果を蓄積させていく。
【治癒】【魔力回復】【状態異常回復】【病回復】
【精神改善】【溌剌】【勇敢高揚】
・敵に継続して聞かせることにより、以下の状態異常効果を蓄積させていく。
【戦意喪失】【罪悪感増大】【恐慌】
【魅了崇拝】【脱力】
◆
名称:ブレッシングソング
効果
・祝福の歌声を周囲へと響かせる。
・味方に対して祝福(中)を付与する。
◆
名称:セイントノヴァ
効果
・聖属性による長距離の大規模攻撃魔法。
・込めた魔力によって、威力と飛距離が変化する。
◆
名称:恵みの雨
効果
・あらゆるものを癒す恵みの雨を降らす。
・その地に宿る悪しきものを浄化する。
・大地に肥沃効果をもたらす。
◆
名称:悪性審判
効果
・悪しき者か一目で見極める。
・悪しき者の嘘を見破り、心の声を聞き取る。
・悪しき者からの攻撃をある程度軽減する。
・悪しき者の心が邪悪であるほど、与えるダメージが上昇する。
・悪しきものを倒した際に、魂ごと消し去ることが可能。
◆
名称:セイクリッドモンスター
効果
・信仰する神への信仰度が高いほど、生命力や魔力、身体能力などが上昇する。
・自身が信仰された場合、その信仰心は自身の信仰する神へと捧げられる。
・あらゆる進化方法が不可能になる。
・あらゆる隷属状況下でも、自由行動を可能とする。
・知力を人と同等まで上昇させ、確固たる個を確立する。
・即死や呪い、他者からの支配に対して完全耐性を持つ。
・所持者が死亡しても、存在を維持する。
・このカードは破棄できない。
思った通り、新しいスキルは超強力だった。
ルルリアは俺のことを神と言っていたが、むしろルルリアの方が神なのでは?
そう思ってしまうほど、凄まじい。
まず神覚の聖肉だが、これは絶対に知られてはいけないだろう。
呪毒の命肉のデメリットを消すどころか、効果が超強化されてしまっている。
老化速度低下、寿命上昇、若返り以外の効果は、おそらくバフ効果なので時間経過で消えるだろう。
しかしそれでも、強力なことに変わりはない。
ちなみに祝福は呪いなどを打ち消し、少しずつだが魔力を回復させ続けて、魔法の扱いがしやすくなる効果があるみたいだ。
呪いとは、逆の効果である。
また溌剌は衰弱の逆で体に力が漲り、勇敢高揚は恐怖や迷いなどを打ち消し、高揚感を与える効果だ。
状態異常耐性と精神耐性もあり、いずれも効果は(大)となっている。
もはやルルリアの肉自体が、伝説級のアイテムと言えるだろう。
ただ問題は、カード化したモンスターの肉を食べても、カードに戻した時に胃の中の肉も消えることである。
これは以前、カード化したマッドクラブで実践済みだった。
まあ戦闘中ルルリアを召喚している間は、なくならないので問題は無いかもしれない。
それとマッドクラブの肉に効果は無いので、その有無の違いも不明だった。
もしかしたらカードに戻して胃の中の肉が消えても、バフの効果自体は残る可能性もある。
だがどちらにしても、このスキルが凄いことに変わりはない。
しかし一番の問題は、ルルリアの肉を食べるということ自体にある。
倫理的にもそうなのだが、そもそもそれをしてしまえば、レッドアイとやっていることは同じだ。
けれどもルルリアの肉が、有用であることには違いない。
なのでとりあえずこの件は、一旦保留にしよう。
俺は神覚の聖肉ついて、現状では考えるのをやめた。
次に救いの聖霊だが、これもまた凄い。
光・癒・聖の三つの適性が、内包されている。
加えてその三種の属性魔法を二つずつ兼ね備えており、効果や制御力も上昇するみたいだ。
また『善なる者の救いを求める声が聞こえてくる』とあり、その点が気になるところだ。
いずれ、試せる機会があるのだろうか?
ルルリアの大きさを考えると、そうした声が聞こえる場所にいることは少ないだろう。
縮小のスキルを手に入れて、与えることも考えた方がいいかもしれない。
加えて聖霊とあることから、ルルリアはこの姿でもアンデッド系であることには変わりないのだろう。
まあ、スキルの名称がそうであるだけで、実際には違う可能性もあるが。
そして三つ目のスキルだが、崩壊の歌声が変化したものだろう。
名称は救いの歌声であり、味方と敵で効果が変わるみたいだ。
正直崩壊の歌声の強さを考えると、この救いの歌声もヤバいに違いない。
仮に同数での戦争で使ったら、ほぼ味方が勝つだろう。
味方は力とやる気に満ち溢れ、様々な回復の恩恵を受ける。
対して敵は力が抜け罪悪感と恐怖、そして戦意を喪失してしまう。
更には魅了崇拝という、おそらくは歌っているルルリアへの信仰心が生まれる可能性もあった。
なので救いの歌声は、普通にチートスキルである。直接攻撃するスキルばかりが、強いわけではない。
こうした状態異常系は対処が難しいので、その分やっかいと言える。
それにルルリアには他にも、ブレッシングソングという祝福を与える歌や、セイントノヴァというセイントカノンの上位魔法らしきものも使用できるみたいだ。
また人のみならず、土地すらも癒す恵みの雨もある。
これは正に、神の御業と勘違いされそうな能力だろう。
もしかしたらこの大陸の土地も、浄化できるのだろうか?
いずれ、試してみてみようと思う。
ただ時期的には、全てが終わった後になるだろう。
赤い煙を倒さなければ、浄化しても意味は無いかもしれない。
下手に刺激して、面倒を引き起こす必要はないだろう。
そして悪性審判は、悪者特攻という感じだ。
赤い煙には、かなりの効果が期待できそうである。
最後にエクストラのセイクリッドモンスターだが、ルルリアの信仰する神とは、もしかして俺の事だろうか?
まあ、それについては百歩譲って、いいとしよう。
しかし誰かがルルリアを信仰した場合、その信仰心が俺に譲渡されるというのはなんだ?
信仰心なんて譲渡されても、正直困るのだが……。
とりあえず、これについては気にしないことにしよう。
今考えても、仕方がないことだ。
それとセイクリッドモンスターは、まるでゲヘナデモクレスのオーバーモンスターの効果に似ている。
名称:オーバーモンスター
効果
・元になったカードのランクと枚数に応じて、生命力や魔力、身体能力などが上昇する。
・あらゆる進化方法が不可能になる。
・知力を人と同等まで上昇させ、確固たる個を確立する。
・即死効果や他者からの支配に対して、完全耐性を持つ。
・カード召喚術の支配に、縛られなくなる。
・所持者が死亡しても、存在を維持する。
・このカードは破棄できない。
思い出してみたが、おそらく近い部分があるだろう。
だとすればルルリアの強さは、ゲヘナデモクレスに近いのだろうか?
もしかしたら同等か、それ以上の可能性もある。
これは、凄いカードを手に入れてしまったかもしれない。
それにある意味だが、このルルリアは俺とユグドラシル、そして赤い煙の合作と言えるだろう。
まず赤い煙がレッドアイの力をルルリアに吸収させて進化をさせ、それを俺がカード化して固定する。
次にそこへユグドラシルの果実を与えたことで、今の姿になった。
一見俺の貢献度が低いように思えるが、何となく進化したのは、カード召喚術の影響が大きい気がする。
たぶんカード化前のルルリアに直接ユグドラシルの果実を食べさせても、効果が無い可能性があったかもしれない。
ユグドラシルの果実の効果だけではなく、カード召喚術が進化の後押しをしたのだと思われる。
でなければ流石に、ユグドラシルの果実だけでここまで強化されるのは、難しいだろう。
何よりセイクリッドモンスターの効果が、オーバーモンスターに近いのがそれを現している気がする。
カード召喚術にはやはり、進化に関して隠れた力があるのだろう。
もしかして俺の知らない隠れた効果も、まだ眠っているのだろうか?
そんなことを思いつつ、これでルルリアの種族特性の効果などを、十分に知ることができた。
赤い煙やゲヘナデモクレスと戦う時、確実に役に立ってくれるのは間違いない。
「ルルリア、これから頼むぞ」
「はい。我が神よ! 我が神であるジン様のために、誠心誠意尽くさせていただきます!」
そうして俺は、リヴァイス・オブ・セイレーンのルルリアという、新たな切り札を手にしたのだった。




