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倒したモンスターをカード化!~二重取りスキルで報酬倍増! デミゴッドが行く異世界旅~  作者: 乃神レンガ
第七章

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261 船のダンジョン ⑱

 

「グォオオウ!」

「ギャァアアア!!」


 狂化したグインが、ルルリアの腹部へと噛みつく。


 不味いと思い繋がりから声をかけても、言うことを聞く様子はない。


 そしてグインは肉を噛み千切り、咀嚼(そしゃく)するとそのまま飲み込んだ。

 

 本能のままに暴れる狂化は、身体能力を大幅に強化する。


 しかしその代わり、思考が鈍り暴走状態になってしまう。


 故にグインはルルリアの肉が危ないとしても、それを食べてしまった。


 ルルリアの肉は、劇物である。


 それを直接食してしまえば、バフによる耐性強化など意味をなさなかった。


「グォ……グオオオ!?」


 結果グインは複数の状態異常によって、訳も分からず苦しみ始める。


 ルルリアの肉、呪毒(じゅどく)命肉(めいにく)の効果が発動していた。



 名称:呪毒(じゅどく)命肉(めいにく)

 効果

 ・その身は呪いと毒でできている。

 ・摂取した者に、以下の効果を与える。

【呪い(大)】【猛毒(大)】【精神異常(大)】

【衰弱(大)】【幻覚作用(大)】

【老化速度低下(中)】【寿命上昇(中)】



 これは不味い。


 そう思い、グインをカードへと戻そうとする。


 だがここで、イレギュラーモンスターであることが(わざわ)いした。


『あらゆる隷属状況下でも、自由行動を可能とする』という効果により、カードに戻ることを拒否したのである。


「グォオオ!」


 そしてその直後、グインがウォーターブレスを無差別に撃ち始めた。


「ギャオオン!?」

「カタタ!?」


 結果運悪く、空中を飛んでいたボーンドラゴンに命中してしまう。


 その衝撃で、ルトナイが離されて落下していく。


 するとそれに合わせるように、ルルリアがウォータランスを打ち込んだ。


「ギャアア!」

「カタ……」


 当然それに、ルトナイは耐えられない。


 カードに戻そうとしたが、それよりも命中する方が早かった。


 くっ、やられてしまったか。


 それにより、ルトナイのカードが灰色になって戻ってくる。


 これでルトナイは、脱落となった。


「――――♪!」


 更にルルリアは、隙あらば崩壊の歌声を発動させる。


 それにより状態異常が蓄積していき、微小から小に悪化していく。


 グインは暴走状態で、まともに戦えるのはボーンドラゴンとホブン、それとゲシュタルトズンプフだけか。


 見ればサンも暴走状態が悪化したのか、攻撃魔法の狙いが定まってはいない。


 ランクが低いほど、悪化した時の効果が大きい気がする。


 俺はそう思い、サンもカードへと戻した。


 前半はこちらが優勢だったが、後半はひっくり返されてしまったな。


 状態異常の恐ろしさを、改めて実感した。


 これはもう、魔力玉を撃つしか無いかもしれない。


 しかしそれには、暴走しているグインが邪魔である。


 ここにきてグインを巻き込むことは、既に気にしてはいない。


 グインも冷静なら、構わず撃てと思うだろう。


 だが問題はグインがいることで、魔力玉の威力が落ちるかもしれないことだ。


 もしもグインが盾になる形で当たれば、ルルリアを倒しきれないかもしれない。


 なのでここは、ゲシュタルトズンプフにグインの相手もさせよう。


 そう思いゲシュタルトズンプフに命じて、泥触手でグインの動きを封じさせる。


 だがグインの力は強く、泥触手が簡単に引きちぎられた。


 更にはライトウェーブも発動して、簡単に抜け出す始末。


 ここにきて、グインを抑えられる配下がいなかった。


 くっ、俺の配下は、アンデッドと闇属性に偏り過ぎている。


 光属性を持つグインを抑え込むのは、難しい。


 なら仕方がない、あの手で行くか。


 すると俺は以前したある方法を思い出し、それを実行することにした。


 ちなみにその間は、ホブンとボーンドラゴンにルルリアの相手をさせる。


 そしてゲシュタルトズンプフにグインを一瞬だけ泥触手で捕らえさせた瞬間、俺はあるモンスターを召喚した。


「出てこい!」

「「「ゴゴゴ!」」」


 俺がそう言って召喚したのは、ロックゴーレムたち。


 それを上空に召喚して、落下させる。


 これは以前、グリフォンと戦った時に実行した方法だった。


 重量のあるモンスターを上空に召喚して、そのまま落下させるシンプルな方法だ。


 しかしこれが、意外と馬鹿にならない。


 以前はオークなどだったが、今回はロックゴーレムである。


 その差は歴然だ。当然、威力も段違いである。


 結果ロックゴーレムたちはグインの背中に落ちて、その重量を遺憾(いかん)なく発揮した。


「グォオ!?」


 あまりの重さに、グインは海の底へと沈んでいく。


 更にロックゴーレムたちには、グインにしがみつくように命じた。


 複数体のロックゴーレムがまとわりつけば、狂化したグインでも浮くのは難しい。


 そしてグインの姿が、海上から消える。


 よし、成功だ。であれば魔力玉を撃つなら、今しかない!


 このチャンスを逃さないため、俺は即座に角から魔力を移動させると、右手の平に魔力玉を作っていく。


 その間にゲシュタルトズンプフが、全力の泥触手でルルリアを束縛した。


 声を出せないように、口の中にも泥触手が侵入していく。


 ちなみにホブンとボーンドラゴンは、邪魔にならないようにその場から離脱した。


 そして準備が完了した俺は、魔力玉をルルリアに目掛けて発射する。


「喰らえ!」


 黒色の魔力玉は、目にも留まらぬスピードで着弾した。


 ウォーターシールドで防がれることも考えたが、暴走しているルルリアにそんな判断力は無かったようだ。


 そして魔力玉が命中したことで、大規模な爆発と共に、水飛沫(しぶき)が柱のように天高く巻き起こる。


 俺はそのとき直感で、自身の周囲を氷塊で包み込んだ。


 するとルルリアの肉片と血の飛沫が、離れたここまで飛んでくる。


 摂取しなくても、触れるだけで状態異常が起きるかもしれない。


 念のためボーンドラゴンとホブン、そしてゲシュタルトズンプフをカードへと戻しておく。


 何かあれば、再召喚をすればいいだろう。


 特にゲシュタルトズンプフは、身体に直接血などが混ざることになるので、かなり不味いかもしれない。


 多少は大丈夫そうだったが、この量は流石に許容範囲を超えているだろう。


 そうして配下を戻している間に爆発の衝撃も止み、結果が見えてくる。


「ふむ。倒したか」


 見ればルルリアの姿は、そこには無かった。


 浮かんでいる肉片が、灰へと変わっていく。


 生命力と魔力が一定量下回ったことで、自己崩壊のデメリットが適応されたのだろう。


 それと薄々感じてはいたが、魔力玉は闇属性ではなく、冥属性なのかもしれない。


 闇属性であれば、流石に耐性の高いルルリアをここまでバラバラにはできなかったと思われる。


 本来はここから一気に畳みかける予定だったが、良い意味で予想外の展開だ。


 俺はそう思いながらルルリアを倒したと判断すると、カード化を行うことにした。


 さて、果たしてカード化は実行されるのだろうか?


 倒した判定後に灰になっていれば大丈夫な気がするが、デメリットで自滅判定だとそれも難しいかもしれない。


 俺は少々そんな不安を感じながらも、カード化を実行した。


 するとそんな不安は杞憂(きゆう)だったようで、光が手の平に集まってくる。


 そして無事にルルリア、リヴァイド・オブ・コラプスがカード化された。


 またその瞬間、レフがカードから飛び出てくる。


 縮小で子猫サイズになっており、器用に俺の肩へと乗った。


 おそらく、タイミングを見計らっていたのだろう。


「リヴァイド・オブ・コラプス。ゲットだ!」

「にゃんにゃにゃん!」


 これで、無事にボス戦は終わったな。


 一瞬そう思った俺だったが、しかし一つだけ問題が残っている。


「グォオオオウ!」


 狂化したグインが、ロックゴーレムの束縛から逃れ、水面へと飛び出てきた。


 そうだったな。まだ全部は終わってはいない。グインの暴走を、止める必要がありそうだ。


 海に沈んだロックゴーレムたちをカードに戻しつつ、俺はグインを見る。


 これは一度倒さなければ、止まることはないだろう。


 カード化したモンスターなので、死亡しても復活ができる。なので、遠慮することはないだろう。


「にゃにゃにゃん!」

「そうか、あいつと戦いたいのか」

「にゃん!」


 どうやらレフが、直接グインと戦いたいみたいだ。


 なら俺は、レフのサポートに回ることにしよう。


 水面に、氷塊で次々に足場を作っていく。


 そこへレフが元のサイズに戻ると、シャドーアーマーを身に纏った。


 俺はカオスアーマーで飛行しつつ、状況を見守る。


 何かあれば、その都度(つど)手を貸そう。


 正直、レフの方が分が悪い。


 ランクもそうだが、場所がグインの有利に働いている。


 だが同時に、勝つ見込みもあった。


 現在のグインは多数の状態異常に犯されており、ダメージも負っている。


 狂化でパワーアップしていても、そのマイナスは大きい。


 だとすれば案外、良い勝負になるだろう。


 そしてレフの存在に気がついたのか、グインが向かってくる。


 さて、ここからまさかの、第四ラウンドの始まりだ。



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