250 船のダンジョン ⑦
進化も気になるが、まずは宝箱の中身を確認しよう。
宝箱に罠などは無く、また鍵もかかってはいないようだ。
そして中身を確認すると、一つの武器が入っていた。
名称:命刈りの鎌
説明
・一定の確率で、相手を即死させる。
・この鎌は時間経過と共に修復されていく。
・この鎌は刈り取った命の数と質によって、成長する。
見た目は全体的に、青白い草刈り鎌である。
しかし何だかボロく、刃こぼれも酷い。
これでは、ゴブリンを倒すことすら難しそうだ。
見た目だけで言えば、Bランクモンスターを倒した報酬としては微妙な物だろう。
けれどもそれは、『成長する』という部分が無ければの話である。
双骨牙とは少し違うが、この鎌で命を刈り取っていけば強くなっていくのだろう。
おそらく、その過程で見た目も改善されていく気がする。
それにこの鎌には、一定の確率で即死させる効果もあった。
ある意味この効果があるだけで、凶悪だろう。
即死耐性が無ければ、僅かな切り傷でも命取りになる。
或いはそれを打ち破るだけの、精神性が必要になることだろう。
以上を鑑みると、とても将来性の高い武器と言える。
だが問題は、鎌という特殊過ぎる武器ということだ。
鎌適性は今のところ、シックルレイスしか持っていない。
そのシックルレイスは両手が鎌になっているので、装備ができそうにはなかった。
だとすれば必然的に、全ての武器に適性を持つ俺が使うしかないだろう。
ただ双骨牙の方が使いやすいので、この命刈りの鎌はサブウエポンになる。
加えて俺には追尾の瞬弓もあるので、もしかしたら出番は少ないかもしれない。
まあとりあえずは、ストレージに入れておこう。
使う時になったら、その都度出すことにする。
宝箱の中身については、こんなところだ。
さて、次はお待ちかねの、進化について考え始めよう。
まず今回進化の兆しが出た配下は、アロマとホブンである。
アロマはあれだけの活躍をすれば、進化するのは当然だ。
そしてホブンは、これまでの経験が積み重なった結果だろう。
シックルレイスに止めを刺したのが、最後の切っ掛けだったのかもしれない。
それでまず最初に進化させる方だが、これはランクアップモンスターであるホブンからにしよう。
種族:エリートゴブリン(ホブン)
種族特性
【無属性適性】【悪食】【病気耐性(小)】
【他種族交配】【腕力上昇(小)】
【技量上昇(小)】
エクストラ
【ダンジョンボス】
【ランクアップモンスター】
スキル★
【打撃武器適性】【強打】【連撃】
【小波】【シールド】【パワーアップ】
【ヘヴィインパクト】【精神耐性(小)】
【物理耐性(小)】【魔法耐性(小)】
装備
・スマッシュクラブ
・蛮族系防具
・腕力の指輪(下級)(右)
・耐久の指輪(下級)(左)
・パワーバングル(右)
・スピードバングル(左)
・気配感知のネックレス
・再生のイヤリング
名称:ランクアップモンスター
効果
・ランクアップ回数に応じて、生命力や魔力、身体能力などが上昇する。
・ランクアップ時にスキルのランダム取得か、スキルのランクアップが発生する。
・フュージョンが不可能になる。
・知力を上昇させ、個を確立する。
ホブンはCランクなので、代償として捧げるのはホブゴブリンにしよう。
ゴブリンは10枚しかないし、おそらく足りないと思われる。
そう思いながらホブンのカードに、ホブゴブリンを重ねていく。
ちなみに進化については、それぞれ事前に話し合い済みなので、断りを入れる必要はない。
よし、足りたな。どうやらホブゴブリンのカードは20枚でいいみたいだ。
ホブゴブリンのカードは、元々50枚あったので余裕で足りた。
そして俺は、ホブンの進化を実行する。
ホブンのカードが光り輝き、新たな姿を現す。
種族:ゴブリンチャンピオン(ホブン)
種族特性
【無属性適性】【打撃武器適性】【強打】
【連撃】【鉄の拳】【腕力上昇(中)】
【技量上昇(小)】【病気耐性(中)】
【自然治癒力上昇(小)】【悪食】
【踏ん張り】【他種族交配】
エクストラ
【ダンジョンボス】
【ランクアップモンスター】
スキル
【小波】【シールド】【パワーアップ】
【ヘヴィインパクト】【精神耐性(小)】
【物理耐性(小)】【魔法耐性(小)】
【継続戦闘】
装備
・腕力の指輪(下級)(右)
・耐久の指輪(下級)(左)
・パワーバングル(右)
・スピードバングル(左)
・気配感知のネックレス
・再生のイヤリング
ふむ。良い感じに強くなっている。
なによりスキルの★が消えたことで、ホブンにはまたスキルを習得させることができそうだ。
これは、スキルが種族特性にいくつか移動したからだろうか?
それともランクが上がったことで、スキルの習得容量が増したのだろうか?
何とも言えないが、今はこの結果に満足しておこう。
そしてホブンの見た目だが、一言で言うと歴戦の拳闘士のように見える。
装備のスマッシュクラブと蛮族系防具が無くなってしまったが、代わりに種族由来の装備を得ていた。
まず道着のような茶色いズボンをはいている。足は素足のようだ。
また拳にも茶色い革紐のような物が巻かれており、先端には金色の鋲があった。
古代ローマの拳闘士がつけている、セスタスというものに似ている気がする。
更に一番目立つのは、腰についている金色の優勝ベルトのような物だろう。
ゴブリンチャンピオンという種族名を、ある意味強く示している。
邪魔にならない程度の大きさだが、大変目立っていた。
ただ防具としては、そこそこの強度がありそうである。
他は上半身が裸であることと、進化前に渡した装飾品をいくつかつけているくらいだ。
肉体は引き締まっており、細マッチョだがその筋肉の密度が凄い気がする。
それと顔面についてだが、ゴブリン界ではイケメンだろう。
少なくとも、ジョンよりは整っている。
見た目に関しては、こんなところだ。
続いて、気になるスキル効果を確認してみる。
名称:踏ん張り
効果
・一日に一度だけ、死亡するダメージを受けた際にギリギリのところで生き延びる。
名称:継続戦闘
効果
・戦闘が長引くほど、以下の効果を発揮する。
【感覚の先鋭化】【体力消耗の軽減】【痛覚の減少】
【集中力低下の軽減】【恐怖心の減少】【気分の高揚化】
ふむ。踏ん張りはかなり使えるな。死亡ダメージを受けても、一度だけ踏みとどまることができるみたいだ。
確かこれは、転移者のブラッドも持っていた気がする。
あの光の柱の前では無意味となったスキルだが、本来とても優秀なスキルなのだろう。
機会があれば、俺も習得してみるべきかもしれない。
次に継続戦闘だが、これは今回のランクアップで取得したスキルとなる。
長期戦では、とても使えそうなスキルだ。
ただ俺が使うとなれば、少々微妙かもしれない。
おそらく戦闘が長引くほど、気分の高揚化でハイになっていくと思われる。
だとすれば、冷静な判断ができなくなる可能性があった。
状況判断や配下に命令を出す者にとっては、マイナスになるかもしれない。
しかしホブンのように命令を受けて戦い続ける戦士であれば、十分に活かせるだろう。
また武器がスマッシュクラブから拳に変わったが、これから活躍してくれることは間違いない。
ホブンの進化は、満足のいくものだった。
さて、召喚はアロマの進化が済んでからにするとして、そのアロマをどうするか考えよう。
ウサギ系やホーンラビットの枚数が0枚である以上、選択できるのはフュージョンのみとなる。
俺はアロマにどのモンスターが合っているのか、頭を悩ませるのであった。