表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

250/470

SS タヌゥカの冒険 ③


 名称:ジン

 種族:人族

 年齢:15

 性別:男

 スキル 

【カード召喚術】【直感】【闇属性適性】

【剣適性】【鑑定】【アイテムポケット】

【中級生活魔法】



 男だと!?


 まず初めに、俺はそのことに驚愕する。


 顔が好みだっただけに、その衝撃はかなりのものだった。


 だが俺がそんな事を思っていると、向こうからも鑑定される。


「うわっ!?」

「タヌゥカ!?」

「どうしたのですか!?」


 二人に心配をされるが、それどころではない。


 どういう訳か、偽装を突破されて本来のステータスを見られてしまった。


 あまりの出来事に、俺はしばらく放心状態になってしまう。


 すると気が付けば、ジンという男はいなくなっていた。


「……そうか、あいつも転移者か」

「タヌゥカ?」

「大丈夫ですか?」


 女どもが何か言ってくるが、どうでもいい。


 それよりも、俺以外に転移者が現れたことの方が問題だ。


 主人公である俺の前に現れたということは、あいつは敵に違いない。


 どう考えても顔にポイントを使っているだろうし、たぶんザコだろう。


 鑑定を突破したのは、油断していたからだ。


 それと、カード召喚術というのが気になる。


 もしかしたらそれが、カマ野郎の神授スキルなのかもしれない。


 はっ、どうせザコばかりを召喚する程度だろう。


 俺の撃滅斬の方が強いに決まっている。


 その内あのカマ野郎とは、戦うことになるだろう。


 噛ませ犬として、精々俺の引き立て役になれよな。


 ◆


 それからカマ野郎とは、ダンジョンで何度か遭遇する。


 どうやらカマ野郎も、イレギュラーモンスターを狙っているようだ。


 だがあのイレギュラーモンスターを倒すのは、主人公であるこの俺である。


 そう思っていたのだが、肝心のイレギュラーモンスターが既にいない。


 どこを探しても、見つからなかった。


 それによって第一発見者である俺が、一部のザコ共から嘘つき呼ばわりされる始末だ。


 腹が立って仕方がない。


 いったいあのイレギュラーモンスターは、どこに行ったんだ?


 もしかしてあの負け犬カマ野郎が……? いや、それはないな。


 あのイベントは、主人公である俺のために用意されていたに違いない。


 ということは、力をつけて最少人数で倒せということだろう。


 クソが。今時ダルい条件なんて時代遅れなんだよ!!


 そんなことがあったが、次は戦争が待っている。


 俺はもちろん、参加する予定だ。


 この日のために、女だけの有名パーティに加入している。


 もちろん、女どもは全員惚れさせた。


 ったく。異性好感度上昇(大)は最強だぜ。


 それに一度寝れば、絶倫とテクニシャンで骨抜きにできる。


 この力があれば、顔なんて関係ない。


 全ての美女と美少女は、俺の物だ!!


 戦争で手柄を上げれば、貴族の女とも縁ができる。


 今から楽しみだぜ。


 しかし戦場になる場所で、顔面改造カマ野郎に遭遇した。


 それが、全ての間違いに繋がる。


 この顔面改造カマ野郎のせいで、俺のハーレムが崩壊していく。


 なんでだ? なんでなんだよ!!


 仕舞いには、女だけのパーティからも追放される。


 意味が分からない。


 神に選ばれてチートを得た俺が、追放? 女共もなんでそんな目で俺を見るんだ!?


 許さねえ。全部コイツが悪い。コイツさえいなければ、全て上手く行ったんだ。


 だから、ぶっ殺してやる。


「撃滅斬!」


 俺の放った神授スキルで、さっさとくたばりやがれ!


 だが結果として、奴は生きていた。


 しかもどういう訳か、恐ろしい姿になっている。


「ひっ!?」


 気が付けば俺は、国境門とかいうバカでかい門の前に連れてこられていた。


 何なんだよコイツは! まるで魔王じゃないか!


 そう思った瞬間、俺はこの言葉を発していた。


「そ、そうか。お前は魔王なのか! そして俺は英雄、いや勇者になる! これは試練だ。主人公の俺が乗り越える試練なんだ!」


 神に選ばれた主人公の俺が、ここで負けるはずがない。


 こいつを倒して、俺は勇者になる。


 だから俺は、目の前の化け物に立ち向かう。


 けれども、現実は違った。


「あ、あぁあ。死にたくない。俺は主人公だ。ここから覚醒するんだ……」


 気が付けば俺は両手両足を失い、死にかけていた。


 加えてやつの周りには、ゴブリンが現れる。


 そして、最悪な命令が下された。


「そいつを生きたまま喰らえ」


 するとゴブリンたちが、俺の方へと向ってくる。


「や、やめっ、こんな終わり方嫌だ! だ、誰かたすけッ――」

「「「ごぶが!」」」


 俺の身体が、ゴブリンに食われていく。


 痛い痛い痛い痛い痛い!!!!


 いやだ、死にたくない!


 俺は美少女ハーレムを築いて、世界を手に入れるんだ!


 神に選ばれた主人公! そうだ! 死んでも次がある!


 次はもっと強いチートを手に入れて、この魔王を倒してみせる!


 ははは! 俺は神に選ばれた主人公、タヌゥカ様だぞ!


 俺は滅びない! 絶対に戻ってきてやる!


 待っていやがれ!!!


 そして俺は、ゴブリンに喰われて死んだ。

 ※本編でタヌゥカが復活することは、おそらくありません。

 最後に戻ってくる的なやつは、死の間際の妄想です。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ