SS タヌゥカの冒険 ②
あれから”チュートリアル”を終えた俺は、得た金品で無事に冒険者になった。
周囲のザコどもに訊けば、簡単に情報は手に入る。
それと汚い浮浪者でも、女なら俺に愛想が良かった。
やはり、異性好感度上昇(大)を選んだ俺の判断は正しい。
だが流石に汚いブス女は、御免だ。
俺の初めては、美少女と決めている。
それとこの街は、シルダートというらしい。
まあ街の名前なんか、どうでもいいか。
それよりも冒険者になったからには、さっさと稼ぐ必要がある。
どうやらこの世界には奴隷がいるみたいだし、当然狙うのは美少女奴隷だ。
そのために、俺には金が必要だ。
今から美少女奴隷と会うのが、楽しみだぜ。
そしてダンジョンに潜り、俺はモンスターどもを蹴散らしていった。
何人かザコ共が絡んできたが、返り討ちにしている。
当然、貰うものは全て頂いた。
モブの癖に横取りがどうとか俺にほざくから、こうなるんだ。
まあ、ザコの癖して結構持っているみたいだし、許してやろう。
来世では上手くやるんだな?
そんな事を何度か繰り返して、俺は金を貯めた。
加えてスキルオーブとかいう、便利なアイテムも手に入れている。
やはり俺は、この世界の主人公だ。
スキルも増えて金も集まったので、俺は次に奴隷商の場所に向かう。
するとそこに、結構可愛い奴隷の女の子がいた。
顔や体は、及第点だな。
鑑定してみると、スキルはそこまで良くはない。
だが俺の資金だと、こいつが限界だ。
仕方がない、コイツで我慢するか。
それに俺は、ここまで十分に我慢したんだ。もういいだろう。
俺はそう思い、奴隷商から少女を購入した。
少女の名前は、ヤレコルというらしい。
実家が貧しくて、親に売られたようだ。
まあそんなことは、どうでもいい。
俺には異性好感度上昇(大)がある。
少し優しくしてやれば、簡単に落ちるだろう。
実際少し良い飯をやって服を新しくしたら、簡単に俺に惚れた。
加えて耳障りの良い事を言ってやれば、俺を崇めるレベルだ。
こいつチョロすぎだろ。
やはりこれは、俺が主人公だからだな。
ヒロインがチョロいというのは、当たり前のことだ。
そしてその晩、俺は童貞を捨てた。
これが女か! 最高過ぎる!
それから俺は、色んな女に手を出し始めた。
どいつもこいつも、少し恩を売れば楽勝だ。
時には金でごろつきを買収して、役を演じさせた。
特に最高だったのは、ツンデレ美少女を妹と母親ごと手に入れたことだろう。
父親は邪魔なので、ボコボコにした後手切れ金を渡して追い払った。
一応俺の女の父親なので、殺さないでやったんだぜ。
俺って、すげえ優しいだろ?
姉妹丼と親子丼は最高だぜ!
正に順風満帆。俺は神に選ばれた主人公、タヌゥカ様だ!
金、女、飯、装備、スキル。
どれも順調に集まっている。
近いうちに戦争もあるみたいだし、英雄になる日も近いな。
だがそんな俺にも、試練が訪れた。
「グォオオウ!」
「ひぃぃい!!」
ダンジョンに現れたイレギュラーモンスターに、敗走を余儀なくされた。
モンスターのくせに、何であんな賢いんだよ!
巨大な白いワニ、ホワイトキングダイルは一人で倒せるような敵じゃない。
連れている女二人の戦闘能力は、カスみたいなものだ。
くそが! 今どきストレス展開なんて流行んねえんだよ!
試しに放った撃滅斬は余り効かねえし、それで警戒して溜の邪魔をしてくるとかふざけるな!
しかたがねえ。最近狙っている女がいるパーティを集めて、協力して倒すしかねえな。
俺はイライラしながらも、仲間を集めることにした。
そして上手く約束を取り付け、次の日ダンジョンの前で待ち合わせをする。
俺はあのイレギュラーモンスターを倒せるのが待ち遠しくて、かなり早く来てしまった。
すると俺の女に目をつけたのか、馬鹿なやつらが近寄ってくる。
「そんな芋臭いやつじゃなくて、俺たちと組もうぜ!」
「俺たちの方が強くて、夜の方も最強だ!」
「うるさい! 私たちはタヌゥカの仲間なの! あんたたちについていく気はないわ!」
「そうです! それにタヌゥカさんの方があなた達よりも凄いんですよ!」
やれやれ、仕方がないな。
目立つのは御免だが、ここは一言言ってやろう。
「二人とも、その辺でいいよ。目立ってしかたがないからさ。君たちもいい加減にしてくれ。これ以上しつこいようなら、痛い目を見ることになるぞ?」
俺が優しくそう言ってやると、男たちは顔を真っ赤にし始める。
「てめぇ! 調子に乗るんじゃねえぞ!」
「ガキが! 泣かしてやる!」
結局こうなるのか、ザコが調子に乗るなよ?
そして当然の結果として、ザコを蹴散らした。
ここが人目のあるところで良かったな? ダンジョンや路地裏なら、命は無いぞ?
俺が心の中でそう言った時、人ごみの中に一人の人物を見つけた。
それは中性的な銀髪碧眼の美少女であり、俺の好みドストライク。
反射的に俺は、鑑定を発動させるのだった。




