220 沼地のダンジョン ⑱
戦闘を終えた俺とレフは、出現した神殿へと足を踏み入れた。
神殿内部は天井が高く、広々としている。
そんな神殿の中央に、ダンジョンコアがあった。
名称:ダンジョンコア
説明
・ダンジョンを動かす心臓のようなものであり、破壊されるとダンジョンが崩壊する。
・ダンジョン内や周囲から得られた魔力を元にして、一定の期間経過でモンスターや罠などを全自動で補充する。
・魔力量が一定値を越えた場合、×××へと大量のモンスターを送ることで魔力を消費する。
・現在半身であるダンジョンボスの消失により、自己崩壊へと向かっている。
鑑定してみると、案の定崩壊へと向かっているようだ。
とりあえず、ダンジョンコアはこのままにしておこう。
他に目を向ければ、神殿内にはダンジョンの外に通じる魔法陣があった。
これは毎度おなじみの、帰還用の魔法陣である。
俺は召喚転移で脱出予定なので、これも気にしなくてもいいだろう。
さて、最後に目を向けるのは、当然宝箱である。
ダンジョンコアの前に鎮座しており、存在感を放っていた。
俺は斥候ゾンビを召喚すると、いつも通り開けさせる。
やはり、罠類はない。
斥候ゾンビをカードに戻してから、俺は宝箱の中を覗き込んだ。
そして結果として、以下の物を手にする。
名称:導きの宝珠(沼)
説明
・所持していない導きの宝珠の場所を示す。
・全種類の宝珠が揃った時、一つになり新たな場所を示す。
・この宝珠は時間経過と共に修復されていく。
◆
名称:金貨袋(大)
説明
多くの金貨が入っている袋。
◆
名称:セレクトオーブ(小)×2個
説明
念じることで、望んだ下級スキルを取得することができる。
◆
名称:隠密のスキルオーブ
説明
使用することで、隠密のスキルが習得できる。
◆
名称:偽装擬態のネックレス
説明
・装備中に限り、スキル【偽装擬態】を発動できる。
・このネックレスは時間経過と共に修復されていく。
・このネックレスは装備する者のサイズに調整される。
◆
名称:泥毒弾の砲
説明
・装備中に限り、スキル【泥弾】【毒弾】を発動できる。
・この砲は時間経過と共に修復されていく。
・この砲は装備する者のサイズに調整される。
◆
名称:泥触手の鞭
説明
・装備中に限り、スキル【ウイップ】【ウィップボンデージ】【ウィップストレート】を発動できる。
・魔力を消費することで、周囲に【泥触手】を生成して操ることができる。
・この鞭は泥を吸収し、蓄えることができる。また蓄えた泥を使用して、鞭の長さを変更できる。
・この鞭は泥を与えることで即座に修復される。
・この鞭は時間経過と共に修復されていく。
・この鞭は装備する者のサイズに調整される。
◆
名称:泥戦士召喚の長杖
説明
・魔力を消費することで、マッドウォーリアーを召喚して使役する。
・召喚したマッドウォーリアーは、継続して魔力を与えなければ消え去る。
・最大三十体まで召喚可能。
・泥を使用することで魔力消費及び継続魔力の軽減、召喚数を増加させる。なおその効果は、泥の質によって上下する。
・この長杖は時間経過と共に修復されていく。
・この長杖は装備する者のサイズに調整される。
◆
名称:無限の泥壺
説明
・魔力を消費することで、無限に良質な泥が生成される。
・この壺は時間経過と共に修復されていく。
◆
名称:泥王の宝玉
説明
・自身の身体に取り込ませることで、以下の効果を得る。
【泥化】【泥弾】【再生】【肥大化】【エナジードレイン】
【体力上昇(中)】【地水属性耐性(中)】
【物理耐性(中)】【魔法弱体(小)】
・この宝玉を破壊あるいは取り外した場合、その者は土塊と化す。
・この宝玉は時間経過と共に修復されていく。
・この宝玉は装備する者のサイズに調整される。
何となく分っていたが、泥関係のものが多い。
装備系は後々考えて、配下にでも配ることにしよう。
それか使い時が来るまで、お蔵入りになるかもしれない。
特にこの中だと、泥王の宝玉はよく考えた方がいいだろう。
優秀な効果を得る代わりに、弱点も出来てしまうようだ。
宝玉自体が弱点になり、失えば死亡は免れないと思われる。
しかし復活する俺の配下であれば、それも回避可能だ。
それよりも、魔力弱体(小)の方が気になる。
おそらくこれは魔法全般に対して弱くなってしまう、デメリットスキルかもしれない。
なのでその点を踏まえつつ、どの配下に与えるか考えようと思う。
あと他に気になるのは、やはり無限の泥壺だ。
見た目は茶色の壺であり、成人男性が両手で抱える程の大きさである。
魔力を込めると、壺の中に泥が生成されるみたいだ。
良質な泥らしいので、何となく農業とかで使えそうな気がする。
まあ、俺が農業する可能性は低いと思われるが。
それと泥触手の鞭と泥戦士召喚の長杖に、この泥が活かせるみたいだ。
たぶん、そちらの方面で役に立つことだろう。
次に泥毒弾の砲だが、これはジョンに与えることにする。
なんとなく、魔銃召喚で取り込める気がした。
まあ銃でなく砲なので実際には分からないが、どこまでが許容範囲なのか試してみるべきだろう。
ちなみに見た目は茶色と紫色のバズーカーであり、肩に乗せて撃つタイプだったりする。
気になった物は、そんなところだろう。
そして導きの宝珠だが、黄色をしている。
これで、残すは青だけとなった。
塔→赤
城→緑
沼→黄
それと何となく、この色は属性を現している気がする。
であれば、青は水属性だろうか。
まあ、緑は幼い頃の女王がウィンドを使っていたからに過ぎないし、黄は雷属性の色にも思えるから、実際にはまだ分からない。
それに、ゲシュタルトズンプフは水属性も所持していた。
必ずしも、そこのダンジョンボスが宝珠の色に特化した属性持ちとは、限らないということかもしれない。
だがしかし、可能性が高いのは水属性だろう。
実際既にその場所は見つけているし、様子からしてほぼ間違いない。
あと思うことは、ダンジョンボスがアンデッド系とは限らないことだろうか。
ゲシュタルトズンプフは泥沼そのものだったし、おそらくアンデッド系ではないだろう。
巨大過ぎるスライム系と言われた方が、まだ納得できる。
たぶんダンジョンボスがゲシュタルトズンプフだったから、エリアボスもそれに引っ張られたのかもしれない。
ルーラーモスキートとキャリアンイーターは、共にアンデッド系ではなかった。
だが何らかの形で、アンデッド系とかかわりがあったのも事実である。
ルーラーモスキートは、ゾンビ化液による支配。
キャリアンイーターは、腐肉吸収による自己強化。
であればゲシュタルトズンプフも、何かアンデッド系と関係する何かがあるのだろうか?
もしかして、そもそも泥沼のアンデッドだったのだろうか?
思えば、ゲシュタルトズンプフに生命感知は反応していなかった気がする。
また沼地は毒々しい色で、相変わらず臭かった。
何かこじつけな気もするが、そもそもこの大陸は、ほぼアンデッドしかいない。
その大陸の宝珠を守るダンジョンのボスが、アンデッドでない可能性の方が低いだろう。
だとすれば、あながち泥沼のアンデッドというのは間違ってはいないのかもしれない。
まあ個人的には、正直どちらでもいいんだけどな。
考えても仕方がないし、気にしなくてもいいか。
俺はそう判断を下すと、手に入れた物をストレージへと収納していくのだった。




