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206 沼地のダンジョン ④


 久々に戻ってきた拠点は、特に変わりなく存在していた。


 生活魔法の清潔で軽く掃除をして、その後夕食を摂る。


 ボーンクラブにがっかりしたこともあり、今回は残り少ないマッドクラブを食べた。


 やはり、マッドクラブは旨い。


 それだけに、ボーンクラブは残念でならなかった。


 見た目だけはマッドクラブにそっくりなのだが、肝心の身がなければ意味がない。


 そんな事を思いつつも、夜の支度を終えて、眠りにつく。


 枕にはレフ、抱き枕にはアンクとアロマという感じだ。


 ちなみに枕にするにあたって、装備はもちろん外している。


 身につけたままだと、危なくて仕方がない。


 そうして翌日、俺は再び沼地のダンジョンに来ていた。


 今回は浅層ではなく、中層である。


 この中層からは、ごつごつとした岩が無数にあった。


 大きさも様々であり、モンスターが身を隠すならちょうどいい感じである。


 こうした見た目の変化から、ここを中層だと俺は判断をしていた。

 

 それに実際、現れるモンスターのランクも上がっている。


「ゲコォ」


 

 種族:ゾンビフロッグ

 種族特性

 備考

【生命探知】【闇属性適性】【闇属性耐性(小)】

【舌強化(小)】【脚力強化(小)】



 現れたのは、茶色く目の赤いカエル。大きさは大型犬サイズだ。

 

 ビッグフロッグと似ており、ゾンビ化をした上位種だと思われる。


 ランクはおそらく、Dランクといったところだろう。


「にゃぁ!」

「げごぉ!?」


 するとレフが即座にダークネスチェインを発動して、ゾンビフロッグを倒した。


 まあ、当然の結果である。


 とりあえず俺は、ゾンビフロッグをカード化した。


 こいつも使い道はなさそうなので、十枚ほど集めればいいだろう。


 そう思いつつ、俺はこの中層で連れていく配下たちを召喚し始める。


 メンバーは俺・レフ・サン・アンク・リーフェ・斥候のハイゾンビ。


 この浅層の時と同じメンバーに加えて、ホブンも追加で召喚する。


「ゴッブア」



 種族:エリートゴブリン(ホブン)

 種族特性

【無属性適性】【悪食】【病気耐性(小)】

【他種族交配】【腕力上昇(小)】

【技量上昇(小)】


 エクストラ

【ダンジョンボス】

【ランクアップモンスター】


 スキル★

【打撃武器適性】【強打】【連撃】

【小波】【シールド】【パワーアップ】

【ヘヴィインパクト】【精神耐性(小)】

【物理耐性(小)】【魔法耐性(小)】


 装備

 ・スマッシュクラブ

 ・蛮族系防具

 ・腕力の指輪(下級)(右)

 ・耐久の指輪(下級)(左)

 ・パワーバングル(右)

 ・スピードバングル(左)

 ・気配感知のネックレス

 ・再生のイヤリング



 見れば分かる通り、ホブンのスキル容量はいっぱいになってしまった。


 またヘヴィインパクトは、打撃系の中級スキルである。


 スキルの強打が、純粋に強化された感じだ。


 そして精神、物理、魔法の各種耐性を習得させたことにより、ホブンは戦士としてはかなりの仕上がりになった。


 エクストラの効果もあり、並みの相手ではもはや、ホブンの相手ではないだろう。


 けれどもそんなホブンではあるが、魔法耐性を習得させた時点でスキルの横に★が現れてしまった。


 それによりホブンは、スキルの習得がこれ以上できなくなってしまった感じである。


 所持こそしていなかったが、いずれは状態異常耐性を覚えさせたかっただけに、とても残念だ。


 しかし、まだ希望はある。


 進化をすれば、もしかしたらスキルの容量が増えるかもしれない。


 まだ確認した訳ではないが、俺の直感スキルがそう告げていた。


 なのでホブンの今後の目標は、進化することである。


 また各種装飾品を装備したことで、基礎能力の底上げもできた。


 気配感知のネックレスは俺と同じものであり、その有用性は俺自身も実感している。


 そして再生のイヤリングは、時間と共に多少の怪我なら治っていく感じだ。


 流石に大怪我は無理だが、長期戦でその本領を発揮することだろう。


 小さなダメージでも、積み上がればかなりのものになる。


 それを、再生のイヤリングで補うというわけだ。


 (ゆえ)に現状ホブンの強さは、かなり極まった感がある。


 ホブンは初期からの配下なので、それを思うと何だか感慨(かんがい)深いものがあった。


 やはり自分で育て上げた配下を見ると、嬉しさが込み上げてくる。


 最強の軍団を作るという当初の目的も、かなり進歩したことを感じていた。


 配下全体の数もだいぶ増えたし、ネームドという精鋭の配下も育ってきている。


 ここから軍団がどこまで成長していくのか、俺は楽しみで仕方がない。


 さて、ホブンの成長を喜ぶのもそこそこに、中層の探索を開始しよう。


「よし、行くぞ」

「にゃん!」

「ギギ!」

「おけまるー」

「は~い」

「ヴぁ~」

「ゴッブア」


 そうして俺たちは、沼地のダンジョンの中層へと足を踏み出すのだった。


 ◆


 まずは斥候ハイゾンビを先頭にして、俺たちは進んでいく。

 

 すると中層からは普通に罠があるようであり、斥候ハイゾンビがさっそく役に立つ。


 罠は石槍が飛び出すものや底なしの沼、剣山のような毒針など多岐に渡る。


 それを斥候ゾンビは罠感知で見つけると、スキルで罠を解除していった。


 またその間にも、モンスターが現れる。


 先ほど倒したゾンビフロッグはもちろんのこと、新たな初見のモンスターが襲ってきた。


 

 種族:ゾンビヴェルス

 種族特性

 備考

【生命探知】【闇属性適性】【闇属性耐性(小)】

【気配感知】【姿隠し】【牙強化(小)】



 見た目はナマズであり、泥色で顔が横に長い。


 加えてナマズらしく、左右に生える(ひげ)が特徴的だ。


 ダンジョンの感知しづらい泥沼の中で、更に姿隠しを発動するコイツはけっこうやっかいである。


 それに口には細くギザギザの歯が大量に並んでおり、一度噛まれるとなかなか引きはがすのが難しそうだった。


 しかし一度見つければそこまで強くはなく、倒すこと自体は容易である。


 それと何気に、魚類は初めてカード化した。


 なのでこのゾンビヴェルスは、三十枚くらいは集めておこうと思う。


 今後、水辺で戦うことがあるかもしれない。

 

「ゴッブア!」


 またホブンも、次々とモンスターを狩っていく。


 ただスマッシュクラブを振り下ろす関係上、泥が頻繁に飛んできた。


 それについては、もう仕方ないと諦めよう。


 あとで生活魔法の清潔を発動すれば、問題はない。


「にゃにゃ!」


 だがレフは我慢できなかったみたいであり、ホブンにもの申した。


「ごぶ……」


 するとホブンはレフの叱咤(しった)に対して、申し訳なさそうに頭を下げる。


「にゃんにゃ」


 レフはそれに満足したのか、ホブンの謝罪を受け入れた。


 この二体は最初のネームドという事もあり、気軽な同期という感じである。


 今のやり取りも、そこまで緊迫した感じはない。


 家族間の軽いやり取りに、おそらく近いと思われる。


 ホブンが真面目な兄で、レフがやんちゃな妹といった感じだろうか。


 実際、ホブンの方がカード化した時期は早い。


 なのでレフはホブンに対して、他の仲間と比べて対応が少し違うのだろう。


 俺はそんなことを思いつつ、モンスターをカード化していった。


 そうして、沼地のダンジョンの中層を順調に進んでいく


 けれどもそんな時、おかしな光景を()の当たりにする。


「げこぉ!?」


 それはゾンビフロッグが、なんとダンジョンの罠によってやられていたことだった。


 ダンジョンのモンスターは、通常ダンジョンの罠に引っかかることはない。


 その前提を(くつがえ)す光景だった。


 しかしそれは、次の出来事で理由が発覚する。


 なんだ、あれは……?


 倒されたゾンビフロッグの元に、近づく存在がいた。


 それはまるで茶色い無数の蔓(つる)を、人型にしたようなモンスターである。


 蔓のモンスターはゾンビフロッグにゆっくりと近づくと、驚くべきことをした。


「なっ!?」


 なんとそのモンスターは、収納スキルを発動してゾンビフロッグを収納したのである。


 もしかして、ゾンビフロッグを倒したのはコイツだったのか?


 そう思いつつも、俺は鑑定を発動した。



 種族:ロットキャリア

 種族特性

 備考

【生命探知】【闇属性適性】【闇属性耐性(小)】

【鞭適性】【ウィップ】【罠感知】【罠発動】

【腐肉感知】【アイテムポケット】

【身体能力上昇(小)】



 種族名はロットキャリアというのか。種族特性が多彩だな。


 それに罠発動というスキル……。なるほど。このスキルでダンジョンの罠を発動していたのか。


 あとはモンスターでアイテムポケットを持つ種族は、初めて見た。


 おそらくランクは、Cといったところだろう。


 同じダンジョンのゾンビフロッグを倒して収集している理由は、わからないな。


 であれば、やることは決まっている。


 カード化して、直接その理由を訊いてみればいい。


 俺はそう判断を下すと、ロットキャリアを倒すために行動を始めるのだった。

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