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205 沼地のダンジョン ③

 

 種族:ルーラーモスキート

 種族特性

【闇属性適性】【闇属性耐性(小)】

【吸血】【血液探知】【疫病攻撃】

【疫病耐性(小)】【ゾンビ化液生成】

【ゾンビ支配】


 エクストラ

【エリアボス】


 スキル

【巨大化】【飛行】

【集団指揮】【集団招集】

【シャドーニードル】




 召喚したルーラーモスキートは、サッカーボールほどの大きさである。


 直径が二メートルほどだったのは、スキルの巨大化の効果だったようだ。


 巨大化は、最大十倍ほどの大きさまで可能なようで、大きくなるほど耐久面が上昇するらしい。


 的が大きくなり重鈍になるデメリットはあるものの、けっこう優秀なスキルである。


 配下の中では、トーンとの相性が良さそうなスキルだ。


 またその巨大化のデメリットを、飛行のスキルで軽減している。


 飛行のスキルはあるだけで、飛行速度の上昇はもちろんのこと、重量の影響をほとんど無くせるみたいだ。


 加えてボーンドラゴンのように、本来飛ぶことの出来ないモンスターでも飛行を可能にする。


 なのでこの飛行というスキルも、実はかなり優秀なのだ。


 あとは、遠距離攻撃のシャドーニードルを習得している。


 更に集団指揮と集団招集は、配下を運用する上でかなり役に立つスキルだろう。


 あの数を率いていたのであれば、必須スキルだといえる。


 こうして考えると、ルーラーモスキートのスキル構成は中々に良い組み合わせだ。


 これは、良いモンスターを手に入れたな。


 それとエクストラのエリアボスについては、このような効果になっている。



 名称:エリアボス

 効果

 通常個体よりも生命力や魔力、身体能力が上昇する。

 即死効果が無効になる。



 名称こそ違うものの、効果は階層守護者と同じだった。


 いわゆる、中ボスということだろう。


 これがあるだけでかなり強化されるので、カード化できたのは素直に嬉しい。


 さて、最後に一番重要な【ゾンビ化液生成】と、【ゾンビ支配】について考えよう。


 まずゾンビ化液生成は、生きた者にしか効果は無いようだ。


 死体に注入してゾンビ化させ、そこから動かすことは出来ないみたいである。


 生きた者に注入して、その者が死亡した時が発動のキーになっているらしい。


 そしてゾンビ化した者を、ゾンビ支配の効果で操るのがルーラーモスキートのコンボのようだ。


 加えて支配されたゾンビは召喚やテイムとは、また違った使役形態とのこと。


 契約で結んだというよりも、脳を直接ハッキングした感じに近いのだろうか?


 なので『Aが起きたらBをする』といった命令を、事前にしておく必要があるらしい。


 意外と、面倒な入力が必要なようだ。


 だがその代わり支配したゾンビには、何か魔力などを定期的に支払う必要が無い。


 一度発動してしまえば、以降は命令の調整だけで運用できるみたいである。


 ルーラーモスキートに訊いた限りでは、そんな返答があった。


 うーむ。それならば、俺のカード召喚術で支配下に置いた方が便利だな。


 ある程度自分で考えて行動できるし、俺との繋がりもできる。


 定期的な魔力の消費も、俺の魔力総量からすれば微々たるものだ。


 加えて上手く育てれば、進化する可能性もある。


 ルーラーモスキートのゾンビ支配では、流石に進化することはないだろう。


 だとすれば、ゾンビ支配はそこまで役に立ちそうではないな。


 また敵対している相手にも、効果は薄いみたいだ。


 ゾンビ化した瞬間だからこそ、支配ができるらしい。


 どうやらゾンビ化から時間が経った後に支配しようとしても、その時は抵抗されるようだ。

 

 意外と支配できるタイミングも、シビアなようである。


 であればゾンビ支配ではなく注目するべきなのは、ゾンビ化液生成の方だろう。


 上手く使えれば、モンスターのランクを一段階上げられるかもしれない。


 種族がゾンビになってしまうが、試すだけの価値はあるだろう。


 しかし流石に、名前を付けた配下には行いたくはない。


 なので俺は今回カード化したばかりである、ペストモスキートを使うことにした。


 早速召喚すると、ルーラーモスキートにゾンビ化液を注入させる。


 注入されたペストモスキートには、一見変化は見られない。


 時間経過で何か変化が起きるのかもしれないが、既に効果はあるとのことなので、処理をする。


 少々かわいそうだが、これもカード召喚術の新たな可能性を開拓するためだ。


 そうしてペストモスキートは、犠牲になった。


 倒された瞬間に、カードへと戻る。


「ふむ……ダメのようだな」


 しかしカードを見ると、そこには変わらずペストモスキートが描かれていた。


 ステータスを確認しても、変化はない。


 どうやらカード化した配下には、ゾンビ化液は効果を発揮しないみたいだ。


 まあカード召喚術は神授スキルだし、効かなくても仕方がない。


 であれば発想を変えて、カード化する前のモンスターに注入すればいいだけだ。


 そう思い俺は沼地でロットスラッグを見つけると、ルーラーモスキートにゾンビ化液を注入させる。


 するとその結果、倒したロットスラッグはゾンビスラッグになって、動き出した。


 そして再度倒すと、ゾンビスラッグとして問題なく、カード化することに成功する。


 よし、この手順なら問題ないみたいだ。


 ただ問題があるとすれば、ルーラーモスキートが一匹一匹注入する必要があることだろう。


 なのでゾンビ化する対象が多ければ、それだけ時間と手間がかかる。


 であればルーラーモスキートが引き連れていたあの軍団は、かなりの時間を要したに違いない。


 実際に訊いてみれば、思った通り長い時間をかけて集めたとのこと。


 だからこそ、浅層のエリアボスにしては桁違いの勢力だったのだろう。


 俺の一撃で壊滅したとはいえ、本来だと理不尽な相手である。


 ゾンビ化した冒険者も四人いたし、他と合わせて五百に近い数だった。


 もし浅層の強さに油断した冒険者が偶然にも遭遇したら、結果は明らかだろう。


 ああ、そうか。あのゾンビ化した四人の冒険者は、そんな感じでやられたのか。


 だとすれば、不運だと言わざるを得ない。


 エリアボスはその層を徘徊しているし、逃げづらい状況で出会う可能性もある。


 それにあそこまで勢力が拡大したルーラーモスキートたちは、まるでイレギュラーモンスターのような理不尽さがあった。


 これは、この先の中層も警戒をした方がいいだろう。


 もしかしたら、浅層以上に理不尽なエリアボスが現れるかもしれない。


 俺はそんな事を思いながらも、脱線した思考をゾンビ化液生成へと戻す。


 さて、この実験の結果、ある可能性が生まれた。


 それは人型種族をゾンビ化して、カード化することが可能だということ。


 ゾンビ化した冒険者をカード化できたことから、おそらく問題なくできるだろう。


 所持スキルをほとんど失うとはいえ、このハイゾンビのように使える場合もある。


 そしてもし転移者をゾンビ化できたのなら、凄いことになりそうだ。


 ブラッドの時のように使うこと自体に躊躇(ためら)いが出るかもしれないが、その時はまた生贄の材料にすればいい。


 ゾンビ化することで何が起きるかは未知数だが、試してみる価値は十分にある。


 なんだかマッドサイエンティストのようだが、手に入れたからには使ってみた方がいい。


 レフと一度融合してから丸くなったと思っていたが、ゴブリンで実験したころの俺も残っていたということだろう。


 まあ敵対した転移者や人型種族をカード化できても、おそらくネームドたちのような愛着は一切わかないと思われる。


 残酷かもしれないが、運用のしかたもそれに準ずることになるはずだ。


 将来的に何が起きるか分からないので、こうした手駒も増やしておいて損はない。


 ただこれを多用しすぎると、配下がゾンビだらけになってしまう。


 配下の多様性を維持するためにも、ゾンビ化は使い過ぎないほうがいい。


 ゾンビ化するときは、よく考えて使うことにしよう。


 そうして実験をひとまず終えた俺は、再びペストモスキート集めを再開し始める。


 結果としてペストモスキートの枚数は、1,000枚に到達した。


 更にはリーフェのスリープで眠らせた後、ルーラーモスキートにゾンビ化液を注入させる。


 一匹一匹注入するのには非常に時間がかかったものの、ゾンビモスキートの枚数も1,000枚になった。


 使い過ぎない方がいいと思ったばかりだが、モスキート軍団が2,000匹というのは今後役に立つ気がする。


 指揮官としてルーラーモスキートもいるし、戦力としてはかなりのものだろう。


 すると時間がかかったこともあり、気がつけば辺りは暗くなっていた。


 当然この暗くなった状況は、探索には適さない。

 

 なので久々に城ではなく、以前作った拠点に帰ることにした。


 様子も気になっていたので、ちょうどいい。


 ちなみにゾンビスラッグについては増やさずに、逆に150枚へと数を調整した。


 今後カード化の容量に不安が出たら、ここから更に減らすこともあるかもしれない。


 そうして浅層での探索も十分に終えたので、俺は拠点へと召喚転移で移動するのだった。



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