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倒したモンスターをカード化!~二重取りスキルで報酬倍増! デミゴッドが行く異世界旅~  作者: 乃神レンガ
第六章

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199 表の城下町

 

 表の城下町には、様々な店が建ち並んでいる。


 武器屋、防具屋、雑貨屋、飲食店、教会もあった。


 アンデッドと教会は相性が悪い気がするものの、気になったので入ってみる。


 教会は長椅子とステンドグラス、奥には教壇があり、特に変わったところは無い。


 創造神ルートディアスが唯一神みたいだが、偶像崇拝は禁じられているのか、石像などは無かった。


 神父もいるが、やはりNPCみたいに決まった文言しか返事をしない。


 他にも祈りをささげている者もおり、とても静かだ。


 一応お布施で硬貨を幾らか渡し、教会を出る。


 何気にこの世界に来て、初めて教会に入ったかもしれない。


 そういえば長椅子と教壇の間にスペースがあり、何か魔法陣のようなものが書いてあったな。


 神父に訊いてもスルーされたし、分からずじまいだった。


 これはあとで、シャーリー辺りにでも訊いてみよう。


 そう思いながら、俺はレフと共に城下町を歩く。


 大通りは人が多く、相変わらず活気に満ちている。


 だが少し路地に入り進んでいけば、人気(ひとけ)が無くなった。


 石畳と建物の間には、乗用車が一台通れる程の幅しかない。


 ふと見上げれば建物と建物の間に紐があり、そこにいくつかの洗濯物が吊るされていた。


 またここですれ違う人の多くは、どこか(すね)に傷がありそうな風貌(ふうぼう)をしている。


 土地勘のない者は、この先にはまず行かない方がいいかもしれない。


 そんな雰囲気が、ひしひしと伝わってくる。


 だが俺はそれに構わず、レフと共に路地の奥へと進んでいく。


 ちょこちょこと石畳を歩くレフの姿は、なんだかこの場所の雰囲気と合っていた。


「にゃう!」


 すると俺の考えていたことが伝わったのか、まるで『レフは野良猫じゃないわよ!』と抗議するように鳴く。


「そうだな。レフの毛並みは綺麗だし、野良猫はおろか、そこらの家猫にも負けてないな」

「にゃふふんっ!」


 俺がそう言うと、レフは満足したようにドヤ顔をした。


 少しチョロいと思ってしまったが、機嫌が直ったので良しとしよう。


 そんなことがありつつも進んで行くと、次第に周囲の建物が薄汚れていき、破損が目立っていく。


 臭いもゴミや排泄物など、不快なものが(ただよ)ってくる。


 おそらくここは、スラム街なのだろう。


 いる人たちも力なく座り込んでいたり、ごろつきの様な者が多々見られる。


 するとその中の数人が、俺の前に立ちふさがった。


「痛い目を見たくなきゃ、有り金を置いていきやがれ!」


 代表したように、一人がそう高らかに叫ぶ。


 これは、どうしたものか。


 普通の街であれば、こんなやつは即座に排除をしている。


 だがここは、ダンジョン内だ。


 ダンジョンのモンスターが俺を襲うことはないはずだが、こいつらは違うようである。


 けどそういえば万が一襲われるようなら、返り討ちにしてもいいと言われていたな。


 なら、倒してしまってもいいのかもしれない。


 だが一応、ここは女王の作った大事な場所でもある。


 穏便に済ませられるか、試すだけ試してみよう。


「俺はダンジョンの守護者だ。女王に雇われている。そこをどいてくれ」

「痛い目を見たくなきゃ、有り金を置いていきやがれ!」

「これでもSランク冒険者を倒した実績がある。お前らじゃ相手にならないぞ?」

「痛い目を見たくなきゃ、有り金を置いていきやがれ!」


 やはりダメか。こいつらも決まった対応しか出来ないのだろう。


「はぁ、お前らに渡す金は無い。失せろ」


 俺がそう言ったところで、ようやく相手の反応が変わる。


「なら直接奪うだけだ! お前ら! やっちまうぞ!」


 そう叫ぶと、ごろつきたちが襲い掛かってきた。


「にゃにゃん!」

「ぐえら!?」

「うぇ!?」

「がっ……」


 すると俺が動く前に、レフがダークネスチェインでごろつきたちを一掃する。


 一応命は奪っていなかったが、ごろつきたちは幻のように消えてしまった。


 おそらく、一定以上のダメージを受けるとこうなってしまうのだろう。


 反射的にいつもの癖でカード化を試みたが、反応は無し。


 どうやらこいつらは、モンスターではなかったみたいだ。


 消え方からして、幻のような存在だったのだろう。


 とりあえず倒しても異変はなさそうなので、気にせず進むことにする。


 そうしてスラム街を歩いていくと、空き地のような場所を発見した。


 空き地には何人かの子供たちがおり、何やら棒のようなものを持ちチャンバラをしている。


 スラム街でも、子供たちはたくましく遊んでいるみたいだ。


 けれどもその子供たちの中に、一際目立つ人物がいた。


「我こそは、伝説のSランク冒険者! 魔法剣士ルミナであるぞ! 悪い盗賊どもめ! 成敗してくれる! はぁっ!!」


 それは金髪碧眼の少女であり、庶民の服装ではあるが、スラム街には似つかわしくない上等なものだ。


 加えてどこか育ちのよさそうな口調と容姿をしており、将来は多くの男を魅了すると思われる潜在性があった。


 いや、まさか……だが名前からして……。


 スラム街の子供たち相手に、大太刀回りでチャンバラをする少女。


 そのルミナと名乗っている少女を見て、俺はどうしてもルミナリア女王を思い出してしまう。


 更にいえば空き地の隅でチャンバラを見て、気が気ではない表情をしている少女も、何だか見覚えがある。


 似たような金髪碧眼ではあるが、顔つきからしてシャーリーに似ている気がした。


 これはもう、確定だろう。


 あれはたぶん、幼い頃の女王だと思われる。


 戦闘が苦手と聞いていたが、幼い頃はかなりやんちゃだったみたいだ。


 もしかしたら何か切っ掛けがあって、戦闘が苦手になったのかもしれない。


 それにしても、スラム街の子供たちとチャンバラをしていたとは、驚きだ。


 おそらく護衛もつけずに、城を抜け出したのだろう。


 当時の家臣たちは、相当頭を悩ませていたに違いない。


 それと幼い頃の女王を見るに、この表の城下町はその時代を再現したものなのだろう。


 つまり女王にとって、この時期が一番楽しかったのかもしれない。


 チャンバラをしている幼い頃の女王の表情は、とても楽しそうだ。


 これは、邪魔をしない方がいいな。


 そう思い、俺はその場を後にしようとした。


 だがその直前、幼い頃の女王と目と目が合ってしまう。


 すると棒の先端をこちらに向け、高らかにこう叫ぶ。


「む! そこの男! 貴様は悪の魔獣使い、ベゲゲボズンだな!」

「ベゲゲボズン?」

「にゃぁ?」


 思わず俺は、そう口に出してしまう。レフも、小さな頭をかしげていた。


「そうだ! ベゲゲボズンだ! その黒き魔獣を使って、臣民に害をなす悪しき存在ベゲゲボズン! この伝説のSランク冒険者である魔法剣士ルミナが成敗してくれる! 者ども! 囲め囲め!」


 幼い頃の女王がそう言うと、スラム街の子供たちが俺とレフが逃げないように囲んでいく。 

 

 これは、困ったことになったな。


 流石に先ほどのごろつきのように、手を出すわけにはいかない。


 これがたとえ幻だとしても、雇い主である女王だ。


 レフにも繋がりを通じて、決して傷つけないように命じておく。


 それに加えて、相手は子供だ。傷つけるのはそもそも抵抗がある。


 ここは遊びに付き合って、適当なところでやられた振りをして退散しよう。


 そう判断した俺は、悪の魔獣使いであるベゲゲボズンを即興で演じることにするのだった。



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