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倒したモンスターをカード化!~二重取りスキルで報酬倍増! デミゴッドが行く異世界旅~  作者: 乃神レンガ
第五章

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195 ゲヘナデモクレスは暗躍する


「ぐぬぬぬ。主よ。なぜ我を召喚しない!? あ奴ら三匹を出すよりも、我を召喚する方が確かであろう!」


 ゲヘナデモクレスは、一人嘆いていた。


 あの飛んで行った四人組の居場所を突き止め、全知の追跡者のマーキングをするところまでは出来ている。


 だがここから、どのように誘導しようか悩んでいたのだ。


 しかしそんな時、ジンが城のダンジョンで守護者になり、大勢の侵略者たちと戦うことになる。


 ゲヘナデモクレスは推しの一大イベントとばかりに、映像に釘付けになった。


 そして四人組の強者が現れるや否や、自身の出番は近いとソワソワしながら見届けたのである。


 だがしかし結果として、その希望は打ち砕かれた。


 グインを筆頭に、ボーンドラゴン、バーニングライノスのAランクトリオが活躍してしまったのだ。


 ゲヘナデモクレスは、頭を掻きむしりたいほどに憤怒する。


 裏切られたと言いがかりを元に自傷するメンヘラの如く、自身の頭部を岩に叩きつけた。


「なぜだぁ! なぜなのだぁ! 我の事、もしかしてもう忘れたのか? いらないのか? 主には我が必要であろうに!!」


 そして巨大な岩は、ゲヘナデモクレスの頭突きによって粉砕される。


 単なる八つ当たりであるが、それは結果として、ある事態を招いてしまう。


「な、何だこいつは!?」

「お、おい! お前! 何者だ!」

「ま、待て、あいつは本当に人族か!? な、なんか違う気が……」


 そう、あまりの衝撃と音により、冒険者たちに気がつかれてしまったのである。


「ぬぅ!? しまった。気がつかれたか。であれば、もはや是非もなし。我こそは城のダンジョンおわす魔将ジルニクス様一番の配下! ゲヘナデモクレスである! 宝珠を手にせし者を先んじて討ちにやってきたのだ! 緑の宝珠(・・・)がある城のダンジョンには行かせぬぞ!」

「なぁ!?」

「敵襲! 敵襲!」

「城のダンジョンだと!?」


 三人の冒険者が驚き戸惑っている間に、ゲヘナデモクレスは跳躍した。


 そしてわざと重要な情報を喋り、三人を害すことなく駆けだす。


「我こそは城のダンジョンおわす魔将ジルニクス様一番の配下! ゲヘナデモクレスであーる!」

「何だこいつは!?」

「つ、強すぎる!」

「Aランク、いや、それ以上……」


 ゲヘナデモクレスはもはやどうなってもいいと、冒険者たちの拠点で暴れ始めた。


 更に手心を加えて、殺さない程度に抑えている。


 これも全て、ジンに召喚してもらうためだった。


 敵が多ければ、それだけ召喚の可能性が増すと考えたのである。


「ふはははは! 緑の宝珠が欲しければ、同色の矢印を辿って来るがよい!」


 また先ほどの発言を(ひるがえ)し、今では逆に城へやって来るように促していた。


 しかしそんな暴虐の限りを尽くすゲヘナデモクレスの元に、向かって来る者たちがいる。


「す、凄い気配だ。あの時倒したボーンドラゴン以上のものを感じる。いったい何者なんだ、こいつは?」


 そう言ってまず現れたのは、金髪碧眼で十代半ばの美少年、ブレイブ。


 手にはそれぞれ、聖なる力を宿す剣と盾を構えている。


「たくっ、先に行くなよな。これだから勇者様の仲間はたいへんだぜ!」


 続いて赤髪褐色肌の美女。アネスが悪態をつきながらも、ブレイブの横へと並ぶ。


 高身長で筋肉質な肉体に纏うのは、まるで水着のような真っ赤な鎧。ビキニアーマーだ。


 更には重量級の武器、巨大な両手斧を軽々しく背中から抜いた。


「鑑定……通らない。たぶん、エクストラ級の妨害スキルをもっている……かも」


 そう言って音もなく次に現れたのは、黒髪ボブカットの美少女であるヤミカ。


 同色の瞳は少し眠そうであり、十代前半と年齢も最年少。


 毒々しい色の短剣を手に取り、油断なくゲヘナデモクレスを見つめる。


「はぁ、はぁ、はぁ……ちょっとぉ、私のこと置いてかないでよねっ! って何よこの邪悪な気配!? あれは悪の化身に間違いないわ!」


 最後に息を切らせながら現れたのは、青い腰までの長髪と、同色のツリ目をした聖職者。名をセーラという。


 セーラは見た目の美しさからは裏腹に、言葉の端々から荒さが見受けられた。


 しかしこれは、仲間のいる時だけである。普段のセーラは、猫をかぶっているのだ。


「ほぉ? 貴様ら、少しは強そうであるな! 我こそは城のダンジョンおわす魔将ジルニクス様一番の配下! ゲヘナデモクレスである!」


 ここぞとばかりに、ゲヘナデモクレスは名乗りを上げる。


「それ、遠くからでも聞こえてた……」

「俺も聞いたぞ」

「こいつ、同じことしか言えないのか?」

「所詮はモンスター。大した知能がある訳ないじゃない! どうせそのジルニクスとやらに教えてもらったことしか、言えないんだわ!」


 四人は呆れたように、そう口にした。


 名乗っただけなのに、散々な言われようである。


 これに対してゲヘナデモクレスは怒りから震えるが、ここは必死に我慢した。ここでうっかり台無しにするわけにはいかない。


「ふははは! 我が主のダンジョン(・・・・・・・)は、近々貴様らの背後にある国境門へと侵攻する予定である! 安易に宝珠を手にしたばかりに、愚かな事だ! 

 これを阻止したければ、緑の矢印が指し示す方へと進め! 時間は限られていると理解せよ! ではさらばだ! オーラオブフィアー!」  

  

 そしてゲヘナデモクレスは一方的に言葉を発すると、かなり弱めにスキルを発動する。


 結果として周囲の心弱き者は、恐慌状態に陥った。


「ひぃいいいい!?」

「だれかぁ! だれかぁ!」

「ヤメロー! シニタクナーイ!」

「こ、こんなところに居られるか! 俺は帰らせてもらう!」

 

 当然ブレイブたちにはあまり影響はなかったが、周囲に気を取られる一瞬の隙に、ゲヘナデモクレスを見逃してしまう。


「なっ!? いつの間に!?」

「なんちゅう速さだ。たった一瞬だったぞ?」

「目を離さなかったけど……追いつけそうにない」

「……な、何よあれ……あ、あれに勝てるの?」


 若干セーラは恐怖状態であるが、完全に戦意を失った訳ではない。


 そんなセーラを、ブレイブが抱きしめる。


「大丈夫だ。俺らなら勝てる。だって俺たちは、勇者パーティだからな!」

「ふぇ、そ、そうね。私も聖女。聖女だもの! ライトベール!」


 ブレイブに抱きしめられたことで恐怖に打ち勝ったセーラは、そこで光属性魔法、ライトベールを発動させた。


 それは半円状に広がっていき、恐慌状態にある全ての人たちを癒す。


 同じ魔法を使えるグインでも、ここまで広げることはできない。


 それだけ、セーラの魔法は卓越していた。


「ずるい。僕も……」

「あっ! あたしもあたしも!」

「おわっ!? ったく、困ったなぁ」


 セーラが離れた隙に、ヤミカとアネスがブレイブに抱き着く。


「あー! ちょっと何してるのよっ!」

「セーラはさっきやってた。次は僕の番」

「そういうことだ! はっはっは!」

「三人とも、俺を求めて争わないでくれよ、やれやれ」


 ゲヘナデモクレスが現れた緊張感は一気に払拭され、逆に周囲からは殺気の視線が集中する。


 だがそれも既に慣れたものなので、ブレイブは全く気にはしない。


「それよりも、次の目的地が決まったな。城のダンジョンを目指そう。そして魔将ジルニクスというダンジョンボスを倒すんだ!」

「罠かもしれないわよ? それに、塔のダンジョンを勝手に攻略したことを怒られたばかりじゃない」

「大丈夫さ。俺たちは勇者パーティ。教会からのお墨付きもある。それに、あんなヤバそうなのが来たら、誰も反対できるはずないだろ?」

「確かに、ブレイブの言う通りだぜ!」

「僕は、お兄ちゃんに従う。反対なら、セーラはお留守番」

「なぁ!? 行くわよ! 私が行かなきゃ、皆野垂れ死ぬわよ!」

「よし、なら全員賛成みたいだし、早速直談判に行こう!」


 そうして多数決に見えて、ブレイブの鶴の一声で決まった城のダンジョン攻略が、こうして始まるのであった。


 しかしブレイブはまだ、このときは知らない。


 魔将ジルニクス、ジンがどれだけの力を秘めた存在かということを。


 そしてその配下であるゲヘナデモクレスが、それ以上にヤバイ存在という事実に、全く気がついていなかったのだ。


「ふはははは! 我は天才だ! これで主も、我を召喚せざるを得ないだろう! あの者たちは、中々に強そうだったぞ! ……だがしかし、これで本当に足りるのか? また、我無しで勝つのでは……? 

 であれば我を召喚するまで敵を集めれば、100%召喚されるはずだ! 我は止まらぬ! 待っておれ主よ!」


 遠く離れた場所にいるゲヘナデモクレスが、そんな風に独り呟く。


「……だがもしもここまでの事を全て知られたら、主も流石に怒るであろうか?

 う、うむ。これは主にとっても、良い試練になるだろう! 

 わ、我は主のことを思ってやっているのだ! 主を強くするのも、一番の配下である我の勤めである! ふはははは!」


 最後にそう言い残して、ゲヘナデモクレスは荒野を駆けて行くのであった。


これにて第五章は終了になります。

最後に評価やフォローして頂けると励みになりますので、よろしければポチッとして頂けると助かります。


引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。

<m(__)m>


乃神レンガ


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