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174 塔のダンジョン ⑥


 進化したトーンの能力は、次の通りだ。



 種族:ネクロトレント(トーン)

 種族特性

【闇属性適性】【闇属性耐性(小)】

【身体操作上昇(中)】【硬化】

【貯蔵】【苗床吸収】【骸木人生成】


 エクストラ

【ランクアップモンスター】


 スキル

【樹液生成】【再生】【盾適性】



 おそらくDランクから、Cランクになったと思われる。


 予想ではアプルトレントのような、果樹系になると考えていた。


 しかしどういう訳か、禍々しい見た目になっている。


 全体的に形はトレントと大差ないが、色が黒茶になり、葉は血のように赤い。


 中央の顔部分の目も、同様に赤かった。


 これはどう考えても、先ほど渡したスケルトン召喚の杖が関係してるよな?


 まさか装備品が、進化に影響を及ぼすとは思わなかった。


 それとトーンのタンクとしての想いが強かったからか、新たに盾適性を得ている。


 ランクアップモンスターは、既存スキルのランクアップか、新たなスキルをランダムに取得したはずだ。


 効果を確かめてみるが、間違ってはいない。


 

 名称:ランクアップモンスター

 効果

 ・ランクアップ回数に応じて、生命力や魔力、身体能力などが上昇する。

 ・ランクアップ時にスキルのランダム取得か、スキルのランクアップが発生する。

 ・フュージョンが不可能になる。

 ・知力を上昇させ、個を確立する。



 確かにランダム取得となっている。であれば、盾適性は偶然だろうか?


 いや、都合が良すぎるな。ランダムと書かれているが、想いが強ければ獲得する確率が増すのかもしれない。


 その中で、トーンは当たりを引いた可能性がある。


 まだ進化については、謎の部分が多いな。


 それと既存スキルが消えることなく、そのまま受け継がれた。


 これは、嬉しい限りである。


 特に樹液生成は、個人的に無くなるのが惜しい。


 トーンシロップは、かなり美味なのだ。


 またトーンは【自然治癒力上昇(中)】と【エナジードレイン】を失った。


 その代わりに、【闇属性適性】【闇属性耐性(小)】【貯蔵】【苗床吸収】【骸木人生成】を得ている。


 加えて身体操作上昇も、(小)から(中)になった。


 あとはエクストラのランクアップモンスターが、進化の成果になる。


 この中で気になるのはやはり、【貯蔵】【苗床吸収】【骸木人生成】だろう。


 貯蔵は俺の生活魔法と同様で、魔力量によって収納できる量が変わるようである。


 また収納時の経過時間は、およそ半分ほどだ。


 そして苗床吸収は、貯蔵された死骸から栄養を吸い取る感じである。


 更に吸収時は怪我や体力、魔力などを回復できるようだ。


 戦いながら発動できるとすれば、タンクとしてはかなり強いスキルである。


 最後に骸木人(むくろもくじん)生成は、貯蔵されている死骸を元に、木と融合した配下を作り出すスキルだった。


 どのような配下ができるのかは、実際に見て見なければ分からない。


 なのでとりあえず、俺は進化したトーンを召喚してみる。


「いでよ、トーン」

「ギャギャギャ」


 そんな不気味な音を奏でながら、トーンが現れた。


 大きさは、トレントの時と大差はない。


 しかし大きな違いは中央から縦に開き、まるでハエトリグサのような口を作り出せることだろう。


 なるほど、この巨大な口から敵を捕食して、貯蔵するのか。


 口の奥は漆黒に満ちており、先は見えない。


 普段は閉じておいて、油断した敵を一気に開いて捕食するのだろう。


 これは、結構ホラーかもしれない。


 トーンは口を開いては閉じてを繰り返しながら、新しい体に満足しているみたいだ。


 あとは身体操作も向上したからか、根や枝の動きがなめらかになっている。


 これなら盾などを持たせても、十分に扱うことができるかもしれない。


 なので以前リジャンシャン樹海で作った大盾を試しに二つ渡してみると、トーンは根を器用に絡めて構えて見せた。


 盾適性も獲得したことで、様になっている。


 盾があれば、タンクとしてより活躍してくれることだろう。


 さて、あとは気になっていた骸木人生成を試すため、ストレージにあった骨のないゾンビとハイゾンビの死骸を差し出す。


 それをトーンは開いた口に、根で器用に入れていく。


 ゾンビの死骸を捕食しても嗅覚や味覚はないのか、特に辛そうには見えない。


 そして準備が完了したトーンが、早速スキルを発動した。


 すると地面から、木と融合したゾンビとハイゾンビが現れる。


 骨は無かったはずだが、木が骨となったのか普通に立っていた。


 また体の様々な箇所が木に置き換わっており、耐久面では上昇している気がする。


 強さはどうなのかと思いスケルトンと戦わせてみると、骸木人が勝利した。


 鑑定したところスキルは失われているみたいだが、元となった個体の身体能力は概ねそのままだ。


 簡単な命令も聞くようで、壁役としては十分に活かせる。


 それと木の部分であれば、トーンが直すことができるようだった。


 元となった死骸がある程度無事な限り、何度でも再利用することが可能なようである。


 そして役目を終えると、骸木人たちは直接トーンの口の中に入っていく。


 口の大きさの関係上、巨大すぎる骸木人は難しそうだな。


 これからいらない死骸が出てきたら、トーンに喰わせていこうと思う。


 ただ貯蔵内部の経過時間は半分になるとはいえ、その内腐ることは避けられない。


 そうすると、骸木人の性能も低下するだろう。


 あ、ゾンビとハイゾンビは既に腐っているのか。


 案外、骸木人と相性が良いのかもしれないな。


 ちなみに気になっていたスケルトン召喚の杖だが、無くなっているらしい。


 やはり、進化する際に消え去ったのだろう。


 この事実は、今後よく考えた方がいいな。


 そうして進化した姿も確認できたのでトーンをカードに戻すと、俺は退出の魔法陣に乗った。


 三十秒後には無事に転移して、階段のある小部屋に移動する。


 近くには別の魔法陣もあり、どうやら下の階に続く小部屋に転移することができるらしい。


 一応引き返すための方法も、ちゃんと用意されているみたいだ。


 そこまでダンジョンも、意地汚くはないらしい。


 あ、トーンの進化を見て失念していたが、退出の魔法陣はモンスターを先行させた方がよかったな。


 この小部屋に冒険者はいなかったが、それは結果論だ。


 仮に退出の魔法陣が使えなくなっても、そのモンスターを目印に召喚転移をすればいい。


 ある程度強いモンスターであれば、仮に冒険者がいても瞬殺される可能性は低いだろう。


 思わぬ失敗をしてしまったが、これを反省しつつ次は気をつけることにする。


 その後はとりあえず、先行させるスケルトンたちを召喚して、階段を進ませていく。


 この先は、十一階層になる。


 出てくる敵も、多少は強くなっていることだろう。


 スケルトンから安全だと伝わってきたので、俺たちも進む。


 そして周囲も広くなったので、ジョン・サン・トーン・アロマを召喚した。


 するとジョンたちは、トーンの進化した姿に驚く。


 もちろん、祝う気持ちが大きいようだ。

 

 Cランクになったことで、トーンのタンクとしての安定性も増したことだろう。


 なのでもうしばらくは、このメンバーで進めることにする。


 すると早速、敵が現れた。


 出てきたのはスケルトンナイトか。先ほどボスとして現れただけに、何ともいえない気持ちになるな。


 ボスキャラが雑魚キャラとして現れるのは、どこにでもある話なのかもしれない。


 幸い単独なので、トーンを主軸として戦わせてみる。


「ギャギャギャ!」


 トーンは与えた二つの大盾を巧に操り、スケルトンナイトの攻撃を防ぐ。


 その隙にジョンとサンの攻撃が決まり、見事スケルトンナイトを撃破した。


 敵はエクストラが無いことに加え、技量も低くボス個体とは大違いである。


 同じスケルトンナイトでも、強さにかなりの差があったみたいだ。


 それと残念ながら今回、アロマの出番は無かったみたいである。


 だがアロマは、そのことを気にした様子はない。


 自身の必要な場面を、よく理解しているみたいだ。


 そしてスケルトンナイトをカード化して、先へと進む。


 スケルトンナイトは現在87枚、切り良く100枚まで集めたいところだ。


 またスケルトンナイトを新たな案内役として、召喚しておく。


 訊けばやはり、宝箱と強敵はいない。


 ここまでくると、このダンジョンには皆無なのだろう。


 ちなみに冒険者については、気配を感じていたみたいである。


 ということは、守護者であったスケルトンナイトを倒したようだ。


 これは、結構強い相手かもしれない。


 遭遇したら、油断せずに対処しようと思う。


 そうして進んでいると、ジョンたちからしたら因縁の相手が登場する。


 現れたのは、ノーブルゾンビ。それも、三体もいた。



 種族:ノーブルゾンビ

 種族特性

【生命探知】【闇属性適性】【闇属性耐性(小)】

【身体能力上昇(小)】【毒耐性(小)】【毒の息】

【シャドーネイル】【集団指揮】



 あの時の個体とは当然別物だが、この場所でジョンたちのリベンジマッチが始まる。



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