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倒したモンスターをカード化!~二重取りスキルで報酬倍増! デミゴッドが行く異世界旅~  作者: 乃神レンガ
第五章

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169 塔のダンジョン ①


 拠点に帰ってからは、ひとしきりレフの相手をした。


 撫でることはもちろんのこと、専用のエサも用意する。


 特別に、秘蔵していたマッドクラブを出したほどだ。


 これだけは、ユグドラシルからも死守したのである。


 後はブラッシングもしてやったのだが、ブラシにアロマの毛が付いていたことで、レフが何故か怒った。


 なので新たにレフ専用のブラシを用意して、毛を()かすはめに。


 更に桶を出して、体を洗ってやった。


 ここまでしてようやく、レフの機嫌が直る。


 気がつけば、かなりの時間が経過していた。


 そして同時に、塔に向かわせていたアサシンクロウの一匹から連絡がくる。


 どうやら、(くだん)の塔を見つけたみたいだ。


 一定の距離に近づいた瞬間、突如として現れたらしい。


 加えて、冒険者らしき集団が十人ほどいた。


 おそらく、あの帰還途中だった冒険者の仲間だろう。


 報告組と、残留組に別れたのだと思われる。


 ただ一つの出入り口と思われる正面に、陣地を形成していた。


 地属性魔法が得意な者がいるのか、防壁も乱立している。


 これは、簡単に侵入することは難しい。


 正面から蹴散らすという手段もあるが、それは最終手段だ。


 ロブントは簡単に倒せたが、あいつはBランクの中でも弱い方らしい。


 仲間にはAランク冒険者もおり、その他もロブントより強い者が大多数だ。


 安易に仕掛けるのは、危険だろう。


 それに何よりも、関わりのない人をこちらの理由で殺すというのは、流石に(はばか)られる。


 何度も言うようだが、俺はそこまで人間性を失ってはいない。


 これを自分に言い聞かせないと、いつか破滅する気がする。


 邪魔だから殺そう。ではダメなのだ。


 ツクロダのように、始末しなければ今後面倒が分かり切っているのであれば、その限りではないが。


 また半殺しの方が、情報の流出という面で危険だ。


 戦いが始まれば、殺す以外の選択を取れる可能性は低い。


 なので現状、他の侵入経路を探した方がいいだろう。


 とりあえず何をするにしても、日が落ちてからにする。


 流石に近づき過ぎれば、感知系スキルを持っている者に気づかれるかもしれない。


 アサシンクロウは隠密スキルを持っているが、暗い夜の方がその効果が高まる。


 これは単純に、視認しやすさの問題だ。


 気配感知と隠密は対極関係にあるが、その場の状況によって優勢へとどちらかが傾く。


 つまりそれが、夜中という訳だ。


 もちろんスキル保持者の熟練度や能力によって、大きく変わるのだが。


 まあ、それを考えては切りが無い。


 ひとまず、夜中まで待機しようと思う。


 そうして俺は適当に、ストレージ内の整理整頓などをしながら、時間を潰すのだった。


 ◆


 時間が過ぎて、現在は深夜。行動に移すなら、今だろう。


 まずはアサシンクロウを離れた場所に移動させ、増援としてアンクを送り出す。


 アサシンクロウの中で、アンクが一番能力が高いのだ。


 ちなみに最近できるようになったのだが、召喚転移でモンスターだけを送れるようになっている。


 レフを単独で行動させたときも、この方法で転送していた。


 何度も使っているからか、応用が利くようになったみたいである。


 そうしてまずはアンクに隠密を発動させた後、気がつかれない範囲から塔の裏手に回らせた。


 塔の反対側には、誰もいない。


 夜中は一つしかない出入り口の前で、冒険者たちは固まっている感じだ。 


 なので気づかれることなく、アンクをそのまま上空へと向かわす。


 頂上まで飛べば、簡単に攻略できるかと思ったからだ。


 しかしどういうことか、一定の高さまで飛ぶと下の方にワープさせられてしまう。


 どうやら、ズルは認めないらしい。

 

 まあ、そりゃそうか。


 これが可能なら、飛べなくても塔の外側からよじ登ればいいだけだしな。


 けれどもこれについては、何となく分かっていたので気にしない。


 以前ツクロダダンジョンでも、ズルをして入り口に戻された経験があったからだ。


 であれば次に行うのは、塔の窓からの侵入である。


 しかし塔の窓は鉄の棒がいくつも交差しており、菱形の小さな穴しかない鉄格子になっていた。


 これでは、侵入は難しい。


 破壊なんて、もってのほかだろう。


 流石にこの大きさでは、レフの縮小化でも無理だ。


 縮小化にも、限度がある。

 

 なので他の方法を考えるべきだが、そこで一つ妙案を思いつく。


 俺はアンクの足にスライムを召喚して送り出すと、それを窓のスキマに押し込ませる。


 スライムは体の形を変えて、スキマから少しずつ内部へと侵入していく。


 だが当然と言うべきか、スライムの核が入るには小さすぎた。


 けれども、これで問題ない。


 スライムの大部分は、侵入を果たしている。


 俺は意識を集中させると、自身を召喚転移させた。


 場所はもちろん、スライムのいる塔の内側だ。


「成功だ」


 俺は思わず、小さく呟く。


 窓からの侵入は想定外だったのか、何か起きることもない。


 無事、塔へと侵入を果たす。


 これがダメなら、正面から行くしか無かっただろう。


 俺は念のため目印となるモンスターを設置すると、レフとアンクを再召喚を利用して近くに呼び出す。


 そして、役目を終えたスライムを送還した。

 

 さて、無事に入れたし、ここから塔の頂上を目指していくか。


 縦に並んだ窓の数からして階層はおそらく、五階層だと思われる。


 外から見た時の記憶から、そう判断を下す。


 それより上は、ワープで戻される関係で行くことができなかった。


 また頂上付近は霧が立ち込めており、一番上が何階層か予想がしづらい。


 少なくとも、十階層は越えていると思われる。


 それより先は、どこまで続いているのか直接確かめるしかなさそうだ。


 廃墟街を例外だとすれば、これが久々のダンジョン攻略となる。


 なんだか、ワクワクしてきたな。


 それと周囲を見渡せば、石造りの壁と床が広がっており、思っていたよりも広い。


 いや、拡張されている。


 ダンジョン内だからか、明らかに塔の内部とは思えない広さだ。


 グインを本来の大きさで召喚しても、問題なく収まるだろう。

 

 まあ流石に動きづらくなるので、グインを召喚したとしても大きさを半分程度に縮小させるのが、ちょうどいいと思われる。


 あとは等間隔で松明が燃えているが、薄暗く不気味な印象だ。


 人によっては恐怖で進むことに、抵抗を覚えるかもしれない。


 いかにも、アンデッドが出てきそうな雰囲気だ。


 とりあえず、どれくらい強い敵が出てくるか分からない。


 なので俺とレフ、それとアンクでこのまま進むことにする。


 まずは生命感知を広げるが、反応がない。


 加えて窓の外と中は完全に遮断されているのか、それ以上広げられなかった。


 天井と床の先も同様だ。


 その部分はまさに、ダンジョンらしいといえる。


 けれども気配感知のネックレスからは、反応があった。


 この先の十字路の左側から、何かが現れる。


「ヴぉええ」

「ヴぁぁ」

「ウヴぁボ」


 ゾンビ、それとハイゾンビが複数か。


 

 種族:ゾンビ

 種族特性

【生命探知】【身体能力上昇(小)】


 種族:ハイゾンビ

 種族特性

【生命探知】【闇属性適性】

【身体能力上昇(小)】【毒爪】



 Eランクと、Dランクの雑魚である。


 死犬の双骨牙(そうこつが)を抜くと、あっという間に倒した。


 最早、苦戦する相手ではない。


 レフとアンクも、簡単に敵を倒している。


 カードも必要ないので、自身で倒した敵の骨を死犬の双骨牙(そうこつが)に喰わせた。


 うわっ、骨の無くなったゾンビは、想像を絶する気持ち悪さだ。


 とりあえずストレージに収納して、後でまとめて処分することにする。


 正直収納したくないが、残して冒険者に見つかると面倒だ。


 ちなみに生命感知に反応が無かった事から、少なくともこの階層にはいないと思われる。


 そして最後に、レフたちが倒したハイゾンビとゾンビをカード化した。


 ちなみに一体を案内役で残し、他はいらないので処分しておく。


 これで、道にも迷わなくなるだろう。


 さて、この階層に出てくるのがゾンビとハイゾンビという事は、敵の強さも概ね予想できる。


 おそらくこの階層に出てくるモンスターは、Dランク前後だろう。


 絶対ではないが、これまでの経験からそんな感じがする。


 それを踏まえて、召喚するモンスターを考えることにした。


 まあ考えるも何も、現状の選択だとこれしかないだろう。


 俺はそう思いながら、ジョン・サン・トーン・アロマを召喚した。


 それと案内役用に、先ほどのハイゾンビも出しておく。


 また念のため、アンクもこのまま召喚を継続させることにした。


 あとはアロマの事も少し心配だが、逆にここで呼ばない方がダメだろう。


 アロマも、それを望んではいない。


 なので、アロマにも出来る限り頑張ってもらうことにする。


 よし、まずはこの編成で進んでいこう。


 そうして俺は、塔のダンジョンの攻略を開始するのだった。

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― 新着の感想 ―
まぁ普通のペットでも使い回しは良くないっていうもんね
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