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倒したモンスターをカード化!~二重取りスキルで報酬倍増! デミゴッドが行く異世界旅~  作者: 乃神レンガ
第四章

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132 北の渓谷

 ここが、北の渓谷か。


 あれから時が経ち、現在俺は北の渓谷に来ていた。


 村で夕方まで待機した後、ゲッコー車で移動した感じである。


 なお深夜にアサシンクロウを使った狩りをしたが、新たなカードは増えてはいない。


 既に集めきったモンスターしか、現れなかった。


 そして北の渓谷から少し離れた位置に、ゲッコー車が止まっている。


 流石にコボルトが数百匹いる場所まで行くのは、危なかったからだ。


 また北の渓谷に近づいたとき、計測用の魔道具が配られた。



 名称:討伐計測の腕輪

 説明

 ・装備した者の討伐した数を記録する。

 【現在の計測結果】

 無し



 効果は分かりやすく、腕につける装飾品でもあるようだ。

 

 俺はスピードバングルを外し、この腕輪を身につける。


 ちなみにこの依頼を仕切っているボーボスたちパーティが、この腕輪を配った感じだ。


「何だか緊張してきたわね。けど、それ以上に楽しみだわ」

「うん。僕も緊張してきたよ。けどボーボスさんたちもいるし、大丈夫だよね」

「ああ、そうだな。俺たちはザコを狩るのに専念しよう。上位種は、ボーボスさんが狩ってくれるはずだ」


 荒野の闇の面々は緊張しながらも、高揚していた。


 これほど大規模な戦いは、初めてらしい。


 ゲッコー車で頻繁に会話をしたこともあり、三人とはそれなりに友好的になった。


 なので三人が危ないようであれば、影ながら助けようと思う。


 まあコボルトの上位種が襲ってこなければ、大丈夫だと思われる。


 道中で何度か戦いを見たが、Eランク冒険としては十分に強い。


 おそらく種族的に、人族より強いという事もあるだろう。


 だがそれを抜きにしても、三人の連携は上手い。


 役割もしっかり決まっており、隙は少ないと思われる。


 これから成長していけば、ランクも上げていけるだろう。


 それだけのポテンシャルを感じた。


 俺がそんなことを思っていると、いよいよ北の渓谷の目の前にやって来る。


「お前ら、準備はいいか! 好きに暴れろ! 上位種は早い者勝ちだ! まさか恐れているやつはいねえよな! ダークエルフの力を見せてみろ! 行くぞ!」

「「「おおおぉ!!」」」


 そしてボーボスの掛け声と共に、ダークエルフたちが突撃していく。


 作戦などは、特にない。


 脳筋戦法である。


「私たちも行くわよ!」

「う、うん!」

「よし、沢山狩るぞ!」

「ああ」


 ルビスも俺たちに声を掛け、その場から駆け出した。


 それに続いて、北の渓谷へと入っていく。


 既に前方では、冒険者たちがコボルトと戦闘を開始していた。


 数が多く無理に進み過ぎれば、囲まれるのは目に見えている。


 なので俺たちは、浅いところで他の冒険者が討ちもらした個体を狙う。


「ウォオン!」

「グルル!」

「ヴァウ!」


 すると三匹のコボルトが、目の前に現れた。


 俺はすかさず、鑑定を飛ばす。



 種族:コボルト

 種族特性

【嗅覚上昇(小)】【集団行動】【悪食】



 攻撃系のスキルは無いが、数が揃うとやっかいかもしれない。


 だがそれでも、所詮はEランクモンスターだ。


 何匹集まっても、対処は可能だろう。


「集団行動を持っているから、連携には気をつけて!」


 同時に鑑定を持っているギルスが、そう叫ぶ。


「分かったわ!」

「よし、任せろ!」


 そしてダンリが盾を構えて、前に出る。


 これまで何度か見た、連携の流れだ。


 ダンリがスキルで敵の注意を引き、ルビスとギルスが両サイドから攻撃を仕掛ける。


 問題はなさそうなので、俺はその隙にモンスターを召喚を行う。


 まず出すのは、この二匹だ。



 種族:ブラウングリズリー

 種族特性

【威圧】【激怒】【食い溜め】

【腕力上昇(中)】【物理耐性(小)】


 種族:ソードディア

 種族特性

【剣適性】【スラッシュ】【連撃】

【技量上昇(小)】【集団行動】



 エルフの森で、手に入れたモンスターである。


 ブラウングリズリーは、ぱっと見茶色い熊だ。


 対してソードディアの場合、角が剣になっている鹿である。


 どちらもDランクモンスターであり、Dランクでも戦闘能力が高い方だろう。


 なのでEランクのコボルトであれば、楽勝だ。


「行け」

「グオォ!」

「ぴゅぅぅい!」


 そして荒野の闇の面々へと、回り込もうとしている個体を狩らせる。


「ウォン!?」

「ギャイン!?」


 思った通り、コボルトは相手では無いようだ。


 それと気になっていたことだが、使役しているモンスターが倒しても正しく計測されるみたいである。


 鑑定してみると、計測数にコボルトが二匹追加されていた。


 一応モンスターとは魔力で繋がっているので、それを辿っているのだろうか?


 まあ、問題なく計測されているならそれでいい。


 あとは複数人で攻撃した場合がどうなるか気になるが、それについてはいずれ分かるだろう。


「凄いモンスターね……」

「わぁ、ブラウングリズリーとソードディアだよ! どちらもDランクモンスターだ!」

「戦ったら、普通に負けそうだな」


 俺の召喚した二匹を見て、三人が驚く。


「周囲の敵は俺に任せて、三人は目の前の敵に集中してくれ」

「それは助かるわ!」

「お願いします!」

「ありがたい限りだ」


 そう言って、俺は三人を狙う邪魔なコボルトたちを狩ることにした。


 また追加で、トーンも召喚しておく。



 種族:トーン(トレント)

 種族特性

【自然治癒力上昇(中)】【硬化】

【エナジードレイン】【身体操作上昇(小)】


 スキル

【樹液生成】【再生】



 しばらくは、この三匹を上手く使っていこう。


 それと俺も剣を抜き、コボルトを狩っていく。


 よし、今は誰も見ていないな?


 俺はトーンの影に隠れた瞬間に、コボルトをカード化する。


 これだけいれば素材の数と測定数が多少合わなくても、そこまで問題にはならないだろう。


 実際魔法で消し飛ばされて、素材の残らないコボルトもいる。


 また使い道があまり思いつかないモンスターだが、十枚ほど集めることにしよう。


 そうして俺は荒野の闇の面々をサポートしながら、コボルトを狩り続けるのだった。


 ◆


 数が多いといっても、所詮はEランクモンスター。


 冒険者たちの活躍により、瞬く間に数を減らしていく。


 それと上位種が気になるが、俺だけ持ち場を離れることは出来ない。


 なので当初は諦めるつもりだったが、ある交渉(・・・・)の結果、俺は上位種を手に入れることにした。


 タイミングを計り、俺は一瞬討伐計測の腕輪をストレージにしまう。


 続いて再度取り出して身につけると、トーンに合図を送る。


 するとトーンは、捕まえていた数匹いたコボルトを遥か上空へと投げた。


 そして合わせるように俺は跳躍すると、緑斬(リョクザン)のウィンドソードで纏めて斬り飛ばす。


 当然目立つ行動だが、おそらく周囲からはパフォーマンスにしか見えないだろう。


 実際そう思われれば、狙い通りである。


 そうして俺は目的が達成出来たことを確信して、地面に着地した。


「凄い跳躍力……私には無理だわ」

「これ、わざわざ跳躍する必要があったのか?」


 ルビスは驚き、ダンリは少し呆れ気味だ。


「なるほど。目だったし、Cランク冒険者の誰かが見ていたかもしれないね。きっといいアピールになったはずだよ」

「なっ!? それじゃあ、ボーボスさんも見ていたのか!?」

「ダンリ、それは分からないよ」


 するとギルスが、そう解釈してくれる。


 低ランクのソロ冒険者が活躍して、上位の冒険者パーティに勧誘されるのは、よくある成り上がりストーリーだ。


 あの跳躍は一瞬だったとはいえ、とても目だっただろう。


 それにあれが意外と難しいことに、気が付いたものがいるかもしれない。


 まずあれほどの跳躍は脚力が相当必要であり、ましてや空中で三匹のモンスターを斬るのは困難だ。


 なのでメンバーが不足しているパーティから、勧誘があってもおかしくはないだろう。


 けれどもまあ、勧誘についてはどうでもいい。


 俺はポケットに収まっているカードをちらりと確認して、笑みを浮かべる。



 種族:ハイコボルト×10枚

 種族特性

【嗅覚上昇(小)】【集団行動】

【悪食】【拳適性】【強打】


 種族:ハイコボルトリーダー×1枚

 種族特性

【嗅覚上昇(中)】【集団行動】

【悪食】【拳適性】【強打】

【連撃】【集団指揮】【威圧】



 そう、この渓谷にいるコボルトの上位種を、俺はカード化していた。


 よし、コボルトの上位種、ゲットだ。


 心の中で喜びながら、何事もなかったかのように狩りを再開する。


 上位種はカード化したかったし、どのみちアレは時間の問題だっただろう。


 なので、仕方がない。


 左側にある渓谷の上を見れば、小さな何かが顔を見せている。


 分かっている。分かっているから顔を出すな。


 その思念を送ると、それは顔を引っ込める。


 とりあえず、あとで言い訳の内容を考えよう。


 さて、コボルト狩りも、そろそろ終わりそうだな。


 数百匹いたコボルトの群れも、残りわずかである。


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