表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
倒したモンスターをカード化!~二重取りスキルで報酬倍増! デミゴッドが行く異世界旅~  作者: 乃神レンガ
第四章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

131/475

128 夜番中に試してみたこと


 さて、この間にできる事をやってみよう。


 俺はできるだけ遠くに、アサシンクロウを十数羽召喚する。


 そして先行させて、モンスターを狩らせる予定だ。


 実のところ、カード化が可能な距離には制限がある。


 視界に入っていれば大抵はカード化可能だが、視界の外だとその範囲が狭くなる感じだ。


 なお他のモンスターの視界を借りたとしても、範囲は伸びない。


 どうやら俺本体の距離や見えている範囲が、大きく関係しているようだ。


 (ゆえ)に今回試すのは、先行させたアサシンクロウにモンスターを倒させて、直線距離で近くなった時にカード化を試すことである。


 寝たふりをした現在であれば、他に集中力を削るものはない。


 この試みが上手く行けば、今後何かに乗って移動する際にも、カード化できるようになるだろう。


 アサシンクロウは飛んで先行できるし、隠密も使える。


 この試みにピッタリのモンスターだ。


 ちなみに今回俺が操作するアサシンクロウは、ユニーク個体のやつである。



 種族:アサシンクロウ

 種族特性

【闇属性適性】【闇属性耐性(小)】

【隠密】【暗殺】【追跡】【警戒】

【ナイトビジョン】


 スキル

【鷹の目】【声真似】【体力上昇(小)】



 遠くを見ることのできる鷹の目があるので、モンスターも見つけやすい。


 すると少しして、まだカード化していないモンスターを発見する。


 生憎(あいにく)アサシンクロウを通じて鑑定を発動できないが、ランクが低いことは分かった。


 見つけたのは、小型犬サイズのモグラである。


 加えて鼻の先端には、ドリルのようなものが付いていた。


 何やら、小さな虫のようなものを食べている。


 どうやらその虫も、モンスターのようだ。


 アリにクモの足をつけたような虫である。


 大きさは、野球ボールくらいだ。


 そこへ、アサシンクロウたちを特攻させる。


 Cランクモンスターの襲撃に成す術もなく、モグラと虫は蹴散(けち)らされた。


 また実験のため、虫モンスターの死骸を一匹アサシンクロウに運ばせる。


 そしてモグラと虫の死骸から直線距離で最も近くなった瞬間、俺はカード化を発動した。


 すると、問題なくカード化に成功する。


 ローブのスキマから、周囲には見えないように確認した。


 

 種族:ドリルモール

 種族特性

【掘削】【触覚感知】

【ドリル強化(小)】


 種族:ソイルバグ

 種族特性

【集団行動】【土再生】



 種族特性からして、EランクとFランクモンスターだろうか。


 ドリルモールは、穴を掘るときに使えそうだ。


 ソイルワームよりも、穴を掘るのが得意な気がする。


 そしてソイルバグだが、こいつは微妙だな。


 土さえあれば再生できるようだが、それだけだ。

 

 一度でソイルバグを十数枚手に入れたが、ここは十枚にまで減らそう。


 ちなみに、ドリルモールは三枚手に入れた。


 あと七枚ほど欲しい。


 そう思いながら、ソイルバグのカードを十枚にまで消し去った。


 さて、ソイルバグはもういらないが、一応実験をしてみるか。


 俺はゲッコー車の進行方向に、ソイルバグの死骸を先ほどのモンスターと同じ距離に配置する。


 なおこの死骸は、先ほどアサシンクロウに運ばせたものだ。


 そして直線距離で一番近くなった瞬間に、カード化を発動させる。


 ふむ。やはりだめか。


 すると思った通り、運ばせたソイルバグの死骸をカード化することは出来なかった。


 制限時間的には問題無いので、おそらく倒した場所と離れたのが問題なのだろう。


 魂的なものが、その場に留まっているからだろうか?


 まあこの結果が分かれば、今は十分だ。


 俺はその後も、アサシンクロウを操ってモンスターを探す。


 あれは確か、道中に襲ってきた奴だな。


 見つけたのは、Eランクのファングハイエナだ。


 このまま進めば、ゲッコー車を見つけて襲ってくるかもしれない。


 ゲッコー車が止められると目的地に着くのが遅れるので、ここで潰しておく。


「ヴウウアウ!?」


 Eランクのファングハイエナでは、Cランクのアサシンクロウの群れに対処できるはずがない。


 結果として俺は、ファングハイエナのカード化に成功する。



 種族:ファングハイエナ

 種族特性

(あぎと)強化(中)】【集団行動】

【悪食】【夜目】



 あまり強くないが、夜中や暗い場所であれば役に立つだろう。


 こいつも、十匹ほど集めておく。


 それからアサシンクロウでモンスターを見つけては、狩っていった。


 残念ながら他に持っていないのは見つけられなかったが、十分にカードが集まる。


 ザコモンスターなら、十枚あれば十分だろう。


 そうして狩りを終えてから時間が過ぎ、俺の夜番が回ってくる。


 ダンリに肩をゆすられた俺は、起きたふりをして瞳を開けた。


「起きたか? 順番だぞ」

「ああ。分かった」


 俺はダンリと入れ替わり、ゲッコー車の出入り口付近に移動する。


 他のパーティの冒険者も、入れ替わった。


 俺と同じ時間に夜番をするのは、男が二人。


 一人は、ローブで顔を隠した斥候風の男。

 

 もう一人は、ダークエルフでは珍しい杖を持った魔法使い風の男だった。


 どちらも無言であり、コミュニケーションは取らない。


 まあこの車内で夜番が会話をすれば、他の休んでいる者たちの眠りを妨げることになるので、当然か。


 そんなことを思いながら暇なので、俺はアサシンクロウを操り邪魔になるモンスターを狩っていく。


 結果として夜番の間、敵の襲撃でゲッコー車が止まることは無かった。


 ◆


 それから朝日が昇り、俺たちは現在とある村にいる。


 薄暗いうちから着いたその村で、出発の夕方まで待たねばならない。


 理由は、ナイトゲッコーが動かなくなってしまったからだ。


 夜行性のナイトゲッコーは地面に穴を掘り、簡易的な寝床を作って眠っている。


 ちなみにこの村にも冒険者ギルドはあるようだが、冒険者の質は低い。


 今回の依頼の目的地からは近いが、それを熟せる冒険者がいないのだろう。


 また宿は冒険者ギルド持ちであり、元々ソロだった俺には個室が与えられた。


 同じパーティとはいえ、今回初めて組んだ者たちを同室にはしないみたいだ。


 何が起こるか分からないし、まあ当然だろう。


 さて、一応夕方までは自由時間だが、何をしようか。


 なお荒野の闇の面々は、少し寝ていくそうだ。


 夜番で睡眠時間が短くなったので、仕方がないだろう。


 それに予定では次の朝くらいに着くみたいなので、今の内に寝ときたいのだと思われる。


 他のパーティも、似たような感じだ。


 それと御者は徹夜だったので、しばらくは起きないと思われる。


 何気に今回の依頼で一番大変なのは、御者の者たちかもしれない。


 そんなことを思いながら、俺は村を歩く。


 土づくりの平屋が並び、子供たちも元気に駆け回っている。


 とても平和そうな村だ。


 しかしこれから向かう北の渓谷が放置されれば、いずれそこからコボルトたちがやって来るかもしれない。


 上位種と数百匹のコボルトの群れが現れれば、こんな小さな村はひとたまりもないだろう。


 だとすれば、今回の依頼は失敗を許されない。


 もしCランク冒険者たちでもダメそうなら、俺が何らかの形で手を出すしかなさそうだ。


 するとその時、偶然一人の少年が俺の視界に入る。


 十歳ほどの少年が、建物の影から他の子供たちを見つめていた。


 うーむ。ハブられているのだろうか?


 そう思っていると、少年の肩に一匹のソイルバグが乗っている事に気が付く。


 体に小さな布が巻かれているので、おそらく使役しているのだろう。


 少年は、テイマーなのだろうか?


 だとすれば、上手くいけば情報収集ができるかもしれない。

  

 失敗したら失敗したで、別に構わなかった。


 俺はそう思うと近くの石で出来たベンチに座り、夜に手に入れたソイルバグを三匹召喚する。


「キィー」

「キキィ」

「キィ?」


 そして生活魔法の土塊で球を作ると、ソイルバグたちに投げ渡す。


 ソイルバグたちは、それをヘディングで交互に打ち合い、落とさないようにする。


 崩れないように魔力で固めているので、土にもかかわらずとても丈夫だ。


 また一見地味な光景だが、周囲から見ればそうではない。


「なんだ?」

「ソイルバグが何かしているぞ!?」

「なんだか可愛いわね」


 珍しい光景に、人が集まってきた。


 すると建物の影に隠れていた少年も気が付き、近寄ってくる。


「わぁ」


 少年はソイルバグを使役しているからか、これが意外に高度な事だと気が付いたみたいだ。


 俺の場合モンスターは絶対服従だし、全感共有で直接操ることもできる。


 普通のテイマーがモンスターに命令するのとは違い、難易度はそこまで高くはないだろう。


 続いて俺は生活魔法の火種を操り、輪を作る。


 それをちょうどいい高さに浮かべ、ソイルバグを飛び込ませた。


「おおっ! 火の輪を飛び越えたぞ!」

「すげえ!」

「よく躾けられているわ!」


 これには周囲も驚き、絶賛する。


 また少年も、目を輝かせた。


 そしてしばらく続けた後にパフォーマンスが終わると、ダークエルフたちは小銭を俺に手渡してくる。


「良い見世物だった!」

「面白かったぜ」

「可愛かったわ!」


 俺からすればはした金だが、こうして得た金銭は金額以上の価値を感じた。


 だがいつも通り二重取りが発動して、二倍に増える。


 今回ばかりはため息が出そうになるが、仕方がない。


 そうしてダークエルフたちが去っていき、俺の目の前には一人の少年が残った。


「あ、あの!」


 すると向こうから、俺に声をかけてくる。


 何も起きなければこちらから声をかけようと思っていたので、ちょうどいい。


「何か用か?」


 俺はそう返事をして、少年の言葉を待つのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ