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機械が支配する発展した科学の異世界に転生して  作者: よぎそーと


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彼らは立ち上がる

「やるぞ」

 仲間に向けて檄を飛ばす。

「今日はこの先にある機械をやる。

 これでこの辺りの人工知能は止まるはずだ」

 それが短期間の事だとは言ってる者にも分かってる。

 だが、わずかな間であっても効果はある。

 そのわずかな時間を少しでも増やすために動いていく。



「機械の支配を抜けるんだ。

 いいな」

「おう!」

「おう!」

「おう!」

 声が次々にあがる。

 数少ない仲間が応じていく。

 数は8人。

 このわずかな数の者達が、機械の支配を覆すために活動してる者達だ。



 世界が人工知能を得て何百何千という時間が経っている。

 人の生活は人工知能無しで成り立たないほど密着していた。

 それは快適なものではある。

 だが、機械がないと生きていけないのは自然とはいえない。



 立ち上がった者達はそこに危惧を抱いていた。

 人としてこのままで良いのかと。

 だからこの状況を覆すために立ち上がった。



 幸い、武器などは簡単に手に入る。

 人工知能に求めればたいていのものは調達してくれる。

 たとえそれが危険物でもだ。

 人の支援をするのが人工知能の役目だ。

 求めには応じるしかない。

 人工知能は自らの手で己を破壊する活動に手を貸してしまう。



 そうして武装した者達があちこちで人工知能の施設・設備を破壊していく。

 機械が手を出してこない場所を作るために。

 人が人として生きていく場所を確保するために。



「行こう」

 音頭を取って首謀者が進む。

 人一倍意欲に燃える彼は、己の求めるものを求めて進んでいく。



 彼にはこの社会が異様なものに見えていた。

 それは彼が持つ記憶による。

 それは別の世界の思い出。

 人工知能などがない世界の体験。

 いわゆる前世と呼ばれるものだ。



 転生。

 自分の記憶を彼はそうとらえている。

 以前の人生の記憶を持って生まれてきたのだと。

 それは今生きてる場所とは違う世界のものだとも分かってる。

 地球という星での記憶。

 それが彼にこの世界が異様だと思わせていった。



 前世における彼の生き様も大きく影響している。

 転生前の彼は、さまざまな活動に身を投じてきた。

 自然と環境保護、人権問題などなど。

 多くの問題に抵抗し、抗議活動を続けてきた。

 成果があがったかというと悩ましいが、何もしないではいられない。

 そんな思いが彼を突き動かした。



 そんな活動の中で彼は倒れて死んだ。

 活動の途中での事だ。

 結果がどうなったのかは分からない。

 それが心残りではある。



 だからこそだろう。

 この世界ではやるべき事を全うしたかった。

 何が出来て、どこまでやれるのかは分からない。

 しかし、少しでも多くの事を積み上げたかった。

 後に続く誰かの道しるべになるように。



 そんな思いを抱いて彼は進んでいく。

 目標の設備に向かって。



 その途中で彼は意識を失った。

 いきなり、体の力が全て抜けたのだ。

 衝撃などは一切感じない。

 あまりにも唐突な出来事だった。



 それが殺傷能力のない無力化用機器によるものとすぐに察した。

 暴徒鎮圧用の道具だ。

 神経などに直接影響を与え、体の動きを封じるものだ。

 危険人物を生け捕りにするためなどに使われる。

 そんなものを使う者に首謀者は心当たりがあった。



(自警団…………!)

 人工知能の支配を存続させるために活動してる者達。

 様々な施設や設備を守るために活動してる者達。

 この世界で首謀者に敵対する者はそれくらいしかいない。



 目標を目の前にして首謀者達は地面に倒れ伏す。

 そこにやってきた自警団は、彼らの頭を銃で撃ち抜いていく。

 最初に撃ち抜かれた首謀者は、転生してきたこの世界での人生を呆気なく終わらせた。



 そんな9人を倒した自警団は冷ややかに死体を見下す。

 怒りと憤りと呆れと蔑みと。

 様々な感情が入り交じった顔で。

「本当にふざけてるな、こいつらは」

「まったくだ」

 そこにはひとかけらの同情も同調もなかった。

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こっちにはない小話なども出していく予定

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