ゆりゆり
百合です
ドジョ子「ギシャァァァァア！！」
オレンジ色のデカい竜。
ギルドが段ボール箱なら、
ドラゴンは大型トラックだ！
ドジョ子「ギシャァァァァア！！」
悲痛！ 叫び！ 飛び散るガラス。
ハリケーンだ！
石造の屋根、ふっ飛んだ。
森林の木々、ふっ飛んだ。
人々も牛も、ふっ飛んだ。
そして王城、ぶっ飛んだ。
ミキサーだ！ ガガガガガー
国王「どうして魔王より、やばいのがうあ〜」
大臣「うあうあ〜」空へ消えた
おぞましい竜の牙。
ドジョ子「ギシャァァァァァ！」
（ゴキブリッ、貴様のせいで、人生めちゃくちゃ
燃え尽きろ、焼け焦げろ、蒸発しろ〜！）
脳「カッ！！！」
心「カッ！！！」
胸「カッ！！！」
【太陽プラズマ流星群！】
でかい竜の舌、オレンジ火球、摂氏5000度
物質を貫通、素粒子レベルで蒸発させる。
ぼーん。
>>>北半球は消滅した。
>>>地球はドロドロになった。
ドォォン！
ヒュー ヒュー （火山弾）
マグマはまるで、竜だ！
姫さまはマグマに棒立ち。低反発に抗えない。
ゴキ女神は……なんとなんと……
▼
◯ドジョ子の過去・竜の里
カッサ、カッサササッサッサ、
カッサ、カッサササ♪
金色の野に降りたつゴキ女神。
ドジョ子「あは、あは、あはははは〜♪」
無邪気な子供
オレンジ髪、ゆらゆらと。
ゴキ女神「ゴキ〜♪」
ドジョ子「キャー！」
逃げられた。
ドジョ子、岩に隠れる。
オレンジ髪が、はみ出てるぞ！
ゴキ女神「ゴ、ゴキ？」カサカサ
ドジョ子「なによあれ」ぶるぶる
（なにあれ無理無理、無理〜
生理的に無理すぎる）
オレンジ髪も、ぷるぷるしてる
ゴキ女神「ゴキー」しょぼん
金色のススキにうまる。
ドジョ子「……」ちらっ
（あれあれあれ、もしかして、いい奴なの？
でもでもでも、無理だよー。）
しーん、2分後
ゴキ女神「ゴキっ」起きた
ドジョ子「ハッ！」顔を見る
（きれい……なんて綺麗な顔、まるで、そう
まるで女神様。神話の愛の女神様）
ゴキ女神、フェードアウト
ドジョ子「あ、待って。待って〜」
（行かないで、話をしようよ、そんな）
ドジョ子「女神さま〜、女神さま〜。うう」
（そっか。女神の試練。あたちの心を試したんだ）
◯現在
ドジョ子「グォ？」
（あれ、胸がふわふわ？）
◯ドジョ子の過去・翌日
ドジョ子「うう、ねむい。はあーーー」
寝不足である。
後悔と罪悪感。もの思いにふける。
昨日と同じ、ススキの林。
ねそべる。大の字。ためいき。はぁー。ぼけー
そして妄想、一人芝居
ドジョ子「ゴキ〜」
ゴキ様が脳にへばりついたのだ。
◯ドジョ子の過去・思春期
ドジョ子「人里に行きたい！」
長老「ダメじゃよ。危険なのじゃ（人類が）」
ドジョ子「なんでさー！ あたち頑張るよ」
長老「よいかドジョ子、過去に一度だけ、
うんたらかんたら（長話の予感）」
ドジョ子「やだー！ やだったらやだ！」
長老「ドジョ子ォ！」
ドジョ子「なんでこんな、こんな、
クソ田舎に引きこもるのさ！
ありえない。あたち都会に行く！」
長老「この分からずや！
ドジョ子「うおおおお【カイザードラゴン】」
長老「血迷ったか！ おおい皆のもの」
囲まれた、男どもに
ドガ、バキ、ゴツン
◯地下牢
鎖ジャラジャラ
ドジョ子の生足、冷たい床。
ホットパンツ、フリル。
ドジョ子「むぅむぅむぅ」
脳『イライラ』
胸『イライラ』
心臓『イライラ』
いつもの一人芝居、スタート！
ドジョ子「あぁゴキさま、ゴキさま、
あたちはダメな子です。
里のみんなに、迷惑かけてます
▼
ドジョ子「ゴキ〜」女神の真似
▼
ドジョ子「うん、うん。そうね。
かわいい子には、旅をさせろ。
なら仕方ないね」
▼
ドジョ子「ゴキ〜」
▼
ドジョ子「おかしいのは、里の大人ちね
そうよそうよ。」
ゴキ女神「ゴキ〜」
ドジョ子「ゴキ〜……え？」
目の前、女神の瞳
魅惑の、女神の瞳
宇宙の、女神の瞳
ゴキ女神「ゴキ！」
女神の手、ドジョ子のほっぺ、スベスベスベ
綺麗な手、ほっぺたくるくる、むにむにむに
ドジョ子「あう、あうあ？」
ゴキ女神「ゴ〜キ♪」
ドジョ子「な、ななななにさ、」
ゴキ女神「ゴ！」ハグ
ドジョ子「はうう！？」
（顔：なんという母性、やわらかい。
こんなの初めて、いや赤ちゃんの、
これは危ない、あぶないが危険……）
脳『ほんわか』
心臓『ほんわか』
胸『ほんわか、じんじんじーん』
ドジョ子「ほわわーん」
黒いのに包まれるドジョ子。
女神は魅力もチートなのだ。ゴキ脚さえ見なければ。
ドジョ子「ゴキさま〜」ハグ！
ゴキ女神「ゴキッ！」
胸『むに』
胸『むに』
満面の笑み×２
この後めちゃくちゃ励まされた。
▼
そして、死ぬ気で、反対を押し切り
一カ月、いや二ヶ月、まだ三ヶ月、
がんばる半年、まだまだ一年、
そしてそしての二年もかけて、
ようやく念願の人里へ。ゴー！
▼
◯人間の街
ドジョ子「わーい楽しいなー」
ギルド
笑顔のおじさんたち
親切な受付嬢
ドジョ子「冒険者になるー」
ダンジョン攻略
クリスタルゴーレムを砕いたぞ
マッピングが下手くそなのはいい思い出
酒盛りだー！
ドジョ子「わーい」
夜、安めの宿
今日は色々あったなー
興奮で寝られないやー
ドジョ子「あはぁ、楽しかったなー」
やすいベッド。でも満足。
カサカサ
ドジョ子「ゴキさま！」ワクワク
ただのゴキブリ
ドジョ子「イィィヤァァァァァーーーッ！！」
ドカァァァァァァン
◯クレーター・人間の街跡地
まるで隕石の跡。
ドジョ子「……」
目が死んだ魚。
一夜にして水泡。
記憶がどっどど
ドジョ子「う、うう、うわーん！」
泣いた！
泣いた泣いたの、水たまりだ！
それ一時間後には、湖だ！
それでも泣いて、川になる。
塩味の大河だ。
ドジョ子「ああー、うあああーー、あー
ああーーー、があああーー
う、う、あああーーーーー」
背後に黒光り！
ゴキ女神「ゴキ」
ドジョ子「ヒッ…ゴキさま？ ゴキさまぁぁ〜」
鼻水『ずびゃ』
ゴキ女神「ゴキ〜」ナデナデ
ドジョ子「ふえーん、ふえぇん、辛いよ、悲しいよ、うあーん」
女神のもち肌
漆黒のゴキ羽衣
ドジョ子の顔面が、ぽにょり。
ゴキ女神「ゴキ、ゴキ」ナデナデ
ドジョ子「あう、あう、あふぅ、うー、うー
あー、うー、あー、うー、あふぅ」
収まった！
月は天高く広く、瞳に月は狭い。
そして
朝日が山脈を切り裂いたッ！
ゴキ女神「ゴキ〜」
ドジョ子「え、待って、行かないで、お願い、もっと」
ゴキ女神「ゴキー」
ドジョ子「え、100年！ そんな、ひどい、待てない」
ゴキ女神「ゴキゴキ〜」
ドジョ子「未来、結婚式、なんのこと、分からない、あぁ待って」
ゴキ女神「ゴキブリ！」
ピカーン！ カサカサ
ドジョ子「ゴキ様ぁぁぁ〜〜！」
どっッと上昇気流
ドジョ子「あたし、待ってるから〜。
100年間ずっと、待ってるから〜！」
☀️
◯そして現在・冒険者ギルド上空
ゴキ女神「ゴキ！」にっこり
ドジョ子「はうぅ！？」ズキューン❤︎
雲の上、向き合う２人。
黒の美人と、オレンジの髪。
（どうして、愛があふれるの？
あんなに、殺意に満ちていたのに、
その前に、北半球は？
惑星が元に戻ってる！）
女神だから。
ゴキ女神「ゴキゴキ〜」だっこ
ドジョ子「はうあッ、だめぇ、
ゴキブリは、ぶっころ……あ゛ッ！？」
記憶が来るッ！
ゴキさま〜
ゴキ〜
ゴキさま〜
カサカサ
ゴキゴキ〜
ゴキブリ
待ってるから〜
ドカァァァン
どっッと
ドジョ子「ゴキさま！ ゴキさま〜！！
う、うわーん、会いたかった〜」ぐすん
ゴキ女神「ゴキゴキー」ナデナデ
ゆりゆり
ドジョ子「好き好き大好き、ゴキ様だいすき
この世でいちばん、だーいすき❤︎」ちゅっ
ゴキ女神「ゴキッ！？」ぽっ
過去改変は、おそろしいのである。
◯冒険者ギルド
ドジョ子「私、受付嬢やめます！」
ゴキ女神「」にっこり
ゆりゆり ゆりゆり
冒険者「おめでとう」
冒険者「おめでとう」
冒険者「おめでとう」
転生勇者「おめでとう」
ドジョ子「ありがとー！」
ゴキ女神「ゴキー！」
ドジョ子「じゃ、行こっか」
ゴキ女神「ゴキー」
瞳を見つめて、
両手をからめて、
ゴキ脚もからめ、
すーーーー……等速直線運動！
ふとももが、雲の中へスッと。
▼
低反発ゴキ幼女「……」ぽとり
姫さま「うーん？」
低反発の呪縛、解除！
冒険者「おめでとう」
冒険者「おめでとう」
冒険者「おめでとう」
転生勇者「おめでとう」
姫さま「なにこれ」
顔が奇妙に並んでいる。
ふと足元から、カサカサカサ
ゴキ幼女「……」カサカサ
姫さま「キャーー！」
百合はいいぞ
