第二回イラスト交換企画に参加させて頂きました!
長岡更紗さんが企画・運営する「イラスト交換企画(2020年秋)」に今年も参加させて頂きました!
そのイラスト作成レポート(エッセイ)です。
今回、描かせて頂いたのはカーティス・クレイ。
主要キャラクターの中から選ばせて頂けたので『大好きな神官系』で『神官服の設定がある』カーティスに決めました。
カーティスが登場する小説はこちら。
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「私に世界は救えません!」通称:わたせか(星影さき様作)
https://ncode.syosetu.com/n3363dn/
世界の生贄に定められた少女と、盗賊の青年が出会う、王道の海洋冒険ラブファンタジー。
現在は挿絵を作成されています(連載中)
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カーティスは唯一の宗教である『ネラ教』最高位の大神皇。
穏やかさと威厳を兼ね備えた “聖職者の顔” と、ミステリアスな “裏の顔” を持つイケメンの――――悪役なのです。
角川スニーカー文庫の『ロードス島戦記』でいえば
大地母神の愛娘・ニース(大ニース)に、至高神の神官王・エトを足して割らないような権力があると思われます。※1
言葉ひとつで世界を揺るがす存在です。
若い彼(三十歳ぐらい)が、どのようにしてその地位に上り詰めたのか。彼の心はどこにあって、何を求めているのか。興味津々なのです。
※1 ロードス島内のみで考えております。アレクラスト大陸等は詳しく知らないので。
さてさて
昨年はブランクありの状態で、アナログ+デジタルで描かせて頂きましたが、今年の私は違います。
CLIP STUDIO PAINT(通称クリスタ)をGetして、ペンタブでそれなりにお絵かきしてきました。キネコンのイラスト部門に参加して爆死も経験しております。
(゜∀゜) < デジタル絵の処理技術は上がってるハズ!
(゜∀゜) < よっしゃ! 練習ナシでいきなり描くぜ!
そんな風に思ってました。
とはいえ画力そのものは上がってませんから、素で描くとパースとかデッサンの類(ようするに人体のバランス)が狂います。
でもでも、今は万能ツールのインターネットがあるから!
写真をざっくりトレースするんだぜ!
(※著作権を意識して『元がわからないように使う』のを心がけています)
●まずはトレースから
なかなかいいポーズの写真が見つからなくて、二枚の写真を合成してトレースしました。
ネット上に上がっている画像(写真)って、二十年ぐらい前に比べて増えているのですが、点数が多い分、ジャストなものを見つけるのが大変です。
文章にしても、広告を貼り付けた情報サイトが多くて『本当に欲しい正確な情報』を探すのが難しかったり。
無料のWEBは便利でありがたい。
でもやっぱり紙の本(資料)は尊いなぁと思います。
●頭の中で立体を構築する難しさ
雨音さんのエッセイ(N6469GJ)でパース定規のすごさを知った私は、夢中になって定規をいじりました。
アイレベルは良くわからない……。
分からなくても死なないからいっか☆
(取扱説明書は『必要になれば読む派』です)
※この時点で「座面と人体がズレてる」事に気づく方もいると思います。
私はわかりませんでした!!!
気づいたのは色をつけてからでした(TдT)
●ベクターレイヤーを本格的に使ってみる
実は私、キネコンに参加するまで
クリスタの特徴ともいえる「ベクターレイヤー」を、あんまり使ってこなかったのです。
ベクターで描いてもすぐに通常レイヤー化したりして。
今回は輪郭線のすべてにベクターレイヤーを使ってみました。
●椅子のデザインを変更する
玉座っぽいものから、紅茶が似合いそうなアンティーク風の椅子に変えることにしました。
それに伴って座面全体も広くして、お尻側が狭まったデザインに。
丸い背板に合うよう、自由変形などをつかって雪の結晶の飾り部分をゆがませます。
手すりの形を悩んでネットで写真を漁りましたが、いいものが見つからず。
書き出し祭りが始まる前に、椅子の線画だけでも終わらせたかったので、えいやっと線を引いて、なんとか形になりました。
●人物の体を修正
背板の形が変わった(おそらく角度も変わってる)ことで、椅子と人体のズレに気づいた私。
気づいたこと自体はよかったのです。
ですが椅子と人体ではなく、上半身と下半身のズレのほうに集中してしまいました。
(元の写真は、複数の写真を合成したものだから違和感があったのでしょう)
●ここまではよかった(誤:大新皇 → 正:大神皇)
カーティスの肉体のアタリを青い線でとりました。(カップを持っている左腕の向きに注目)
●やらかしポイント
ここの左腕の線画。痛恨のミスです。
輪郭線の下書きを何度か描いているうちに『袖口の向きがハッキリ分かる赤い線のレイヤー』を捨ててしまったのですね。
そのせいで左腕の向きが『体の前に自然に出している』 → 『右胸に当てるような感じ』に変わってしまいました。
パーツを拡大して描くことが出来る『デジタルにありがちな罠』です。
全体を把握しやすいアナログだったら、下書き線を消してしまった場合でも、こんなミスはそうそう無い筈。
(技術的に描けないから故意に変える、ってのはありますが)
時々縮小してバランスを確認していたのですが、もっと丁寧に冷静に見ないとダメですね……(TдT)くうっ。
●線を直す
このへんは「ベクターレイヤーすごーい! もしかして私は、クリスタを使いこなしている!?」って浮かれてますね。
途中経過の画像を保存しておいてよかったです。
さっきの痛恨のミスも「なんでこんな左腕になったんだ?」ってずっと悩んでましたから。
こうしてエッセイにまとめて、ようやく気づけたのです。
●顔を描く
カーティスの顔バランス(目や鼻などの配置)は、私の素の絵に比べると、鼻筋が長めで、小鼻が控えめ。品が良いのです。
目と眉毛の上下の間隔も少しせまくて、黒目がち。眉間も広くはなく、知的な印象です。
どこまで元絵に似せられるか挑戦したかったのですが、目元・アゴの線はどうしても自分の線に寄ってしまいました。
●表情を変更
なお用紙サイズはA4の144dpiからスタートしました。後に余白を切断。
輪郭線は、太いところで3.0、細いところは1.0(ごくごくたまに0.7)です。
●アラ探しのターン
私は神官服が好きです。マニアではありませんが。
ルイス(わたせかの神官キャラ)ではなく、カーティスを選んだ理由も衣装にあります。
大神皇の衣装は、信心深い職人たちが作ったに違いない。
良いものを。
より良いものを。
無心で糸を撚り、心を込めて布を織り、丁寧に裁断して縫い合わせ、ひと針ひと針、ネラの教えを口ずさみながら刺繍するのでしょう。
その場面を想像するだけでもワクワクします。職人万歳!
●確認用イラスト
デザインが確定しているキャラクターを描く場合、確認用のイラストは送らない派の私です。
無精者ですみません(;^ω^)
ですが今回は文字等も入れたかったので、星影さんに確認して頂きました。
ありがとうございます!
●書体を飾ってみる
クリスタは、その価格を考えると超優秀なソフトなのですが、字詰め等が無いのが惜しいんですよね。
文字のくっつきを解消したい場合は、画像化して文字部分を囲んで選択。ちょちょっと移動させて切り分けて、欠けた部分は手で塗って、バランスを整えます。
(一文字ずつスペースを入れてラスタライズ → 文字を寄せて整える……でも同じことです)
その文字部分のみをキレイに選択したい訳ですが、私はクリスタの万能ツールを把握しきれていないので
「文字をクリックする」か
「文字の外側をクリック → 反転する」の方法しか知りません。
ともかく文字部分を選択できたら、選択範囲を拡張します。
書体はそのままでも十分美しい。眺めているだけでうっとりします。でも目立たせたいときはフチをつけて、影をつける。
それだけで少し印象が変わりますよね。
紙媒体の白黒原稿では、文字にも図形にもよく使われる小ワザです。
フチが黒くて中が白い場合=袋文字、とも。
やりすぎるとくどいですが、二重三重と袋をかける人もいます。
影を複数重ねて、少しずつズラして、色や濃度をグラデーションさせても面白いですよ。
●書体の周辺も飾る
クリスタはグラデーションがきれいですから、グラデーションで。
(グラデーションを入れておけば『今風っぽく見える』というのもある)
DTPはDeskTop Publishing。印刷物の原稿を作る仕事です。
紙媒体は減っていくとしても、WEBだって画像(タイトル・図形・イラスト・写真・広告)が必要ですから、仕事自体はなくならない筈。
写真の色調整ができると尚いいですが、今はソフトが優秀だから要らない技術かもしれません。(私は「なんちゃって程度」しか調整できませんでした)
●本塗り前の影
星影さんのイラストを拝見しますと、影が二層になっているようです。
あの柔らかくて優しい塗り方を、うまく真似できたらいいなあと試してみることにしました。
衣装ごとに影の色も変わる(セル画の着色に近い?)ため、影つけラインがどこになるのかを把握する必要があります。
前回は影で失敗しておりますので、少しは成長したところを見せたい。
そんな欲もあって、最後の仕上げにかける『全体の影』を、先につけます。
私は影を足していくのではなく、ベタ塗りした影を削っていくやり方。スクリーントーンをカッターで削っていく感じです。
●全体影のベース色変更
小豆色だった全体影を、いつもの紫色系に変更。
ブルーベースの肌に見え……るかな。
白い衣装だから、光の反射も考えるべきでした。後から気づくのは切ないですが、全く気づかないよりいいですよね(遠い目)
●ベクターレイヤーの線がガビガビ問題
イケメンの条件=涙袋。
そんな記事をネットで見つけたので、カーティスに涙袋をつけてみました。
なろう上のサイズではほぼ見えません。
無意味だったかもしれない。くっ。
この頃は毎夜、歯磨きしながら自分の絵を眺めてチェックしておりました。
それで思うのです。
「私の絵って、なんでこう線がガビガビなんだろう」と。
もしや、ベクターレイヤー特化型アナログペンの『境目のぼけ』設定がおかしいのでは……? とか思っていたら、操作ツールのプロパティで『ブラシ形状』が変更できることに気づきました。
そりゃもう、驚愕しましたとも。
「ベクター線の色が変えられなかった理由は、これかーい!」
公式ガイドブックには『透明色で修正するやり方もある』と書かれていました。
なんやて!? Σ/(^o^)\
キレイに消せる消しゴムはベクター用しかないじゃん……と思っていたら!
くっ、次回試してみます!
●線のプロパティをいじる
さて、そんな訳で……今まで引いてきた輪郭線を、全てチェックすることになりました。
ブラシ形状をかえたら黒一色だった線が、青になったり、ピンクになったり、白になったりしましてですね……。私がしつこくスポイトした色情報を、ベクター線たちは持ち続けていたのですね。なんともいじらしいことです。
ちくしょう(本音)
面倒臭いので、ラスタライズ → 色相変更しようかとも思いましたが、ベクターのまま黒に戻すというコマコマした作業をやりました。
もう、同じ轍は踏みませんっ…… (TдT)
ついでに線のゆがみを直したり、納得いかない線を消して引き直したり。
独立点(仲間とはぐれた線のカケラ)をみつけて除去したり。
今回のイラスト、絵としては固くて面白みに欠けますが、『仕上げ』という点では、かなーり良く出来たと思います。
左腕の角度や、体の向きはおかしいですけど。
でも頑張った!
●完成
ライトグレーでのっぺりしていた背景を、紺系に変更しました。上半分には強めブラシで黒を入れてボカして……。
カーティスの赤い髪や神官服がくっきり出たと思います。
「星影さんのお好きにつかってどうぞ」と入れたのは、今後発生するかもしれない手間をはぶくため。
どんな経緯で誰が描いたのか分かれば、説明もいらないし合理的かなぁと考える無精者です(;^ω^)
そんなわけで完成です!
これでゴールです!
おつかれさまでした~!
今回も企画をしてくださった長岡更紗様に感謝を。
カーティスの創作者である星影さき様にも感謝です。
ありがとうございました! \(^o^)/