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皇国召喚 ~壬午の大転移~(己亥の大移行)  作者: 303 ◆CFYEo93rhU
番外編
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番外編05『イルフェス王国での休暇』

 皇国ほどではないが火山の多いイルフェス王国では、温泉が湧き出る土地が何箇所かある。

 その中で、首都のシュフから北西に30km程行ったアールヴィスには、イルフェス王国の王立温泉がある。

 元は王家のために設立されたものだが、今では一般にも開放されているため、休みの日などは特に賑わう。

 そんな王立温泉に、いつもとは違う団体客がいた。


「まさか、こんな異世界の地で温泉に入れるとは思わなかった」

「ああ、驚きだな。今日1日だけとはいえ、こんな立派な建物で温泉三昧なんて最高だ」

 客の正体は皇国陸軍の西大陸派遣軍の兵士である。今日1日は某連隊の貸切であり、士官や下士官は既に風呂を済ませている。


 平日だというのに軍人がのんびりと温泉に入っている理由は、イルフェス駐留の派遣軍に、1週間の休暇が与えられたためだ。

 1週間といっても、連隊ごとに交代で休みを取るので1人あたりの休みは1日。

 しかしそれだけでも、激務に疲労した将兵にとってはありがたいものだった。

 何せ、ここ1ヶ月ほどはずっと働き詰めだったのだから。


 強敵と戦うという事こそ無かったが、何しろ派遣軍は数が少ないため、後方支援部隊が少なく、基地の設営から防御陣地の構築、警備任務、補給任務など、全部持ち回りで一般歩兵がやらねばならなかった。


 海上の巡洋艦には全権大使が乗ってはいたが、小さな交渉事であれば上級将校が外交官として立ち回らねばならないことも多かった。

 海軍に比べて海外での活動機会のない陸軍であるから、外国で外国人との交渉というのは体力以上に気力を消耗し、連隊長級の将校は皆戦闘よりこちらの方が疲れると愚痴っていた。


 であるから、温泉宿での休養は派遣軍の将軍さえも大喜びで、子供のようにはしゃいだという。


「温泉に酒にメシに、いいのかな……こんな贅沢して」

「いいんだよ。連隊長も言ってただろ、今日だけは羽目を外していいって」

「まあ、俺達はそれだけの仕事をしたってことだ」

「そうそう、何せ敵軍の主力を一網打尽だからな」


 短いながらも休暇を楽しんだ皇国軍将兵達の夜は更けていった。

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