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皇国召喚 ~壬午の大転移~(己亥の大移行)  作者: 303 ◆CFYEo93rhU
番外編
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番外編04『射撃演習場』

 射撃演習場に、乾いた破裂音がこだまする。

「……命中! ……命中! ……命中! ……命中! ……命中!」


 合計5回、それで破裂音は止んだ。

 臨席しているイルフェス王国の将校は皆一様に真っ青である。


 それはそうだろう。

 100m(半シウス)先の直径30cm(1/4ロシル)の円形の的に、小銃弾が全部命中したのだから。


 イルフェス王国軍の制式銃では、どんなに優秀な狙撃手でも、100mでは2、3発の命中がいいところだろう。

 ライフルではないから弾丸の行き先は神のみぞ知るようなもので、1発も命中しない可能性もある。


 しかも、イルフェス軍の小銃は前装単発式。

 射撃速度は1分間に2発が標準で、どんなに頑張っても1分間に4、5発が精々だ。


 一度の装填で5発を連続発射できる皇国軍の小銃とは発射速度に雲泥の差がある。

 事実、皇国軍の小銃5発全部撃ち終わるのに30秒とかかっていない。


 今回、この演習に借り出されたのは皇国軍の上等兵であったが、特別に優秀な狙撃手というわけではない。分隊狙撃手としては中の上といった程度の技量だ。


「いかがですか、我が軍の銃の性能は」

「全くもってお見事です。このような銃があるとは……」

「本国では10万丁の小銃を用意しています」

「10万丁……ですと?」

「はい」

「それは凄い」


 イルフェス軍将校が納得したところで、皇国軍将校が話の核心を切り出す。

「規律があり訓練の行き届いたイルフェス王国の兵士であれば、我が軍の小銃を扱う事も容易いでしょう」

「……つまり、売却していただけるので?」

「銃と弾薬100発分、訓練費用等含めて1丁あたり50リルス程度であれば……」

「50リルス!? それは幾らなんでも……」

 ふっかけすぎでしょう?


 しかし皇国軍将校は強気だ。

「あなた方のマスケットの本体価格が2.8リルス。弾薬は別です。我が軍の小銃と弾薬、それに訓練等の整備、指導料込みで50リルスなら、適正価格だと思いますが?」

「うむ……」

「我が軍の小銃であれば、親衛隊のジリール銃と比べても戦力的に10倍以上の能力を歩兵に与える事が出来ます」

「そうですな……」

「同盟国であるからこそ、この価格で提供可能なのですよ。是非、ご検討下さい」

「わかりました……検討致しましょう」


 皇国が輸入を求める大量の食糧の対価として、現金ではなくスクラップ予定の中古兵器を売るという方法は、この後も暫く行われる事になる。

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[良い点] 繰り返し活かそう、限りある資源!  中略  皆様のご理解ある御協力、誠にありがとうございます! [気になる点] 交換部品や消耗品は、簡単に量産できても、小銃本体の口腔にライフリングを刻みつ…
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