番外編00『皇国召喚』設定資料集
本作の簡単な設定資料集を作りました。
本編のネタバレを少しだけ含みますが、特に重大なネタバレはありません。
【皇国について】
史実の日本(大日本帝国)と似ているようで全く違う歴史を歩んできた国。
1940年頃の段階で史実の大日本帝国の数倍から数十倍の国力を持つ。
転移した範囲は現代日本の領土と千島列島の全て(樺太は転移せず)。
【神賜島について】
皇国が転移したのとほぼ同時期に、この世界に転移した島。
周囲の海底も含め、あらゆる天然資源がほぼ無尽蔵に埋蔵されている。
元々、この海域に目ぼしい島や陸地は存在しなかった。
【皇国が転移した異世界について】
太陽を中心とする恒星系の形、惑星の重力加速度や大気組成などは現実の地球と同じ。星空も全く同じ。
魔法といった要素はなく、エルフやドワーフ、獣人や魔族などのヒト以外の知的生命体はいない。
『陸地や海洋の形状、生物だけが現実の地球と違う、元世界の地球に酷似した惑星』
【長さ】
・シクル ≒ 2cm
・ロシル ≒ 1.2m
・シンク ≒ 2m
・シウス ≒ 200m
・マシル ≒ 1.2km
・シリル ≒ 4.8km
※作中よく使われる単位はシウス、時々マシル。
軍用飛竜の全長が8ロシルまたは10シンク前後。
一般的なマスケット銃の射程は1/2シウス。十分な命中率を得るならば1/4シウス。
一般的な野砲や艦砲の射程は2~3シウス。砲弾の飛翔距離は1マシル以上。
【質量(重量)】
・バリアン ≒ 5mg
・バルン ≒ 5g
・バルツ ≒ 5kg
・バルマ ≒ 5t
※作中よく使われる単位はバルツ、時々バルマ。
軍用飛竜の体重が3/4バルマ前後。
一般的なマスケット銃弾は3.5~8.5バルンの鉛球。
野砲の砲弾重量は1/4~1バルツ。
戦列艦の艦載砲の砲弾重量は2~4バルツ。
フリゲート艦の艦載砲の砲弾重量は1~2バルツ。
コルベット艦やスループ艦の艦載砲の砲弾重量は1/2~1バルツ。
艦載旋回砲の砲弾重量は1/8~1/4バルツ。
大型戦列艦の排水量は500バルマ以上。
【通貨と経済圏】
・リルス経済圏
ユラ神国、リンド王国、イルフェス王国、オレス王国、リロ王国など環大内洋地域で主に通用するリルス金貨を基軸とする経済圏。
この世界では最も多くの地域で有用で、扱われる金額も多いので、影響力も強い。
・ワール経済圏
東大陸の東部から北東部地域で主に通用するワール金貨を基軸とする経済圏。
この経済圏の中心的な列強国、大国はマルロー王国、アナーフ王国など。
・デュカ経済圏
西大陸の西部から南西部地域で主に通用するデュカ金貨を基軸とする経済圏。
この経済圏の中心的な列強国、大国はライランス王国、フェルリア王国など。
【異世界の主な武器・兵器】
===陸===
・マスケット銃
口径3/4シクルから1シクル程度の球形弾を発射する、フリントロック式のマスケット。
小銃、歩兵銃と呼ばれるもので、殆どのモデルでソケット式の銃剣を装着可能。
ライフルマスケットは無い。
・擲弾
導火線の付いた砲丸状の手投げ爆弾。
射程がとても短いので、戦列歩兵の弾幕に容易に返り討ちに遭う。
不意打ちで使うか、犠牲を覚悟で使うか、追撃戦や攻城戦など限定的な場面で使われる。
導火線に着火しつつ射出するフリントロック式の擲弾銃もあるが、実戦で使われる事は稀。
・野砲
砲車に載せられた大砲。数頭の馬や驢馬、地竜によって牽引される。
野戦(機動戦)で使用する為に軽量に作られており、通常1/4バルツ砲や1/2バルツ砲がよく用いられ、1バルツ砲が最大級である。
通常用いられるのは球形弾(砲丸)、葡萄弾、散弾であり、榴弾(炸裂弾)は1バルツ砲で限られた場面のみ使われる。
・ロケット弾
コングリーヴロケットと呼ばれるものに類似した火薬兵器。
この世界では対地用としても対空用としても使われており、兼用弾もある。
===海===
・艦砲/長砲
カノン砲やカルバリン砲などと呼ばれるものと同様の、長砲身の大砲。
主力艦(戦列艦、フリゲート艦)の備砲といえば通常この類のみを指し、それ以外の備砲は補助砲扱いとして「○門艦」の門数には数えない。
適切な量の火薬を装填すれば砲弾は2~3マシルは飛ぶが、安定した命中率を得られる距離は1マシルも無い。
戦列艦を中心とした砲戦は1シウス以内で行われる事もしばしばとなる。
大型砲:3~4バルツ
中型砲:1~2バルツ
小型砲:1バルツ以下
・カロネード砲
大口径で短砲身かつ軽量だが、4~6バルツ程度の重量級の砲弾を撃てる大砲。
代償に射程が犠牲となっており、接近戦で用いられる。
カロネード砲のみで武装した艦も存在する。
・旋回砲
艦首楼甲板、舷側上、艦尾楼甲板などの空きスペースに設置される対人用の小型砲。
その名のとおり旋回する台座に据え付けられており、軽量な事もあって小回りが利く。
接舷切込み戦で散弾を撃ったり、長砲を使うまでもないような小舟に対して使われる。
数人で運搬可能なので、艦から下ろして使われる事もある。
・追撃砲/迎撃砲
艦砲は舷側に横向きに設置されるので、前方や後方に向けて攻撃する為、艦首楼や艦尾楼に設置されている大砲。
中型や小型の長砲が用いられる。
小型フリゲートやそれ以下の規模の艦では専用の砲は置かず、艦首側や艦尾側に置かれている横向きの砲を必要な時に操員が向き直して使う。
・対空砲
艦首楼甲板や最上甲板に設置され、飛竜迎撃に用いられる小型の長砲。
仰角を高くするため、通常の対艦砲とは異なる専用の砲座が用いられる。
対空用としては葡萄弾や散弾(キャニスター弾)などを用いる。
用途から砲座は旋回式だが、上記の旋回砲には数えない。
・対空ロケット弾
旋回台座に単発または連発式のロケットランチャーを配置したもの。
弾頭は炸裂弾なので、直撃しなくても飛竜を殺傷可能。
対空砲より軽量で長射程、瞬間的に濃密な弾幕を形成出来るが持続的な対空戦闘は出来ない。
フリゲート艦より小型の艦艇、カッターやギグのような手漕ぎボートにも搭載可能な利便性は、対空砲には無い特長となる。
対空脅威がある世界なので、対地ロケット弾より対空ロケット弾が優先的に積載される。
・戦列艦
三本マスト、二層ないし三層の砲列甲板に、60門から100門程度の大型から中型の長砲を主に装備した戦闘艦。
地球世界の同規模のものと比べて備砲数がやや少ないのは、対空砲などがある為。
・フリゲート艦
三本マスト、一層の砲列甲板に20門から40門程度の中型から小型の長砲を主に装備した戦闘艦。
砲列甲板が二層(部分的に二層となっている一層半)の重フリゲートもある。
フリゲートに満たない規模の艦にはコルベットやスループなどがある。
・飛竜母艦
一等戦列艦と同等かそれ以上の大型船体に、砲甲板の代わりに飛竜舎甲板を設け、10頭から20頭程度の飛竜を載せて戦闘運用する専門の艦。
艦内スペースと発着艦スペース確保の為、フォアマストもしくはメインマストが無いなど、船としては歪な形をしており、速力や旋回性能は劣悪。
固有の武装も少数の長砲、対空砲(対空ロケット弾)と旋回砲を持つのみで、対艦戦闘力は皆無。
飛竜母艦に配備される飛竜は、閉所や船酔いに慣らして専門に訓練された「海軍機」である。
===空===
・飛竜用擲弾
飛竜騎士(飛竜兵)が使う航空爆弾。
基本的には歩兵が使う擲弾と同様のものだが、高度に応じて炸裂までの時間を調定出来るように導火線が長く作られており、起爆秒数に応じた目盛が付いている。
飛竜具に速度計や高度計など無いので、対地速度や高度の計測は飛竜騎士の勘と経験である。
・気球
薪や木炭などを燃料とする熱気球。
運動性や即応性に乏しい為に野戦では使われず、攻城戦での防衛側が物見櫓や阻塞気球として使う事がある。
この世界の気球は熱気球が主流だが、ガス気球も存在する。
ガス気球の場合は亜鉛や鉄と希硫酸の化学反応により得られる水素を用いる。
水素は貯蔵出来ず、使用の度に水素ガスを発生させなければならない。また希硫酸も大量生産や大量貯蔵は難しい。
その為、軍用には丈夫な球皮と熱源さえあればよい熱気球が使われる。
【主要国家】
基本的には皇国が転移する直前の情勢です。
・列強国
特に国力が大きく、大陸規模で大きな影響力のある国。
・準列強国
国土面積、人口、経済力、軍事力などの要素が足りず列強国には数えられないが、列強国に準ずる影響力のある国。
・大国
列強国と準列強国を纏めて大国と呼ぶ。
・超大国
列強国をも凌駕する国力を持つ国。神話や伝説に登場する古代国家がそうではないかと言われている。
===西大陸===
かつては独自の文化圏だったが、東大陸との交流の活発化により東大陸風(皇国の居た地球世界でいう西欧風)の文化が支配的になった。
現代の列強国や大国の特に上流階級は、東大陸のそれと見分けがつかない程に東大陸風の文化を営んでいる。
大外洋側や未開地には古来の土着文化が残る地域もある。
・イルフェス王国
大陸東部の列強国。
首都は大内洋に面するシュフ。
国土の大部分が肥沃な農業国で、特にライランス王国との国境に近い南部地域は西大陸最大の穀倉地帯があり、西大陸内だけでなくオレス王国にも相当量の食料を輸出している。
・ライランス王国
大陸南東部の列強国。
首都は大内洋に面するコレィ。
イルフェス王国とは長年、西大陸の覇権を争う仲である。
===東大陸===
この世界の文化の中心地域。
数百年前に起きた北方民族の南下と、それに伴う民族の浄化や同化により、文化の均質性が非常に高い。
それでも、大国が価値を見出さない未開地には古来の土着文化が残り、細々と自給自足の生活を営む民族も居る。
・ユラ神国
大陸西部の列強国。
首都は大内洋に面するユラ。
創造神ユラを祀る神殿があるユラ教の総本山であり宗教国家であるが、いわゆる宗教色は弱めで、良くも悪くも世俗的。
いわゆる僧兵に相当する宗教騎士団から発展した国軍を持ち、質においてはリンド王国に匹敵する精強さを誇る。
どちらかと言えば少数精鋭の軍隊を志向していたが、リンド王国の軍拡に付き合わされる形で軍の規模を拡大している。
ユラ神国より南の東大陸南部地域は温暖で米の生産に適しており、米食文化の地域が広がる。
・リンド王国
大陸北西部の列強国。
首都は国土のほぼ中央に位置するベルグ。
軍事力(特に陸軍と空軍)で言えば東大陸筆頭。東西両大陸含めた既知の文明圏でも自他共に認める軍事強国。
元々、技術力に優れ強兵の多い国柄だったが、近年の大軍拡に必要な資金を得る為に侵略的野心を隠そうともしなくなった。
かつて飢饉が頻発していた時代に当時の王の勅令によりジャガイモ料理が普及し、世界最大のジャガイモ生産国となっている。
・リア公国
大陸西部の国。
首都はヴュカース。
リンド王国リア公爵領だったものが、約半世紀前にユラ神国他の承認によって独立して誕生した比較的新しい国。
・マルロー王国
大陸北東部の列強国。
首都は国土の北東部、東大外洋に近いワイヤン。
北方諸国同盟の中心的存在。
東大陸北部の二大列強国の一つだが、大内洋に面していない為、リンド王国の後塵を拝する事が多かった。
・セソー大公国
大陸北部の準列強国。
首都は極北洋に面する港湾都市ロマディア。
北方諸国同盟の次席的存在。
リンド王国とマルロー王国を陸路で結ぶ北端の街道、かつ海路の中継地点でもあり、国家規模に比して強い影響力がある。
・ザラ公国
大陸中西部の国。
首都はポカ。
北方諸国同盟参加国。
リンド王国とマルロー王国を陸路で結ぶ街道上にあり、その立地を生かして大陸北方の貿易中継地の一つとして潤っている。
リンド王国とマルロー王国が戦争する時には、普段から整備された貿易品倉庫の存在もあって国ごと便利な道路と化す。
・フュリス公国
リンド王国北部の国。
首都はフュリシル。
大陸北方の文明国だが、北方諸国同盟には不参加。
東大陸北西端には広大な未開地が広がり、その地域に隣接する国の一つ。
===大内洋===
東大陸と西大陸の間にある大洋。
東大陸側を東大内洋、西大陸側を西大内洋と呼ぶ。
東大陸で大内洋と大外洋の間にある北極側の海域(北極圏とは別)は特に極北洋と呼ばれる。
従来、東大陸と西大陸を往来するには、大内洋の2つの王国の両方か、最低でもいずれかの経由が不可欠だった。
大内洋に島(珊瑚礁なども含む)は多くあるが、数万人以上の規模が永住して国として存続可能な土地は事実上両王国だけ。
小さな島や珊瑚礁は多くあるし、自給自足で細々と生活するだけなら可能だが、大内洋の補給拠点としては力不足である。
皇国(と神賜島)は、オレス王国寄りの西大内洋に転移しており、大内洋で最も大きい島となった。
・オレス王国
西大内洋の島嶼国で準列強国。
首都はオレス島のハーヴ。
地理的、歴史的にイルフェス王国との関係が強いが、ライランス王国とも良好な関係を保ち、リロ王国を経由して東大陸との外交関係も緊密。
この国を独占しようとすれば、他の大国から袋叩きに遭うという外交関係が構築されている。西大内洋の要石。
・リロ王国
東大内洋の島嶼国で準列強国。
首都はエウフォス島のファ。
王家が出資している商会が奴隷貿易を中心とする東西大陸の貿易に熱心であり、オレス王国とはやや毛色の異なる東大内洋の要石。
東大陸から良質な飛竜を輸入する為に飛竜を輸送する専用の船を造り、そこから発展させて戦闘用の飛竜母艦という艦種を造った最初の国である。しかし数年と経たずに他の大国が真似しだし、海軍の質的優位は一瞬だった。
大内洋沿岸諸国で広く流通するリルスという通貨もリロ王国発祥である。
===大外洋===
東大陸の東海岸より東側、西大陸の西海岸より西側の海は大外洋と呼ばれ、それぞれ東大外洋、西大外洋となっている。
この世界の既知の文明圏の外側であり、地球の裏側とも呼ばれる。
今までも何度か探検航海が行われているが、両大陸に近いところの島を除くと何もない海が広がる。
===北極・南極===
大陸は存在するが、過酷な環境故に居住地として利用はされていない。
北極大陸は東西大陸を最短距離で結ぶ大圏航路に近く、オレス王国もリロ王国も経由しない訳アリな難破船の墓場となっている。
本作は、とある作品に多大な影響を受けて執筆を始めた、流行りの国ごと異世界転移ものです。
なので設定やストーリーが「似ている」部分が少なからずあると思います。
特定の作品を貶める意図はありませんが、その点ご留意下さい。




