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皇国召喚 ~壬午の大転移~(己亥の大移行)  作者: 303 ◆CFYEo93rhU
番外編
110/116

番外編38『大事件』

 事件が起こった。

 皇国軍にとっては大事件といっても良いだろう。


 既にセソー大公国の国境を超え、首都に迫ろうとしていた皇国陸軍に対し、セソー大公国は為す術なく退却の繰り返しであった。

 制空権は無く、北方諸国同盟の背後を守る同盟国も無い状況では、相手がリンド王国軍でもこうなっていただろう。


 だが、事件が起きたのはそんな時だった。

 街道を走る八九式軽戦車の小隊のすぐ傍で砲声が鳴り響くと、先頭を走っていた戦車が停止した。

 先頭車は砲塔側面から内部を貫通し、車長は重傷、砲手は戦死。何とか自走は可能だが戦闘不能な状態にまで打撃を受けた。

 突然の出来事に、皇国軍部隊は自分達を攻撃した砲声と砲煙の方向に銃砲撃を加え、歩兵を

 中心とする捜索隊によって“犯人”と思しき壊れた大砲を鹵獲し、砲兵の死体を回収した。


「作戦行動に支障は無いな?」

 戦車中隊長は聞き返した。

 1両の戦車が脱落したくらいで、前進が止まる程に皇国軍は脆くは無い。

 だが、問題は別のところにあった。


 早くもその日のうちには、セソー大公国内で「皇国軍の鋼鉄の戦竜を打倒した」という話が広がっていた。

 数日のうちには首都ロマディアの軍司令部にまで。

 同じ落伍といっても、敵に撃破されたとなると、故障などで後退するのとは意味が違う。

 敵味方の士気に影響が出て来る。今回問題なのは特に敵の方だ。

 負け続けだったセソー大公国軍は、この戦果をこれでもかと流布している。

 セソー大公国から東大陸北方、東大陸全土、そして西大陸まで広まるのも時間の問題だろう。


 皇国軍無敵神話の牙城がまた一つ崩れた訳だ。

 同時に、セソー大公国軍の骨を断たせて肉を切るような攻撃は暫く続き、皇国軍を悩ませる事になる。


 元々、リンド王国やマルロー王国ほどの国力が無いのに、貴重な重量級野戦砲(軍団直轄の精鋭砲兵)や精鋭歩兵連隊、飛竜連隊を使い潰すような戦いで自ら疲弊していくセソー大公国軍。


 だが皇国陸軍にとっては、兵站への負担が大きいと派遣を躊躇っていた九七式中戦車や二式中戦車が投入される契機にもなった事件であった。

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