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レークと雫の三者面談(2)

          2

 「いつまでしょげてんの。」

「しょげてねえし。」

「だったら、もっと背筋を伸ばして歩きなさいよ。」

左をシーナ、右をメーラに挟まれて、レークが魔道良の裏口を出た。

「暑い。」

シーナが太陽の日差しを見上げながら唸った。

「暑いわねえ。」

メーラが頷く。

「レーク感謝しなさいよ。私たちあんたを送ったら、西棟の奥の校舎まで行かないといけないんだから。分かってる?ここから真反対なんだからね。」

「誰も送ってくれなんて頼んでねえし。」

「送らないと学校行かなさそうだったもん。」

メーラがぱっと答える。

「うるせえ。」

そうこう言いながら3人は高等部の校舎の前まで来た。

「ほら行ってらっしゃい。」

二人がレークの背中を押した。

「16時の授業が終わるまで頑張りなさいよ。」

シーナがレークに手を振って背中を向ける。

「シーナ待って。」

メーラはレークのリュックをぽんと叩いてからシーナの後を追った。

「レーク行ってらっしゃーい。」

小走りで校舎を離れながら、二人が一瞬レークを振り返って言った。

「おー。」

魔道良専門学校の幼、小、中学部は魔道良の西棟の奥の敷地にある。

ここからだと真反対なのだ。

「どうやって行く?」

メーラの隣をシーナが歩きながら聞いた。

「暑いもん。中通って行こう。」

「だね。」

二人が考えているコースは、東棟の裏扉から建物に入り、正面扉から外に出る。

その後、横断歩道を三つほど渡り、魔道良の西棟の正面扉から西棟に入って、裏扉を出て、校舎のある敷地に行くというものだった。

魔道良の外周を回っていくより、そのほうがずっと早い。

「いかに早く、いかに涼しく校舎にたどり着けるかが私たちの生死を分けるポイントよ。」

「ええ。」

メーラのキャラにシーナが合わせて二人がふざけながら道を行く。

「最近メーラはどうなの?学校うまくいってる?」

「うまくいってるかは分からないけど、人間関係は良好とは言えないわ。」

「どうして?」

「みんなが幼いんだもん。」

「なるほど。」

「どうしてああも幼いのかしらね。」

「メーラも私も大人になりすぎたんじゃない。」

シーナが手で風を作りながらメーラを見る。

「私たちって魔道良で働きだして6年になるんだよ。子供のころから魔道良に所属しておくことはキャリアアップをするうえで有益なことだからそうしたけど、私は7歳、メーラは6歳のころから魔道良で働いてる。あの時から雫は私たちを任務に連れて行ってくれてたから、悲惨な現場もたくさん見たし、辛い経験もいっぱいしたし、自分たちの力のなさに嫌気がさしたこともあった。」

「たしかに。」

「雫ってさ、私たちにすごく貴重な経験をいっぱいさせてくれてるんだよ。自分の体力やストレスのことよりも、私たちに実りの多い時間を与えられるようにってそればっかり考えてる。」

「ほんとお人好しよね。」

二人が西棟の裏口から外へ出た。

目の前に中学部の校舎が見える。

「じゃあ、また後でね。」

「ええ。」

二人がお互いに手を振って、違う入り口から校舎に入った。

中学1年生と3年生は教室の場所どころか校舎も違う。

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