みんなの朝(4)
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「チコさまそろそろ到着いたします。」
「まだ眠いよー。」
「昨日のお帰りが遅かったので少し睡眠不足なのですね。頑張って起きてください。」
「はーい。」
魔道良の駐車場に停まった高級車のドアを「稲穂」が開ける。
まだ後部座席でチコがうとうとしていた。
「チコさま。」
「うーん。」
稲穂が溜息をついて言葉を紡ぐ。
「グループルームまで車椅子でお送りしましょうか?」
「うん。」
(今日はほんとに眠たいんだな。)
稲穂は頷いてトランクを開ける。
「はい、乗ってください。」
「はーい。」
チコがふわふわふらふらと稲穂の前にある車椅子に乗る。
「それでは行きますよ。」
「はーい。」
車のカギを閉めて、稲穂がチコの乗る車椅子を押し出した。
「眩しい。」
「外ですから仕方ありませんね。今日はいい天気ですよ。」
「また暑くなる?」
「そうですね。」
稲穂はズボンタイプのスーツをきちっと着こなし黒い長髪を一つにまとめているチコの第1執事だ。
「あれチコおはよう。」
エントランスに入ると、コンビニの方向からスマスがチコの方に歩いて来た。
「おはようございます。スマスさま。」
「稲穂さん、おはようございます。」
スマスが稲穂に一礼してからチコを見る。
車椅子に乗ってすやすやと眠っている。
「ここから先は僕が押しますよ。」
「しかし。」
「いいです。帰りも迎えに来てくれるのであれば、車椅子はその時に取りに来てください。」
「それではお任せしてもよろしいでしょうか?」
「はい。」
「ありがとうございます。よろしくお願いいたします。」
稲穂からチコが乗る車椅子を預かってスマスがゆっくり押し始めた。
「あれ、スマス?」
「チコ起きなよ。みんながチコのこと見てるぞ。」
「眠いからいいもん。」




