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レークと雫の三者面談(11)

          11

 「レーク、学校行きなさい。」

「やだよ。」

「なんで?」

「眠いんだ。」

8月29日の朝、ミーティングの後学校に行こうとしないレークと雫が押し問答をしていた。

「眠くても行けるでしょう。」

「めんどくせえだろ。」

雫がため息をついて席に座った。

「分かったわ。」

Miraが雫を見た。

「雫が折れるなんて珍しいですね。」

 今日は11時からの会議だから、8時の授業と9時の授業には出れるはずなのだ。

シーナとメーラはすでに学校へ行っている。

「本当にいかないのね?」

「あー。」

雫はスマホを少し触った後、パソコンに視線を戻した。

「ぴんぽーん。」

部屋のインターフォンが鳴った。

彩都がいつも通り対応をする。

「レークお友達が迎えにきてるよ。」

「はっ?!」

レークが慌ててモニターを覗き込もうとしたが、その前に扉が開いた。

「おはようレーク。さっさと行くぞ。」

「なんでおまえがここにいるんだよ?」

「わざわざ2時間目をぬけておまえを迎えに来てやったんだ。感謝しろ。」

「頼んでねえよ。」

「ここまでしないとおまえは学校に来ないだろ。」

雅が会釈をしてから部屋に入ってきた。

「木漏れ日さんおはようございます。」

「おはよう雅君。」

「先日は取り乱したところをお見せして申し訳ありませんでした。」

「いいえ、お世話になったお礼です。」

「今日はこれをお返しに伺いました。」

雅がこの前雫から借りたハンカチを両手で渡した。

「わざわざありがとう。差し上げたつもりだったのよ。」

「いいえ、借りたものは必ずお返ししろと父から教わりました。ご安心ください。中身は確かに受け取りましたので。」

「そうね。」

雅が微笑んでからぽかんとしているレークを見た。

「さっさとリュック背負え。行くぞ。」

「おー。」

雅に背中を押されたレークが部屋を出て行った。

「行ってらっしゃーい」

チコが手を振る。

「どういうことですか?」

「何が?」

Miraが雫を見る。

「これよ。」

雫が雅から返されたハンカチをくるくる回す。

「この前彼に会ったとき彼に貸したの。このハンカチの中に私の連絡先を書いた紙を入れておいたのよ。」

「さっき彼に連絡を?」

「ええ、レークを迎えに来てッて。」

「魔道良に所属していない彼がこの部屋に出入りすることを気にするほかの職員が出てくると思いますよ。」

「ええ、分かっているわ。でも。」

雫が微笑んだ。

「雫?」

「あー、ごめんなさい。対応案を検討します。」

「嬉しそうな顔ですね。」

「ええ嬉しいわよ。レークがすんなり学校へ行く方法が見つかったんだから。」

雫が一度頷いてからデスクワークを再開した。

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